ウェルカム!新人さん 2010

    …というわけで、新人さん2010総括です。

    ■【小説部門】期待の新星2010
    該当者ナシ。

    奈良画伯の絵がついた四ノ宮慶さんから、有望な作家が出てくる印象のあるディアプラスよりデビューの夕映月子さんまで、昨年もまるまる1年、新人さんの作品はいろいろ読みました…が。う〜ん。私のほうがついていけなくなっちゃって、なっかなか共感しづらくなってきただよ、という感じ。途中まで読んで数日後にザセツすることも多く、世代のギャップを痛感。今までそんなの感じたことなかったのに、昨年はどーんと山のごとく存在した。設定年齢通りのキャラクター書けてる人が少ないように思えたし、展開が性急だったり、似たり寄ったりの内容だったりでキラリ☆と輝く星は見えなかった。あと「自分と呼吸の合わない文章を書く人」が多くなってつらかった…これも世代によるのかもしれないなと。私の中で「新人さん発掘」は、「2〜3年後どう化けるか期待」にシフトしていくのかもしれない。

    「100人いれば1000通りの萌え」と云われるジャンルだけに、たぶん多くの人が自分の好みを見つけることに苦労している状態だと思う。書評を参考にするか、直感に頼るか。新人さんに期待していくか、手堅い作家を選ぶことに専念するか。このまま新人作品との世代ギャップに悩むことが多くなっていくのならば、私はどんどん本が買えなくなっていくだろうな…。

    デビューして5冊以上出してくれて、なおかつコンスタントに面白い作品を書いてくれる作家を生み出していると思うレーベルは、花丸とディアプラス、リブレあたり?…昔はシャレードが一番だと思ったけれど、作品の続かない人がここしばらく目立つような気がする。続かないといえばSHY。ここも個性的な新人が多かったのに、豪華な絵師がついて1作で終わり、という感じ。むう。

    ■【コミック部門】期待の新星2010
    嘘つきは紳士のはじまり (EDGE COMIX)嘘つきは紳士のはじまり (EDGE COMIX)
    (2010/07/23)
    松尾 マアタ

    商品詳細を見る

    僕の先輩 (ミリオンコミックス  CRAFT SERIES 40)僕の先輩 (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 40)
    (2010/10/16)
    羽生山 へび子

    商品詳細を見る

    どちらにしようか心底悩んだけれど「別にひとりにしなくても?」と気づき、この2作家を2010年ピカイチ新人に。

    レーベルで挙げるなら、2010年はとにかく大洋図書のコミックが個人的に面白く、ハズレが少なかった。作画能力が高い作家が多いし、なんといっても個性がある。新人さんもしかりで、羽生山へび子さんをホントよく見つけてきたよ!…泣かせるより笑わせるほうが圧倒的に難しいのに、↑この作品読んで何度笑ったか。とっても楽しいー♪…そして個性といえば、お洒落系という印象の茜新社から松尾マアタさんを。私はこのスノッブすれすれの雰囲気が好き。外国の舞台設定にもニヤリとさせられた(なんでニューイングランド地方を選んだのか、気持ちがよくわかる!)。外国モノは、この松尾さんか車折まゆさんに描いて欲しいなー。

    以上、「2010年の新人さん」でした♪

    *2011年1月4日に書いたテキストを一部加筆修正

    web拍手 by FC2

    BL小説MYベスト10作品 2009

    …とゆーわけで、「BL小説MYベスト10作品 2009」です。

    2009年に発行・販売されたBL小説の中で、「これ、大ツボ!面白かったなあ〜♪」と思った作品を挙げてみようという、いわゆる「私のベスト10」企画モノです(復刊は対象外にしました)。

    昨年何作品読んだか、まったくカウントしてない…とゆーか、基本的にするタイプの人間ではナイため、その数は把握しきれてません。手に取ったタイトルは大変少ないと思います。でも数を把握しきれてない、少なかったぶん、面白かったと思える作品が浮かび上がってくるもので、私はそれで充分満足しております(…と、コミック部門発表のときと同じ前書きを、いちおう書いてみる)。

    では、いってみましょー!

    ■1位
    はつ恋 (ビーボーイノベルズ)はつ恋 (ビーボーイノベルズ)
    (2009/10)
    榎田 尤利

    商品詳細を見る

    挫折を知らない傲慢な男が初めて恋のよろこびを知っていく…という話としてはごくフツーなんだけども、エダさんのBL界一といえる巧みな一人称をベースに、タイムスリップと学園モノ要素まで入れ、1本にまとめ上げたということで、作家の実力をしみじみと思い知らされた作品。『交渉人3』とどっち選ぼうかと悩み、シリーズではない単発モノであることから、こちらを1位に。展開急ぎすぎ?タイムスリップがいいかげん?タイムパラドックスはどうなる?…「タイムスリップに原理や正確さを求めるな」と、ジェイムズ・マンゴールドも云っとる!意識的に始まって終わるもんじゃないんだから、そんな細かいことはいいの。それよりもなによりも、「31歳、38歳、17歳、24歳」という年齢通りの経験値や職業に基づくキャラの行動や言動が、私の心を捉えて離さなかったです。そうだった、そうなんだよ――読んでいて何度そう思ったか。完全にツボをつかれました。

    ■2位
    最果ての空 (shyノベルズ)最果ての空 (shyノベルズ)
    (2009/12/09)
    英田 サキ

    商品詳細を見る

    いろいろご意見はあると思いますが、篠塚さんは一生あのままかもしれないし、時が流れてなにかが変わり、誰かと一緒になるかもしれないし…それを決めるのは篠塚さん自身であってほかの誰でもない、ただ今の彼が選択したのは「この道程をひとりでゆく」ということ。人生を振り返る最期のときが来たら、彼はなにを思うのだろう?そう思わせる篠塚英之という男の――人間性と生き様について描かれていた作品…かな。

    ■3位
    愛しているにもほどがある  (二見シャレード文庫 な 2-9)愛しているにもほどがある (二見シャレード文庫 な 2-9)
    (2009/04/23)
    中原 一也

    商品詳細を見る

    「2009年に大ブレイクした作家」その1、中原さん。この作品に関してはテキスト2つにしたくらい語りまくったので、ここで書くことはほとんど残っていないです、はい。小冊子がバカバカしくて良かったな~♪2009年個人的小冊子大賞作品

    ★左が箔押し表紙…だけどアホネタ全開、右が「団地妻と淫乱教師」イラストページ(画像は荒くしました)
    Image167.jpg Image168.jpg

    ■4位
    交渉人は振り返る (SHYノベルス)交渉人は振り返る (SHYノベルス)
    (2009/05/28)
    榎田 尤利

    商品詳細を見る

    3巻目にしてエダさんらしいセンシティブさが出たな〜と思った『交渉人』。感想で語ったのであまり書くことはないです。あえて云うなら…2009年に出た『疑わない』のドラマCDに付いていたSSの出来が良かったです。ああいう短編で、ふたりの関係をまとめ上げることができるってスゴイですね。

    ■5位
    40男と美貌の幹部 (二見シャレード文庫)40男と美貌の幹部 (二見シャレード文庫)
    (2009/02/23)
    海野 幸

    商品詳細を見る

    なんでみんな海野さんの作品を読まないの!?…って、そこ!自分の作家萌えを他人に押し付けない!(すみません)。ちょっとトボけた笑いと独特の行間を感じさせる文章がたまらなく、なんともいえない味わいと面白さがありました。『愛のカレー』の感想でも書いたように、「タイトル見て買うかどうか悩んだが面白かった。作家に俄然興味が沸いた。他の作品を読んでみたい」と思わせる人だと思います。個人的に追っかけたい作家のひとり。

    ■6位
    唇にキス 舌の上に愛―愛と混乱のレストラン〈3〉 (二見シャレード文庫 た 2-13)唇にキス 舌の上に愛―愛と混乱のレストラン〈3〉 (二見シャレード文庫 た 2-13)
    (2009/04/23)
    高遠 琉加

    商品詳細を見る

    3巻構成の最終巻だったのにも関わらず、最後の最後まで手が抜かれていない「読ませる」作品になっていたことに、ひたすら感動。2009年もっとも作家の情熱が感じられた1本。キャラひとりにひとりにドラマが存在、ラストも見事にキマっていて――高遠さんのベストはコレですね。2009年のシャレードは、全体的にレベルが高かったなあ。

    ■7位
    いとし、いとしという心 (ビーボーイノベルズ)いとし、いとしという心 (ビーボーイノベルズ)
    (2009/06)
    かわい 有美子

    商品詳細を見る

    「2009年に大ブレイクした作家」その2、かわいさん。もともと人気作家のおひとりだったとはいえ、昨年はとくに大活躍の年だったのではないかと。はんなり京都人描写とその叙情に感動しました(京都に住んでた私が云うんだから間違いない)。弱いかなと思われた受も意外と逞しかったですね。

    ■8位
    忘れないでいてくれ (リンクスロマンス)忘れないでいてくれ (リンクスロマンス)
    (2009/09)
    夜光 花

    商品詳細を見る

    「2009年に大ブレイクした作家」その3、夜光さん。この作品については感想で語ったので、あまりここで書くことはないんだけど…2009年は夜光さん(と中原さん)の年だったような気がします。それほどいろんなレーベルでお名前を見たし、どの作品もよく売れていたと思います。中原さん同様、ご自身の萌えに正直なのに「作家が自分の萌えだけ並べて自己満足している」作品で終わっていない、BLに対する情熱や作品を書く楽しさが伝わってくるとゆーか、その作家性にまったく嫌味がないことに素晴らしさを感じました。やっぱりそういう作家は人気が出ると思います。

    ■9位
    吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.4 (Holly NOVELS)吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.4 (Holly NOVELS)
    (2009/04/24)
    木原 音瀬

    商品詳細を見る

    2008年ベストにて、「『えー!?ここで終わるのー!?』というそんなヤキモキを、私はエダ作品でしてみたいんだろうなあ」と零したらば、コノハーラさんが代わりにそんな作品を書いてきたもんだから大驚愕。大立ち回りに裸****、胸キュン(←コノハーラ作品でこの表現は超貴重)な吸血シーン、突然やってきた朝***(←コノハーラ作品でこの表現は超貴重)に、「マジでここで終わるの!?」というせつないラスト。ユニットなんとか名義で書かれた『胡蝶の誘惑』に続き、エンタ度の高い作品をあのコノハーラさんが手がけるなんてなあと、一本背負いを見事にキメられ畳の上で呆然としてしまった作品です。2010年はなんとしてでも、痛そーなオヤジ作品より吸血鬼を優先してもらいたいで候。ギャッギャッ。

    ■10位
    愛讐の虜 (ラヴァーズ文庫)愛讐の虜 (ラヴァーズ文庫)
    (2009/01/24)
    バーバラ片桐

    商品詳細を見る

    云いたいことは感想で書いたため追記することはあまりないけど、前作『愛炎の檻』同様、作家の表現不足を絵師が見事にリリーフした作品で、ただただスゴかったなあと。

    ■2009年の「コレ!」
    タイトルを挙げるにあたり、どれがその象徴になるかは人それぞれ、よって「コレ!」な画像アップは難しいため、文章で書くと――「2009年のBL小説界は復刊&シリーズものフィーバー」かな?

    出版不況な上にすぐ絶版してしまうBLというカテゴリを思えば、読み手も書き手も復刊というシステムはありがたい話。ただ個人的には、復刊や小冊子企画だけでなく、新しい仕掛けや中堅作家の押し上げにも力を入れて欲しく――そういう意味では2年ほど前から活動しているUnit Vanillaは面白いと感じたし(作品が面白いかは別)、レーベルで云うならリブレは頑張っていろいろ仕掛けていると公式サイトで思うし(実を結んでいるかは別として)、シャレードは自分のところの作家をコツコツ育てているなあ〜と感じます。

    復刊も「確実に売れる作品」重視、それだけ出版不況だってことでしょうか。夢とファンタジーを売るカテゴリなのに、聞こえてくるのはシビアな話ばかりで…2010年は果たしてどうなるでしょう?

    ――以上、「BL小説MYベスト10作品 2009」でした♪

    *2010年1月10日に書いたテキストを一部加筆修正

    web拍手 by FC2

    BLコミックMYベスト10作品 2009

    …とゆーわけで、「BLコミックMYベスト10作品 2009」です。

    2009年に発行・販売されたBLコミック単行本の中で、「これ、大ツボ!面白かったなあ〜♪」と思った作品を挙げてみようという、いわゆる「私のベスト10」企画モノです(復刊は対象外にしました)。

    昨年何作品読んだか、まったくカウントしてない…とゆーか、基本的にするタイプの人間ではナイため、その数は把握しきれてません。もともとあまりコミックを読むタイプでないので、手に取ったタイトルは大変少ないと思います。でも数を把握しきれてない、少なかったぶん、面白かったと思える作品が浮かび上がってくるもので、私はそれで充分満足しております。

    では、いってみましょー!

    ■1位
    人はなぜ働かなければならないのか (バンブー・コミックス 麗人セレクション)人はなぜ働かなければならないのか (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
    (2009/10/07)
    山田 ユギ

    商品詳細を見る

    もはや恒例となりつつある「年に1冊出るユギさんのオリジナル」、その2009年版。どの話も面白かったけれど、どれが好きかとなれば、やっぱ表題作かな。驚いたのは、マガビーで連載(?)されてた電話の話がここに収録されていたこと。IP電話やスカイプなど、ちょっと考えればそこまで電話代がかからないだろうこのIT時代に、「離れたところに住んでいるから、電話代がかさんでタイヘン!」というレトロなふたりに思わず反応。マガビーに載った作品は、主人公の性格や恋の展開がいかにもマガビーらしい王道路線、麗人に載った作品は、ユギさんらしいリーマンによる麗人らしいエロあり路線と、雑誌カラーにマルチ対応できるユギさんの才能にも改めて感動。オリジナルマンガをもっと描いて下さーい!山田ユギ、バンザーイ!

    ■2位
    青春ソバット 2 (2) (IKKI COMICS)青春ソバット 2 (2) (IKKI COMICS)
    (2009/02/25)
    黒娜 さかき

    商品詳細を見る

    昨年のベスト1がこの1巻。そのときにも書いたように、ラブに至っても至らなくても、一度しかない青春を謳歌中に当人たちが「お互い気になる」と思い始めたこと、それが大事なんですよ。そゆこと。

    ■3位
    俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスアルファ)俎上の鯉は二度跳ねる (フラワーコミックスアルファ)
    (2009/05/08)
    水城 せとな

    商品詳細を見る

    2009年の話題作ってコレだろうなあ。描かれているのはリアルな恋愛、各エピソードにおけるキャラたちの言動や行動は、30過ぎたら身に沁みる内容ばかりでした。ちょっとしたギャップに惹かれたり。勝手に誤解して気持ちが冷めたり。スパっと諦めきれずに思い続けてしまってループ状態になったり。くっついたりはなれたり。女性向けファンタジーのBLで、これほどリアルな恋愛モノを読んだのは久しぶり。

    ■4位
    Chance! (ディアプラス・コミックス) (ディアプラスコミックス)Chance! (ディアプラス・コミックス) (ディアプラスコミックス)
    (2009/11/30)
    河井 英槻

    商品詳細を見る

    「え?秋林さん、これ読んでるんですか?」と周りにビックリされ続け、「おおよ!IKKIからディアプラスまで、高校生モノはしっかりチェックしてるんだぜ?」といい続けた作品。主人公(受)周辺の現実がちょっとつらい事情があるのに痛すぎたりしないところや、センシティブさが「まず透明感ありき」なものではないところがお気に入り。夏のジリジリとした暑さの中、解体されてゆく駄菓子屋、寂れた映画館――そういった誰もが経験したことのある普遍的な寂寥感の描写もたまらなかったです。

    ■5位
    幾千の夜 第一夜 (ミリオンコミックス  CRAFT SERIES 33)幾千の夜 第一夜 (ミリオンコミックス CRAFT SERIES 33)
    (2009/11/02)
    木下 けい子

    商品詳細を見る

    2009年は大洋図書が大当たり、中でもこれが一番「らしい」王道作品。中高生の頃、できることが限られていたよなあ…と遠い目になりながら、読んじゃいました。

    ■6位
    花は咲くか 1 (バーズコミックス ルチルコレクション)花は咲くか 1 (バーズコミックス ルチルコレクション)
    (2009/12/24)
    日高 ショーコ

    商品詳細を見る

    まだ1巻なのでどうかな?と思ったのですが、やっぱり面白い。
    今年のベスト作品の中で、一番絵が好きです。

    ■7位
    子連れオオカミ (バンブー・コミックス 麗人セレクション)子連れオオカミ (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
    (2009/01/27)
    井上 佐藤

    商品詳細を見る

    普段、激しいものはほとんど読まない私なので、あーゆー「消し」を見たのは久しぶりでした…って、そんな感想でいいのか?…あっくんとチッチがどうなるか、ちょっと気になる…。

    ■8〜10位
    該当なし

    2009年の「コレ!」
    花音DX VOL.15 (花音コミックス)花音DX VOL.15 (花音コミックス)
    (2009/06/29)
    不明

    商品詳細を見る

    メジャー誌で現役バリバリ執筆されている漫画家さんが、今いるポジションのまま、BLというカテゴリへ本格的に進出してきた――ということで、モンデンアキコさんの作品を「2009年のコレ!」に。

    一般誌でデビューしたけど花開いたのはBLだったとか(ヤマシタトモコさんなど)、昔一般で描いてたけど現在はBLがメインだとか(あさぎり夕さん、国枝彩香さんなど)、その逆、BLで描いていたけど現在は一般誌がメインだとか(水城せとなさんなど)、BLで人気博して一般に進出したら大人気になったよとか(よしながふみさんなど)、一般誌で「BLっぽい話も描けるよ」と別の引き出しを出してみたとか(渡瀬悠宇さんなど)、そういうパターンは多けれど、モンデンさんのように現ポジションキープで本格的にBL進出してきた作家さんは少ないです。例の「トレース事件」もあったので、もんでんさんは絶対BLにはお越しにならない、永遠にニア作家だと思っていたら…2009年、いきなり「花音」からBLデビュー。ビックリしたなあ!もう!

    進出に対していろいろご意見はあると思いますが、モンデンさんの(プロとして当たり前かもしれないけど)真面目に取り組まれている姿が伝わってくるだけに、私は冷ややかな態度なんて絶対取れないです。ただ、実際にBL作品を読んでみると…まとまってはいてもなにかが足りない。なんだろう?萌え?愛?パワー?男?…モンデンBL作品に「ちりとてちん」やダル様のときに感じられたそれらが、あまり感じられなかった。悩まれていらっしゃるだろうなあ、という感じ。個人的には、BL小説の挿絵を一度されるといい経験になるんじゃないかな〜?と思うのですが…どうでしょう?

    もんでん/モンデン先生、頑張ってー!


    以上、「BLコミックMYベスト10作品 2009」でした♪

    *2010年1月9日に書いたテキストを一部加筆修正

    web拍手 by FC2

    BL小説挿絵グランプリ 2009

    …とゆーわけで、「BL小説挿絵グランプリ 2009」です。

    2009年に発行・販売されたBL小説の中で、この挿絵がよかった、あの作品のあれがすんごかった、そんなご無体な、このイラストレーターは素晴らしい活躍だった…などなど、挿絵および絵師の動向・活躍ぶりをチェック、秋林が勝手に賞を決めてしまうというこの企画、基本趣旨は「BL小説における挿絵の重要性を語り、小説の世界を壊すことなくピッタリ仕上げ、かつ個性を出してくる絵師さんを褒めよう!」というものです。

    では、いってみましょー!

    ■グランプリ作品/絵師
    FLESH & BLOOD〈13〉 (キャラ文庫)FLESH & BLOOD〈13〉 (キャラ文庫)
    (2009/06/25)
    松岡 なつき

    商品詳細を見る

    いやもう2009年は彩さんでしょう。

    まず表紙なんですが。松岡さんの『FLESH & BLOOD』は人気シリーズとして何年も続いているし、西洋における海洋冒険モノ&ヒストリカルロマンスをベースにしているだけあって、「FLESH & BLOOD 松岡なつき」というややレトロなロゴは、カラーとともに決まっています。あとはそれにマッチする絵、ロマンやストーリーを感じさせる構図などが必要になってきます。「これは『FLESH & BLOOD』である」という様式美が求められるシリーズだと私は思っています(ドグマティックな云い方ですみません)。

    FLESH & BLOOD12 (キャラ文庫)FLESH & BLOOD12 (キャラ文庫)
    (2009/02/25)
    松岡 なつき

    商品詳細を見る

    全担当者の雪舟さんも素晴らしかったのですが、その繊細さゆえに力強さに欠けていたけど(と思うのは、これが海洋冒険モノでもあるから)、彩さんは力強さとさらなる様式美を感じるというか、世界観と奥行きがプラスされたような印象を受けます。往年のハリウッド映画ポスターやスチール写真のようです。ただ絵が綺麗なだけじゃなくて、その世界に誘(いざな)ってくれる、見る者を吸い込んでいく吸引力まである。挿絵を見ると、松岡さんの世界を壊さずに彩さんの世界も構築されています。場面押さえで終わらない絵画的な構図――「ああ、これはFLESH & BLOODだわ、でも彩さんの世界でもある」。本当に素晴らしくて感動しました。2010年も楽しみにしています!

    ■準グランプリ作品/絵師
    愛しているにもほどがある  (二見シャレード文庫 な 2-9)愛しているにもほどがある (二見シャレード文庫 な 2-9)
    (2009/04/23)
    中原 一也

    商品詳細を見る

    2009年も「さすが」の一言につきる奈良千春さん。『交渉人は振り返る』や『最果ての空』での奈良画伯を推す方が多い中、私はあえて↑を推しますです、押忍!…いかに素晴らしいかは別テキストで語りまくったのであまり語らないようにしますが、表紙・口絵・挿絵のすべてが良かったです。とくに口絵。奈良画伯の解釈による坂下と斑目、それが素晴らしかった。画伯の世界で描かれた口絵のふたり――本編にはないシーンなのに、「ああ、こんな感じだよね、このふたりって」。アタシが中原さんだったら泣きますよー、もうホント。

    そのほか、画伯ギークな私としては「画伯、初アラブ」ということで↓コレ。
    龍の兄弟、Dr.の同志 (講談社X文庫―ホワイトハート)龍の兄弟、Dr.の同志 (講談社X文庫―ホワイトハート)
    (2009/10/05)
    樹生 かなめ

    商品詳細を見る

    「へ?一般ライトノベルの表紙?」というような美しさとゆーか、アラブでこんなグリーンをもってくるだなんて、超新鮮。鮮やかな緑に映えるアラブの民族衣装、咲き乱れる花々、垣間見られる海の生物たち(なんで海?読めばわかる)。ただ、しょっちゅー絵が変わられる奈良画伯、2009年は「不思議バランス時代」――歪みポップな描線と絵柄だった作品が多く、全体的にチマチマっとしていました。

    ■お疲れ様です作品/絵師
    淫らな躰に酔わされて (B‐PRINCE文庫)淫らな躰に酔わされて (B‐PRINCE文庫)
    (2009/04/07)
    愁堂 れな

    商品詳細を見る

    奈良画伯の働きっぷりに驚かされるここ数年ですが、昨年、その画伯以上にお見かけしたかもしれない方が陸裕千景子さんでした。なんで?どーして?と思ったら、その昔に別のレーベルで出ていた愁堂さんの某シリーズが、B-PRINCE文庫で連続復刊、当時挿絵を手がけられていた陸裕さんもスライドで移ってこられたからだと判明しました。2009年の陸裕さんは愁堂さんの番絵師状態だったわけですね。以前と同じ挿絵なのかはわかりませんが(表紙は同じ)、書き下ろし漫画がついていたのは確認、何冊も本当にお疲れ様でした。

    ■まさかこのコラボでくるとは…作品/絵師
    ワケアリ (二見シャレード文庫 な 2-10)ワケアリ (二見シャレード文庫 な 2-10)
    (2009/08/21)
    中原 一也

    商品詳細を見る

    端麗な絵柄を裏切る銃器好き、そしてダークに映えるその白さが特長であるといえる高階さん。そんな高階さんに、オヤジな中原さんの男臭そうなマグロ漁船モノって…表題作がシャレード本誌に載った時点から「よくそのコラボを仕掛けたもんだ」と驚いたのですが、いざ1冊の本として読んでみれば、これがなかなかイケるとゆーか、ちゃんとハマっていたので驚きました。口絵の「日焼けしていないおしり」に注目されている方が多い中、私は「あの高階さんがオッサンの腕毛を描いたよ!」と腕毛に気をとられてしまいました。中原さんが高階さんに「腕毛描いて下さい」と指定されたんだろうな〜と思ったら、高階さんのほうから「腕毛描いていいですか?」とお問い合わせがあって腕毛が追加されたと知り、高階さんに対する見解と印象がまた変わりました。

    ■ポテンシャルを感じた作品/絵師
    愛するということ (角川ルビー文庫)愛するということ (角川ルビー文庫)
    (2009/05/01)
    谷崎 泉

    商品詳細を見る

    半化粧の恋 (ガッシュ文庫)半化粧の恋 (ガッシュ文庫)
    (2009/01/28)
    鳩村 衣杏

    商品詳細を見る

    どんなに表紙が綺麗に出来上がっていても、中のカラー口絵やモノクロ挿絵がイマイチ(たとえば話や世界観に合わない、場面だけ押さえられていて絵自体にストーリーがない、個性が感じられない…など)であれば、私はあまりそそられません。そんな私が「もしかして?」と2009年に感じられたのが、高座朗さんです。以前からいらっしゃる方なんですけど、絵柄を裏切るエログロが多かったために「……」となってしまっていたのですが、2009年にリリカルな作品『半化粧の恋』(鳩村衣杏)と『愛するということ』(谷崎泉)を読んだとき、「高座さん、こういったリリカルな作品のほうが映えるんじゃないの?喜ぶ人も多いんじゃないの?」と思ったのでした。以前より絵が優しいし、挿絵からもストーリーは感じられます。なので、絵付け作品のジャンルがリリカル路線に変わらないかな…と真剣に思う私なのでした。

    ■復活待っていました!絵師
    帝の恋文~禁じられた契り~ (もえぎ文庫)帝の恋文~禁じられた契り~ (もえぎ文庫)
    (2009/09/15)
    伊郷 ルウ

    商品詳細を見る

    2008年の『37℃』(杉原理生)から、突然お見かけしなくなった北畠あけ乃さん。絵が上手な方にありがちな「意識的に絵がどんどん変わる」方でもあり、正直云うとちょっと前の絵のほうが好きなんですけども、とにかくご復帰されたことがひっじょーに嬉しいです!

    ■秋林要チェック絵師2010
    半月刀(ハンジャル)に誓いのキスを (アズ・ノベルズ)半月刀(ハンジャル)に誓いのキスを (アズ・ノベルズ)
    (2009/05)
    鈴木 カタナ

    商品詳細を見る
    2009年チェック絵師は彩さんと書いたのち、その彩さんは『FLESH & BLOOD』の2代目絵師に抜擢され、現在、素晴らしい作品を手がけておられます。今年2010年は誰に注目しようかな〜…と考えてみて、脳裏に浮かんだのが新人絵師さん(たぶん)と思われるおふたり、兼守美行さんとCielさんでした。どちらの方にするか悩みに悩んで…兼守さんにしました。

    ↑でも書いたように、2009年に奈良千春画伯がアラブ(といってもやや特殊)を手がけられまして、アラビアンナイトよろしく夜っぽい背景や砂漠カラーな表紙になりがちなアラブに、鮮やかでさわやかな緑を持ってきた画伯を絶賛した私でございますが、また別の観点でアラブ絵に注目したのが兼守さんの『半月刀に誓いのキスを』でした。衣装や小道具や雰囲気に凝らなくたっていい、兼守さんのような「別にアラブでなくなって」という構図だけでも充分とゆーか、逆に新鮮なアラブだと感じられた表紙絵でした。半月刀が鞘付きで転がっているところがまたドラマを感じるんですよね。目が奪われました。…というわけで、今年は兼守さんの動向をチェックしたいと思います。

    以上、「BL小説挿絵グランプリ 2009」でした♪

    *2010年1月1日に書いたテキストを一部加筆修正
    web拍手 by FC2

    ウェルカム!新人さん 2009

    …というわけで、新人さん2009総括です。

    毎月1〜2冊ほど新人作家の作品をコツコツ読んで参りましたが、コミックにそそられた作品が多かった昨年に対し(小椋ムク・ヨネダコウ・麻生ミツ晃・小石川あお…など、新人さん豊作の年だったから)、今年はノベルのほうが多かったです。といっても、「BL小説界に大注目新人が出現した!」とまでは感じなかったとゆーか、昨年の一穂ミチさんのような話題になった方はいらっしゃらずで、結果的に「2009年は新人さんよりベテランの年だったかな?」という印象を持ちました。そんな中で秋林が選んだ「2009年 期待の新星」は、以下のおふたり。

    ■【小説部門】期待の新星2009 
    コイビト恋人変人 (SHYノベルズ)コイビト恋人変人 (SHYノベルズ)
    (2009/06/27)
    鳥丸 チイコ

    商品詳細を見る

    世の腐系のみなさんの萌えはさまざまだけど、「大阪弁一人称、しかも主人公はヤンキー高校生」とは、これまた狭いところをついてきたなあ、ある意味ギャンブルといえるだろう勝負作をデビュー作にもってくるだなんてスゴイなあ…と、逆に深く感心させられてしまった鳥丸さんを「2009年の新星」に。

    SHYとシャレードから出てくる新人さんは、他のレーベルに比べて個性や実力がある方が多いと私は思っております。その中でも、久しぶりに個性的な人が出てきたなあという感じ。正直云うと私め、ヤンキーにはまったく興味がありません。当へっぽこブログにレギュラーアクセスして下さる方なら、私が「個性」を評価しがちなタイプであるとご存知でいらっしゃるはず。なので、こういう面白いことをデビュー作でしてくる人にはやはりそそられます。実際に読んでみると、荒削りだなあとか、もうちょっとキャラを活かせられたらなあとか、気になるところは多々あるのですが、裏返せば「次回作ではどうなるかな?」と期待に変わる要素でもあるので、2010年に出る(と信じている)次回作に注目したいと思います。

    ■【コミック部門】期待の新星2009
    へび苺の缶詰 (Feelコミックス)へび苺の缶詰 (Feelコミックス)
    (2009/06/08)
    河内 遥

    商品詳細を見る

    BL系ではマニアの部類に入りそうな「エロf」で、メジャー系では「コーラス」でその著作が載っているという、実に興味深い活躍をされている河内遥さんを「2009年の新星」に。

    表題作「へび苺の缶詰」だけがBL作品、ほかは非BL系、しかもマイナー誌に載ってそうな内容です。なんで表題作だけがBLかというと、ソフトBLな読み切りを集めた別冊コーラス「女人禁制」に掲載された作品だからで、「なんだ、コーラスに載っていたならBLじゃないじゃん」と云われそうですが、「へび苺〜」の惹句にはBLと書かれていたし、どのBL作品よりも私は面白いと感じました。「別冊コーラス」に掲載された他の作品は、「BLっぽいもの」もしくは「逃げが最後に入って友情にプラス程度でオワリ」な内容が多かったのに、この「へび苺〜」だけはBLとして成立する作品だと感じましたし、「こんな方法があったか」と感動もしました。読み続けなければわからないふたりの関係、静かに訪れるせつない恋の甘さと別れ、ほんのり香り付けされたエロティシズム、4歳児の第三者的視点――素晴らしいと思いました。読む人をかなり選ぶと思いますが、「エロf」に載っている河内作品よりできればこの路線のBLを私はもっと読みたいです。

    ↓これも好き(BLではないです)。
    チルヒ 河内遙時代短編集チルヒ 河内遙時代短編集
    (2009/05/14)
    河内 遙

    商品詳細を見る


    以上、「2009年の新人さん」でした♪

    *2009年12月31日に書いたテキストを一部加筆修正
    web拍手 by FC2

    BL小説MYベスト10作品 2008

    …とゆーわけで、「BL小説MYベスト10作品 2008」です。

    2008年に発行・販売されたBL小説の中で、「これ、大ツボ!面白かったなあ〜♪」と思った作品を挙げてみようという、いわゆる「私のベスト10」企画モノです。

    昨年何作品読んだか、まったくカウントしてない…とゆーか、基本的にするタイプの人間ではナイため、その数は把握しきれてません。手に取ったタイトルは大変少ないと思います。でも数を把握しきれてない、少なかったぶん、面白かったと思える作品が浮かび上がってくるもので、私はそれで充分満足しております(…と、コミック部門発表のときと同じ前書きを、いちおう書いてみる)。

    では、いってみましょー!

    ■1位
    交渉人は疑わない (SHYノベルズ)交渉人は疑わない (SHYノベルズ)
    (2008/10/30)
    榎田 尤利 (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    エダさんの見事な職人技に、2008年最高の栄誉を。感想でも書いたように、「交渉人」はとにかくエピソードがギュウギュウ詰め、規則的な打ち込み(お約束をキレイに踏んでいるという意)よるそのテンポは、とてつもなく速いです。そしてエダさんらしく、1冊でキレイに話が終わっている――それはそれでたいへん素晴らしいのですが、じっくり読みたい/読ませてくれ、という人は少なくないんじゃないかな?

    速いテンポで楽しませてくれた2冊のあとは、あれもこれもじゃなく、エピソードとキャラをもうちょっと絞り込んだ長めのストーリーで、じっくり読んでみたい気もします。1冊で終わるのではなく、数冊に分けて。「えー!?ここで終わるのー!?」というそんなヤキモキを、私はエダ作品でしてみたいんだろうなあ。

    ■2位
    龍の求愛、Dr.の奇襲 (講談社X文庫―ホワイトハート)龍の求愛、Dr.の奇襲 (講談社X文庫―ホワイトハート)
    (2008/08/01)
    樹生 かなめ (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    「2008年、いきなりキタコレ!」筆頭作品が、樹生かなめさんの「龍&Dr.シリーズ」。2007年に出た『龍の灼熱、Dr.の情愛』の後半から急に面白くなってビックリ、そして2008年『龍の烈火、Dr.の憂愁』『龍の求愛、Dr.の奇襲 』『龍の右腕、Dr.の哀憐』の3冊、とくに『求愛、奇襲』の出来が素晴らしく、「やるじゃん!王道かなめ!」と感動してしまいました。

    ★アナザープラネット「かなめ星」にお住まいの、樹生かなめさんは3人いらっしゃいます
    1.不条理かなめ:ハイブローな不条理やエゴで理解し難い作品のとき
    2.キワモノかなめ :どーしてそんな発想?とアゴを外しかける内容の作品のとき
    3.王道かなめ:設定や話がやや王道な作品のとき

    「龍&Dr.シリーズ」は、もともと(数少ない)王道かなめ作品としてスタートを切ったとはいえ、書き手のかなめさんがかなめさんである限り、どんなにBLヤクザ王道路線を踏んでも、読んでいる間は「…だ…ダイジョブ?ダイジョブよね?」というヒヤヒヤ感が先行、まさに「水切り石とはかくや」という印象が拭い切れないシリーズだったのですが(正直云うと、いまだに拭い切っておりません)、どの作家にも似ていないその突飛さ、微妙にズレてもグラつかないその深さ、そしてそれらに面白さの信頼(!)が加わったことで、目が離せないシリーズへと一気に変わっていきました。もう大好き!…そしてこの『求愛、奇襲』が、私の2008年もっとも「愛」を感じさせてくれたBL作品です。氷川が滝沢につけたケリと清和の取った行動、さらにそのシーンを描いた奈良画伯の挿絵に、私ゃ胸が熱くなりましたよ。王道かなめにヤラれたー!(不覚)…でもかなめさんだけに、王道でも今後の予測はやっぱりまったく見当つかなかったり…。基本はやっぱり「水切り石作家」だし。

    主人公の氷川(受)で好みが分かれそうなシリーズですが、私は彼が好きです。そして清和(攻)が大のお気に入り。ちなみに舎弟では信司が好き。今度、1冊ずつ感想を書こうっと。

    ■3位
    胡蝶の誘惑 アーサーズ・ガーディアン (SHYノベルズ)胡蝶の誘惑 アーサーズ・ガーディアン (SHYノベルズ)
    (2008/11/27)
    Unit Vanilla (挿絵:蓮川 愛)

    商品詳細を見る

    リブレ系作家4人組による企画モノ。「値段お高め・オビ別色・アンケートハガキ特別仕様・ピンナップ・合紙付き」ということで、SHYでもスペシャル待遇。コレの1〜2巻が出たとき、世の評がどうであれ、あらすじ読んだ時点で「ゴージャスぶりが寒っ。スルーしよ…」と決めた私でしたが、この「3」のあらすじを読んだときだけ、「なんかコレだけ面白そう?」と感じるものがあり、購入。そして読んだらば大当たり!…ってか、コレ大傑作じゃん!

    ユニットなんちゃらさんの仮面を被ると、こんなキョーレツに面白い毒入りコメディが書けるんだー、木原さんって。感動した!…「チャーリーズ・エンジェル」で「ミッション・インポッシブル」、闇の金持ち集団が、しょーもないミッションに大金つぎ込み全力を尽くす!だなんてバカの超基本、なんて素晴らしい!…高潔でやたらとかっこいいガイジンというBLでありがちな設定の攻をあの木原さんが書いたということ自体、もうおかしくてたまらない!…そして竿竹株式会社のくだり+主人公の妄想シーンでバカ笑いが止まらず、カイシャでは思い出し笑いに苦しみ、通勤電車の中では本を読んでケタケタ笑う姿を白い目で見られ――どこへ行っても、ソレが頭から離れない状態でした。この『胡蝶の誘惑』は、私の2008年もっとも「バカ笑い」を提供してくれたBL作品です。こういう毒のあるバカコメディを木原さんがもっと書いてくれるなら、ユニットなんちゃらさんの活動をマジで応援したいっス!

    ■4位
    恋でなくても (幻冬舎ルチル文庫)恋でなくても (幻冬舎ルチル文庫)
    (2008/11/17)
    真崎 ひかる (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    2005年にリーフから出版されたノベルスを、ルチルで文庫化した作品。本当は好き合ってるふたりなのに、妙な意地が邪魔をして、互いに「好き」といえないまま10数年…という、たいへんベタなストーリーを持つ社長×秘書モノ。大事件が次々と起こるわけではなく、日々の小さな出来事の積み重ね、その隙間に生じていく誤解とすれ違い。「定石は丁寧に踏むべし」をあらためて教えてくれたBL作品であり、私の「2008年最大のお気に入り作品」でもあります。最初に出たのは2005年だけど、絵師が奈良画伯に変わってます。

    なにが自分にヒットしたんだろう?…たぶん、受の心情が丁寧に描写されているからだろうな。攻を思う気持ちから、受がとっさにとる行動の数々。そのあとなにげない――本当になにげない文章を、たった一文、さりげなく追加するだけで、「ああ、君は本当に彼が好きなんだね」と、受の切ない思いがよりいっそう伝わってきました。真崎さんはそういう描写が上手いですね。そして、最大のポイントは読み手の安心感。受視点なので、攻が受をどう思っているかわからないことになっているけれど、読んでいると「ああ、コイツは受が好きなんだな」とわかってくるので、読み手はやさしい気持ちになれる。素敵な作品だと思います。

    ■5位
    美しいこと(下) (ホリーノベルズ)美しいこと(下) (ホリーノベルズ)
    (2008/01/29)
    木原 音瀬 (挿絵:日高 ショーコ)

    商品詳細を見る

    多くの腐女子が2008年No.1に推した木原音瀬作品。「アナタならいくらでもいい人が現れるでしょうに…」というような受が、まわりからドンくさがられている男を好きになってしまい、その一途な思いに何度も潰されそうになる――というストーリー。本人にそんなつもりはなかったとはいえ、最初に相手を騙したのは受の松岡のほうだったのに、彼がたいへんけなげ&書き手が木原さんゆえか、攻の寛末の卑屈ぶりが大フィーチャー、世のおねえさま方はみな、寛末に怒る怒る!…でも私は「寛末みたいな男のほうがフツーというか、こんなヤツいるよね」と思いながら読みました。

    恋に落ちて繰り返し交互に味わう、絶頂感と絶望感。苦しい恋であればあるほど、その落差は大きい。2008年もっとも「恋愛心情描写に特化」したBL作品…かな?

    ■6位
    パイナップル・パレード (幻冬舎ルチル文庫)パイナップル・パレード (幻冬舎ルチル文庫)
    (2008/11/17)
    松前 侑里 (挿絵:高城 たくみ)

    商品詳細を見る

    学生時代から恋人同士だったふたり。でも別の男の子どもを妊娠した女性を思って、受は偽装結婚、一緒に子どもを育てていく。恋人の存在を女性から承認されているため、ふたりの関係は結婚後も続くが――という、なんだか現実でもありそうな設定の松前侑里作品。

    松前さんは、基本的に無体なことはない・読んでいると温かい気持ちになれる作品が多く、またハズレがあまりないので安心感から私の中で好感度が高めの作家(のひとり)。

    ただ、基本が「年の差カップル」年上×年下な人なゆえ、私の年下攻好みという点でヒットする作品が少なく、それが至極残念でならないです。その中でもこの作品は、松前さんにしては珍しく30代の同い年カップルだったので、スリーベースヒットとなりました。自分の好みの要素からハズレても、「絶大な安心感」で手に取ってしまったBL作品。なにが良かったんだろう…う〜ん上手くいえない…けど、やっぱこれも受の丁寧な心情描写の良さ、かな?

    ■7位
    愛と混乱のレストラン (二見シャレード文庫)愛と混乱のレストラン (二見シャレード文庫)
    (2008/02/28)
    高遠 琉加 (挿絵:麻生 海)

    商品詳細を見る

    装丁がリニューアルされただけでなく、某作家の出現によってレーベルの印象まで変わってしまったシャレード文庫から、久しぶりに「シャレード=職業モノで面白いレーベル」と思えた、高遠琉加さんの作品。続巻あり。

    食に興味がないくせ、傾きかけたフレンチレストランを立て直そうと躍起な若きマネージャー(過去にワケあり)に、俺様なシェフ、大男ながら繊細寡黙なパティシエ、レストランを愛する真面目なギャルソン…など立ったキャラによる相関が面白く、正直、BL部分をすっかり忘れて楽しんでしまいました(ダメじゃん!>私)。おもしろーい♪…TVドラマにしても充分通用しそうだなと思えるくらい、2008年もっとも「BL以外の描写で楽しめた」作品です…と書くと、高遠さんに失礼かな?…でも、もちろん今後のラブな展開も期待してますよ!

    ■8位
    デコイ 迷鳥 (SHYノベルス)デコイ 迷鳥 (SHYノベルス)
    (2008/09/05)
    英田 サキ (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    俗っぽいヤクザを書かせると、水を得た魚のような泳ぎっぷりを披露してくれる英田サキさんによる、2008年もっとも「群像劇ラブ」なBL作品

    云いたいことはすべて感想で書いちゃったので、あんまりここで語ることはないんだけども、私がどーしてもひっかかりを感じたのが、那岐の**殺し。身勝手なケリだと那岐自身わかっているとはいえ、今の立場で彼がつけるけじめじゃないと思う。『ライク・ファーザー・ライク・サン』で、息子に******手術を勝手に施した母親もそうだったように、英田兄貴は「人としてどうよ?」という倫理観をエンタメとして軽く読ませるタイプの作家じゃないから、白黒ハッキリしちゃってグレーが出にくいとゆーか。ちょっと苦しかったかな…。

    ■9位
    他人同士 1 (キャラ文庫)他人同士 1 (キャラ文庫)
    (2008/08/27)
    秀 香穂里 (挿絵:新藤 まゆり)

    商品詳細を見る

    三ヶ月連続刊行で話題になった、キャラの看板作家・秀香穂里さんによる、年下攻好きの目からもウロコな「主人公リバシで年下攻」作品。

    出版業界を舞台にした作品は、エゴ渦巻く人間関係にウンザリさせられることが多いけれど、この作品は気持ちのいいヤツもいたので、さほどそう思わなかったかな。スレてヒネた主人公が、徐々に素直になっていくさまは、読んでいてとても面白かったです。2008年もっとも作家の「コレが書きたい!」という情熱と気骨が感じられた作品ただ、3巻とことんビッチリそんな主人公とラブ以外の面でも向き合うことになる作品なため、途中で疲れてしまう読み手が出てきて、そこで評価が分かれてしまったような気がします。

    ■10位
    淫花 (KAREN文庫Mシリーズ)淫花 (KAREN文庫Mシリーズ)
    (2008/01/23)
    七宮 エリカ(挿絵:小菅 久美)

    商品詳細を見る

    見世物小屋を舞台にした両性具有モノ、『淫花』だなんてベタなタイトル、レトロなカバー絵、レーベルはJUNE作品の復刊で話題になったKAREN文庫Mシリーズ――ということで、さぞやハードな仕上がりだろうと思わせたJUNE風作品。

    感想でも書いたように、この作品はJUNE的なモチーフを持ちながらBL的な読みやすさがあります。でも、JUNEを期待すると物足りないだろうし、BLにしてはキャラ萌えといったお約束ごとが足りない。JUNE作家がBLを書いた(あるいはBL作家がJUNEを書いた)というより、ストーリーに第三者的でプロフェッショナルなまとまり感があるため、普段は別ジャンルで書いている作家がJUNE風な作品を書いたような印象を強く感じます。感想を書いてから知ったのですが、著者略歴に「エッセイから、児童書までさまざまな分野の執筆をこなす」とあり、やっぱりな〜と合点がいきました。というわけで、2008年もっとも「ある意味では新鮮」だった作品…かな?

    ■2008年の「コレ!」
    ラブ コレ 4th anniversary (ラヴァーズ文庫 58) (ラヴァーズ文庫)ラブ コレ 4th anniversary (ラヴァーズ文庫 58) (ラヴァーズ文庫)
    (2008/05/24)
    著・愁堂 れな著・いおか いつき

    商品詳細を見る

    ラヴァーズ文庫で人気の作品の短編、作家のフリートーク、担当絵師のラフ画集に短編マンガなどを収録し、1冊にまとめたラヴァーズ文庫の4周年記念本。

    作家もしくは作品すべてのファンなら「超お買い得」、1作品もしくは1作家でも好きなら「買ってもいいかな」、好きな作品がなければ「完全スルー」、好きな作品はあれど買うかどうかで迷う人には「他の作品にはキョーミないのに…他のシリーズも買って読めと?」……とまあ、いろいろ評価は分かれるでしょうが、あえてこれを「2008年の『コレ!』」に選んだのは、これが実際に中を見て買うことができる、一般書店に並んでいる記念本だからです。

    昨年大流行した「有料小冊子全員サービス」のような、「送った人だけもらえるスペシャル本」というプレミア感はなくても、ついてくる応募券を切って(本代がかかるし、レーベルによっては本にハサミを入れなければならない)、高い手数料+小冊子代+切手代を払って出来が未知の短編集が送られてくるのを、郵便事故を心配しながら待つことなく、書店に行けばあるのです。同じ記念本でも小冊子ブームのアンチテーゼのような存在であり、ちょっと感心しました。

    評価は難しいですが、夜光さんご自身がお描きになったマンガは面白かったし、普段あんまり読まない愁堂さんがどんな作風を持つ作家なのかがわかり、個人的にはけっこう楽しめました。柏枝先生が「ラフ画でイラストレーターの実力がわかる」とおしゃってたことは、まったく以ってその通り――奈良画伯の「ばばばばばーん!」なラフ画集を見て、至極納得したのでした。…今年はコレの5周年本を出すのかな?


    以上、「BL小説MYベスト10作品 2008」でした♪

    *2009年1月17日に書いたテキストを一部加筆修正

    以下、「2011年の今思うこと」です。

    Continue Reading

    web拍手 by FC2

    BLコミックMYベスト10作品 2008

    …とゆーわけで、「BLコミックMYベスト10作品 2008」です。

    2008年に発行・販売されたBLコミック単行本の中で、「これ、大ツボ!面白かったなあ〜♪」と思った作品を挙げてみようという、いわゆる「私のベスト10」企画モノです。

    昨年何作品読んだか、まったくカウントしてない…とゆーか、基本的にするタイプの人間ではナイため、その数は把握しきれてません。もともとあまりコミックを読むタイプでないので、手に取ったタイトルは大変少ないと思います。でも数を把握しきれてない、少なかったぶん、面白かったと思える作品が浮かび上がってくるもので、私はそれで充分満足しております。

    では、いってみましょー!

    ■1位
    青春ソバット 1 (1) (IKKI COMICS)青春ソバット 1 (1) (IKKI COMICS)
    (2008/02)
    黒娜 さかき

    商品詳細を見る

    オビ惹句に「青年誌流BL道」とあったので、BLカテゴリに。
    私の「青春胸きゅん♪」は、どうやらこの『ソバット』路線のようで、相変わらず自分は土建屋腐女子(注)だなと苦笑してしまいました。でも私は、有田と白洲の関係がどうなっていくか、とても気になるんですよ。

    (注)土建屋腐女子:道をみずから開拓せねばならない腐女子のこと

    たとえばこれが一般BLに出てくる高校生ものだと、過去だとか家庭だとかいろいろ問題や葛藤を抱え込んだ美形の男子が主人公だったりしますが、『ソバット』の有田と白洲はホントどっこにでもいるフツーの高校生。その悩みや友人関係なども等身大で普遍的です。どんなに大人ぶっても、切羽詰まってくればやっぱり高校生でしかないとゆーか、年齢ぶんしかまだ経験値を得ていない少年の顔が現れる――1巻後半に出てくる中年詐欺師男の視点がモロ自分とかぶり、読んでいて彼と一緒に毒牙を抜かれたような気分になりました。ラブに至っても至らなくても、一度しかない青春を謳歌中に当人たちが「お互い気になる」と思い始めたこと――それが大事なんですよね。

    ちなみに私め、BL本流コミックではないとわかっていながら、読了後、うっかり表紙カバーを外して本を確認してしまいました…。

    ■2位
    それは食べてはいけません。 (バーズコミックス ルチルコレクション)それは食べてはいけません。 (バーズコミックス ルチルコレクション)
    (2008/02)
    小石川 あお

    商品詳細を見る

    絵もストーリーも好き。そして吸血鬼モノ。
    多作な方ではないと思いますが、これ1冊で終わって欲しくないなあ。

    ■3位
    センチメンタルガーデンラバー (MARBLE COMICS)センチメンタルガーデンラバー (MARBLE COMICS)
    (2008/12/18)
    小椋ムク

    商品詳細を見る

    いや〜ん♪かーわーいーい♪キュート〜!…と、部屋でジタバタしながら読みました。
    小椋さんってステキな絵を描く方だなあ。でも受と攻のルックスパターンがあまりない…とゆーか、どの作品もほぼ同じなので、そこがちょっと残念かな?…ただ、わかりやすくていいとも云えるので、その点をプラスとするかマイナスとするか相殺とするかは、人それぞれだと思います。

    ■4位
    君によりにし (ミリオンコミックス 22 Hertz Series 54)君によりにし (ミリオンコミックス 22 Hertz Series 54)
    (2008/12/10)
    木下 けい子

    商品詳細を見る

    2編収録。どちらもけっこうよくある話でしたが、しっとりと読めたし、もともと木下作品は高校生モノより社会人モノのほうが好きだったので、ツボに入りました。

    「この小野寺が受だ!」と思いながら表題作を読んでいたらば、その小野寺が大和を見事に押し倒して大胆リード。「え!?小野寺が攻?…ってことは、死んだ先生は受だったの!?」とビックリしましたが、次ページでやっぱり受と判明。あれで攻だったら、どんなオチだったんだか…。

    ■5位
    死ぬほど好き (バンブー・コミックス 麗人セレクション)死ぬほど好き (バンブー・コミックス 麗人セレクション)
    (2008/08/16)
    山田 ユギ

    商品詳細を見る

    「山田ユギにハズレなし」は、もう購入時の合言葉ですね。いくつかある話のうち、新人リーマン×主任の話が好きかな。

    ■6位
    知らない顔 (ビーボーイコミックス)知らない顔 (ビーボーイコミックス)
    (2008/06/10)
    日高 ショーコ

    商品詳細を見る

    日高ショーコさんは、『リスタート』から読んでいましたが、その頃の印象は「上手なんだけど、線と絵がカタくてのっぺりしてる。話もカタくて凡庸に感じる」というものでした。その後、『美しいこと』の挿絵、そしてこの『知らない顔』を読んでビックリ。作画面ではもう少しガサついた線で動く絵を描いてくれたら素敵なのに…と思った通りの変貌を見せ、心情描写では、受・攻ともに小慣れた感じが出てきていて、どの作品も面白く読めました。もともと上手い人だったとはいえ、昨年活躍した作家の中ではもっとも躍進された方だったように思えます。今年も頑張って下さーい!

    ■7位〜10位
    該当作品なし
    いろいろ考えたんだけど、出てこなかった…。
    「面白かったと思える作品が浮かび上がってくるもの」と書いたのは、誰?

    ちなみに、2008年に絶賛された『同級生』(作:中村明日美子)や『どうしても触れたくない』(作:ヨネダコウ)は、ちゃんと購入し、読了もしてます。ランキングしてないのは、どちらも私向きじゃなかったからです。すみません…。

    ■2008年の「コレ!」
    ちんつぶ 3 (3) (MBコミックス)ちんつぶ 3 (3) (MBコミックス)
    (2008/10/08)
    大和 名瀬

    商品詳細を見る

    とにかく「出た!」、このひとことに尽きます。
    「え?秋林さん、これ読んでるの?」と、しょっちゅー驚かれましたが(どうやら読んでるイメージじゃないみたい…)――読んでいます、ええ、読んでいますとも!


    以上、「BLコミックMYベスト10作品 2008」でした♪

    *2009年1月12日に書いたテキストを一部加筆修正

    以下、「2011年の今思うこと」です。

    Continue Reading

    web拍手 by FC2

    BL小説挿絵グランプリ 2008

    …とゆーわけで、「BL小説挿絵グランプリ 2008年」です。

    2008年に発行・販売されたBL小説の中で、この挿絵がよかった、あの作品のあれがすんごかった、そんなご無体な、このイラストレーターは素晴らしい活躍だった…などなど、挿絵および絵師の動向・活躍ぶりをチェック、秋林が勝手に賞を決めてしまうというこの企画、基本趣旨は「BL小説における挿絵の重要性を語り、小説の世界を壊すことなくピッタリ仕上げ、かつ個性を出してくる絵師さんを褒めよう!」というものです。

    では、いってみましょー!

    ■グランプリ作品/絵師
    龍の求愛、Dr.の奇襲 (講談社X文庫―ホワイトハート)龍の求愛、Dr.の奇襲 (講談社X文庫―ホワイトハート)
    (2008/08/01)
    樹生 かなめ (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    奈良画伯の素晴らしさ。それは「…レジに持っていけない…」と腐女子をオロオロさせるような無体絵を、「どうだー!これでもかー!ばばばばーん!」と描き切るそのクールなエロっぷりが、なによりも誰よりもスゴイからというよりは――圧倒的な画力、レーベルおよび小説イメージを見事に掴んでピタリと合わせるそのセンスが群を抜いてるからだと思います。

    売れっ子絵師さんなのでいろんな作品に絵付けされていますが、2008年の作品で私がイチオシなのは、講談社ホワイトハートから出ている樹生かなめさんの『龍&Dr.』シリーズ。中でも、この『求愛、奇襲』がすんごくいい。このシリーズの新刊が出るたび思うのは、表紙だけでその巻の清和と氷川の関係がよくわかるということ。「デジタルゴージャス時代」に突入したときの画伯でも、このシリーズの表紙背景は(他の作品に比べると)あまりゴチャついてなかったです。たぶん、そんな必要がないからでしょう。

    その場面つかみの上手さ。
    BLとして微妙な位置にあるホワイトハートに合わせた適度なエロ。
    キャラクター描き分けの確かさ。

    なんて素晴らしい!…もちろんダークなラヴァーズ文庫でもそのつかみは上々で――

    愛炎の檻 (ラヴァーズ文庫) (ラヴァーズ文庫)愛炎の檻 (ラヴァーズ文庫) (ラヴァーズ文庫)
    (2008/07/25)
    著・バーバラ 片桐画・奈良 千春

    商品詳細を見る

    画伯のラヴァーズ文庫作品は内容が「……」といっていいものが多いぶん、表紙が必要以上にゴージャス、まるでそれが画伯に課せられた使命かのようです。

    画伯、今年も頑張って下さい!…秋林、心底、画伯のファンですから!
    (「勝手に奈良画伯ヒストリー」は後日加筆して再アップの予定)

    ■筆力に殺されなかった作品/絵師
    吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.3 (Holly NOVELS) (ホリーノベルズ)吸血鬼と愉快な仲間たち Vol.3 (Holly NOVELS) (ホリーノベルズ)
    (2008/10/29)
    木原 音瀬 (挿絵:下村 富美)

    商品詳細を見る

    いろいろご意見はあると思うのですが、木原音瀬さんはそのなんていうのかな…独自のコノハラワールドを築き上げている筆力のある作家なので、イメージに合う/合わないというより、挿絵自体が邪魔に感じるときがあります。今年はそういう挿絵を邪魔に感じる作品はあまりなかったのですが、中でも筆力に殺されてなかったといえる作品が、『美しいこと』と『吸血鬼と愉快な仲間たち』。どちらが絵師の個性を活かせているかとなれば、やっぱり下村さんだなと思い、後者を選択しました。素敵ですよね♪

    ■設定に負けずにチャレンジしてきた作品/絵師
    獣の妻乞い (リンクスロマンス)獣の妻乞い (リンクスロマンス)
    (2008/01)
    沙野 風結子 (挿絵:実相寺 紫子)

    商品詳細を見る

    獣*モノだけど純愛という、2008年明けて早々ビックリさせられた沙野さんの作品。リンクス(幻冬舎)よくオッケー出したなと思ったけれど、それ以上に感心したのが絵師の実相寺さん。まったく逃げずにそのシーンを描き切ったんだから、スゴイです。もともと「沙野&奈良」より「沙野&実相寺」のほうが相性がいいと思ってはいましたが、この作品でそれを確信致しました。カラー口絵は必見。

    ■表紙カラーイラストが上手い作品/絵師
    幸村殿、艶にて候3 (キャラ文庫)幸村殿、艶にて候3 (キャラ文庫)
    (2008/06/25)
    秋月 こお (挿絵:九號)

    商品詳細を見る

    秋月こおさんの時代モノ。面白いです。九號さんはルチル系でよくお見かけする絵師さんで、表紙カラー絵が一枚絵として出来上がっているタイプ。表紙構図と配色がどの作品も上手く、とても映えます。ただ、カラーと白黒描線の挿絵にややギャップがあり、カラーの印象で中の挿絵を見ると、「あれ?イメージが違う?」と感じる方は少なくないと思います。このシリーズは、どのキャラも立っており、ストーリーもサクサクっと軽快に進むため、カラーに比べればちょっと拙い(失礼!)印象な白黒挿絵のほうが、逆に躍動感があっていいのかもしれません。今後に期待。

    ■ジャンルホッパーでもコレが一番だろう作品/絵師
    ウミノツキ (新書館ディアプラス文庫)ウミノツキ (新書館ディアプラス文庫)
    (2008/03/10)
    いつき 朔夜 (挿絵:佐々木 久美子)

    商品詳細を見る

    2008年、もっとも活躍した絵師のひとりである佐々木久美子さん。橘紅緒さんから沙野風結子さんまで、麻雀モノから時代モノまでと、手がけた作家・作品もかなり幅広く、ジャンルホッパーな活躍ぶりでしたが、この青春マリンブルー作品が一番合ってたように思います。ヤクザや刑事モノは向いてないと思うんだけどな…。

    ■よく引っ張ってきた作品/絵師
    死ぬまで純愛 (KAREN文庫Mシリーズ)死ぬまで純愛 (KAREN文庫Mシリーズ)
    (2008/03)
    鹿住 槇

    商品詳細を見る

    読み手を選ぶレーベル(KAREN文庫Mシリーズ)なので、あまり知られていないかもしれません。津寺さんは昔秋田書店系で活躍されて、現在はハーレクイン系の作品を手がけておられます。姫系でもBLっぽい方はおられますが、「少女マンガの王道」な絵柄の津寺さんがBL小説の挿絵をお描きになるとは思ってなかったー!…この『死ぬまで純愛』は昔の少女マンガ風の作品なので、本当にピッタリでした☆

    ■秋林要チェック絵師2009
    青の疑惑 (キャラ文庫)青の疑惑 (キャラ文庫)
    (2007/11/27)
    水原 とほる (挿絵:彩)

    商品詳細を見る

    烈火の契り (キャラ文庫 し 2-11) 烈火の契り (キャラ文庫 し 2-11)
    (2007/06/23)
    秀 香穂里 (挿絵:彩)

    商品詳細を見る

    2009年、私が注目している絵師さんは彩さんです。絵は似てないんだけども、カテゴリ的には茶屋町勝呂さん、槇えびしさん、えすとえむさん系――つまり確固たる自分の世界を持っておられる/構築されているタイプの絵師さんです。こういう方は少ないので、要チェック!

    以上、カテゴリ別で、作品および絵師さんを選んでみました。

    2008年に活躍、あるいはブレイクした絵師さんとして思い浮かぶのは、奈良千春さん・佐々木久美子さん・高階佑さん・麻生海さん・蓮川愛さん ・水名瀬雅良さんかな?…中でも佐々木さんと水名瀬さんは、本当によく見かけたと思います。逆にパタっと見かけなくなったのは、北畠あけ乃さん。お休みされてるのかな…。

    さて。2009年はどんな絵師さんが現れ、ブレイクするでしょうか?
    これから楽しみです♪

    *2009年1月9日に書いたテキストを一部加筆修正
    web拍手 by FC2

    ウェルカム!新人さん 2008

    …というわけで、新人さん2008総括です。

    2008年に単行本デビューした作家が何名いらっしゃるかはわからないのですが、月ごとに新人さんをチェック、1年間かけてそのデビュー作の感想を書いてまいりました(全部は書けなかったけど)。コミック・小説、できるだけ均等に取り上げようと思ったのに、以下のリストを見ると、コミックのほうが多くなってしまったようです。リストに載ってない新人さんの作品も読みましたが、とりあえず「新人さんリスト」は以下としておきます。5月は「別冊コーラス」となっていますが、「ソフトBLでお手並み拝見」という意味で入れました。

    ■新人作家リスト
    1月:【小説】山田たまき(『ゴールデン・アワーズ・ショウ』
    2月:【コミック】小石川あお(『それは食べてはいけません。』【小説】藤代葎(『誘惑』)
    3月:【小説】波奈海月(『暁月のテロリスト』)
    4月:【コミック】彩景でりこ(『傷だらけの愛羅武勇』
    5月:【雑誌】別冊コーラスSpring「女人禁制」
    6月:【コミック】車折まゆ(「コル・レオニス―獅子の心臓―)
    7月:【小説】一穂ミチ(『雪よ林檎の香のごとく』)
    8月:【コミック】TATSUKI(『もしも願いが…』)
    9月:【コミック】小椋ムク(『ふるえる夜のひみつごと 』 )、ヨネダコウ(『どうしても触れたくない』)
    10月:【コミック】一ノ瀬ゆま (『答えはそこに海があるから 』)
    11月:【コミック】麻生ミツ晃(『スイートビターキャンディ』
    12月:【小説】オハル(『SH(シュガーハイ)』、桃田りう(『接吻契約』)

    小説系は比較的いろんなジャンルの作品を読んだと思うのですが、コミック系は自分の好みが強く出てしまいましたねー。

    ■【小説部門】期待の新星2008 
    雪よ林檎の香のごとく (新書館ディアプラス文庫)雪よ林檎の香のごとく (新書館ディアプラス文庫)
    (2008/07/10)
    一穂 ミチ

    商品詳細を見る

    さほど好みではない「教師×高校生」な作品ではありましたが、美しくて透明感のある日本語の文章が丁寧に綴られていたこと、とにかくそれが素晴らしかったです。その昔に私自身も、歌集を持ち続けては口ずさんでいたくらい、北原白秋の「君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ」が好きだったので、タイトルを見たときからヤラレター状態だったのかもしれません。最初は淡々としながら、クレッシェンドな盛り上がりを静かに見せていくストーリーがよかったです。デビュー作でこのレベルなら、2作目を期待する人は多いんじゃないでしょうか?ただ主人公の心情描写が素晴らしかったのに対し、先生の気持ちがちょっと…「あれ?先生も生徒が好きだったの?いつ?」と少々強引だった印象があるので、もう少し突っ込んで書いてほしかったかな。

    ■【コミック部門】期待の新星2008
    それは食べてはいけません。 (バーズコミックス ルチルコレクション)それは食べてはいけません。 (バーズコミックス ルチルコレクション)
    (2008/02)
    小石川 あお

    商品詳細を見る

    云いたいことは感想で書いちゃったので割愛します。他のみなさんが絶賛するヨネダコウさんではなく、小石川さんを選ぶあたりが実に私らしいと思います。

    ■総括
    「なんかちょっと違うものを読んでみたいのよね」という人が多くなってきたのか、ここ近年のBL界の新人さんは、東京漫画社系の方に話題が集まっていたように思えます。でも2008年は、幻冬舎と大洋図書から出た新人さんが、奇をてらわない丁寧な作風でとても良かったな…という印象を受けました。そして小説よりコミックのほうが期待の新人さんが多かったですね。中で個人的に推したいのは、小石川あおさん・ヨネダコウさん・車折まゆさん・小椋ムクさん・麻生ミツ晃さん…かな?

    さて。2009年はどんな新人さんが現れるでしょうか?

    これから楽しみです♪

    *2009年1月2日に書いたテキストに一部加筆修正
    web拍手 by FC2
    -
    - - - - - - 1
    2 3 4 5 6 7 8
    9 10 11 12 13 14 15
    16 17 18 19 20 21 22
    23 24 25 26 27 28 29
    01 03
    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
    BL感想&レビューブログです。

    >>ネタバレ上等<<
    なので、お気をつけ下さーい!

    リンクはご自由にどうぞ♪

    コメント欄にはURLが貼れません。
    (スパム回避のためです…)
    もしURLのご連絡がございましたら、
    お手数をおかけ致しますが
    メールフォームにてご一報下さい。

    ★ご注意★
    ネタバレ回避でテキストを折ることは(ほとんど)ありません。

    オンラインカウンター
    現在の閲覧者数:
    最新記事
    最新コメント
    カテゴリ
    メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    検索フォーム
    リンク
    QRコード
    QR
    QLOOKアクセス解析