「是 -ZE- 5」 新書館 2010年 … 静かなる奇跡

    !コミコミオリジナル初回特典付!
    阿沙利-…。
    約束の言葉を、聞かせてくれ。
    白紙になった阿沙利を呼ぶ、彰伊の声は届くのか……!?
    感動と涙の彰伊×阿沙利篇、コミックス加筆部分までを網羅して完全ドラマCD化!!

    ★初回特典:描き下ろしプチコミックス
    ★コミコミオリジナル初回特典付
    ★コミコミオリジナル初回特典は、『志水ゆき先生描き下ろしペーパー』です!!
    ※初回特典ペーパーはなくなりしだい、終了となります


    原作:『是 9』 志水ゆき 新書館 2010年
    出演者:森川智之(三刀彰伊)/近藤隆(三刀彰伊・少年時代)×千葉進歩(阿沙利)、一条和矢(吉原和記)、中井和哉(近衛)、緑川光(三刀琴葉)、他
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    3. 気になる声優さんが気になる役で出演しているから
    6. 原作を読んでいなくて、ドラマCD化したなら聞いてみようかと思った作品だから

    原作未読だけど(7巻まで読了)世界観はわかってるから大丈夫でしょう、たぶん…ということで聞耳。

    影伊と阿沙利の過去、そして現在がクロスする形式でストーリーが展開する。とりあえず原作を7巻まで読んでいたので、ふたりが置かれた状況は理解できているし、回想シーンがいったいどこを追っているのかもわかる。阿沙利のしっとりしたモノローグ、影伊とのダイアローグが淡々と続き、BGMとなるピアノの旋律が穏やかなので愛の奇跡を描くドラマチックな内容なわりに静かな印象。水面を覗き込むような感じ。阿沙利が再生する際に現れたらしいキーパーソンの力一が、阿沙利とどんなやりとりをしたか完全にわからず、個人的にその演出が残念だった。原作を未読で視覚的補充ができない人がそのシーンを聴くと、クライマックスとして物足りなさを感じるかもしれない。

    キャストに関しては、千葉さんas阿沙利は想像通り。森川さんas影伊はどこまでもカッコよく、近藤さんas少年時代の影伊はセンシティブな少年という感じででとても良かった。ただひとつ…和記が原作と印象が違っていて「こういう解釈できたか」と驚いた。原作者のチェックが入っている以上、あれが和記の喋り方なんだろう。

    ある程度の予備知識を持っていれば聴けるが、原作既読で聴いたほうがより盛り上がれるかもしれない。全体的に落ち着いていて、良い意味で淡々とした大人の1枚。

    評価:★★★☆(よく1枚にまとめたと思う)
    好み:★★★☆(声優陣が豪華だー)

    子どもの頃からずっと紙様に執着していた言霊師といえば、彰伊と玄間がまず思い浮かぶ。ともに自分の紙様が白紙になり、和記にスゴんで再生させたまでは一緒。ただ紙様が記憶を持ってそのまま再生するのか、姿は同じでも別人格(紙格?)として再生するかの違いがあり、結果、氷見は後者で阿沙利は前者。どちらにせよ、その愛は変わらなかった。もし阿沙利が記憶のないまま再生したら――彰伊はガッカリしたのだろうか…と、森川さんの熱演を聴きながらつい思ってしまった。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2010年8月1日に書いた感想を加筆修正

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    「白の彼方へ」 サイバーフェイズ 2008年 … 犬があああああーっ!


    2008年3月発売CD【△図書カード付】白の彼方へ
    原作:『白の彼方へ』 真崎ひかる 二見書房 2007年 
    出演者:中村悠一(塩見岳/橋田稜)×緑川光(伊澤朝陽)、井上和彦(浅田崇文)、ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    2. 好きな声質を持つ声優さんが出演しているから
    7. 原作はそれなりの面白さで、ドラマCD化したほうが面白くなりそうだと思ったから

    原作を読んでいるときから、ドラマCD向きの作品だなあ、ストーリーラインはしっかりしているし、これで声優の演技と効果音が付けば、山岳警備隊モノだからドラマチックな臨場感が出てもっと楽しめそう…と思っていたら、サイバーフェイズからすでにCDが発売されていた。がしかし、どこも売り切れ。サイバーはポシャったし、どうしたらいいものか…と嘆いていたところ、コミコミの在庫セールで売り出された。合掌しつつ、これ幸いなりとポチって聞耳。

    新人山岳警備隊員×山荘管理人。年下攻。中村さんは中低音、緑川さんは中音?

    オープニング、緑川さん演じる朝陽が山荘から外に出てひとこと「眩しい…ようやく晴れたか…」。
    そして山荘で飼っている犬ツルギの鳴き声――うぉわん!
    いまさらなに云っても遅いけど、サイバーさん…なんで犬役を声優さんにさせたの? 「タッチ」のパンチ?

    恋人に死なれ、ひとり山荘で仕事をしながら生きている朝陽の「もう誰も好きにならない」という淋しいモノローグが淡々と続くとゆーのに、合間合間に不自然なワンコ声がばうばうと響くので、どうしても興ざめる。なんとかガマンしようと聴き続けていると、井上さんas浅田が登場。井上さんがあーまーりーにいい男だったので、攻の中村さんが霞む。緑川お前な〜、死んだ中村より近くの井上だろう!と思ってしまった。中村さんに「純朴な大型ワンコ、ワンコというよりテディベア」な年下男役がもったいなかったのかもしれない。別に悪くないし、演じる幅が増えるのはいいのだが、1枚通してこれだけ印象が残らない中村さんも珍しい。原作も朝陽と塩見のエピソードが少なくてふたりが恋に落ちる経緯に盛り上がりがなかったし、浅田と朝陽のやりとりのほうが魅力的だったのだから、これはもう「原作がそうだから仕方がない」ということか。

    救助隊が活躍するシーンは、迫力のある演技や臨場感のある効果音で聴き応えがあり、塩見を心配する朝陽の思いを支えるピアノの旋律も素晴らしく、クライマックスは見事な演出だったと思う。

    ただリアルな設定なのに、男同士の恋愛に対する抵抗や偏見といった障害がビックリするほどないことや、「うぉわん!」なワンコ声などが気になって、リスナーによっては所々でガクリとなってしまうかもしれない。

    評価:★★★☆(緑川さんが好きな人にはオススメ)
    好み:★★★(ストーリーがしっかりとした良作なんだけど…)

    T山県警の山岳警備隊員さん、ビックリしそーだー。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
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    *2010年5月27日に書いた感想を加筆修正
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    「SEXY EFFECT 96」 フィフスベニュー 2008年 … どっちがどっち?


    フィフスアベニューCDSEXY EFFECT 96
    原作:『SEXY EFFECT 96』 真山ジュン 新書館 2006年 
    出演者:小西克幸(桐埜幸四郎)×森川智之(洲田秀一)、阿部敦(仲原譲)ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    3. 気になる声優さんが気になる役で出演しているから
    6. 原作を読んでいなくて、ドラマCD化したなら聞いてみようかと思ったから

    刑事の桐埜は、敏腕検事洲田に密かな想いを寄せる。毎晩、夢の中で彼を陵辱するほどに。そんな桐埜に極秘捜査命令が。東京郊外の廃病院で監禁され暴行を受けた洲田が、保護されたというのだ。しかも事件の捜査パートナーは、被害者である洲田本人で……。描き下ろしも収録。直情刑事と知性派検事のワケありコンビネーション!!


    「小西×森川」って珍しいなあということで聞耳。

    森川さんが切れ者クールビューティという設定に最初「?」状態、森川さんは洲田というより桐埜のイメージだったので逆のほうがいいように思えた…が、聴いてみるとこれが意外に合っていた。

    森川さんは繊細で温かみが感じられる大人の男だったし、小西さんは元気で真っ直ぐな年下ワンコの雰囲気を出しつつ気配りができる男、刑事としての有能さも感じた。ともにキャラつかみが上手い。原作を知る人やファンは、このキャスティングに文句ないんじゃないかと思う。ただ、ドラマCDベテラン聞耳組な人には小西・森川の違いがわかっても、私のような聞き耳歴の浅い人間には元気な小西声と線が細くて若干高めな森川声はカブるようで、たまにどっちがどっちだかわからなくなってしまい、混乱した。

    ストーリーは、刑事と検事が組んで事件を解決するうちにラブが芽生えるというもの。桐埜の純情ラブは可愛いらしくて好感度が高いし、事件は重すぎず軽すぎずなので、気が滅入らない。シリアスとコメディの具合が丁度よくて聴きやすい。桐埜と後輩・仲原のおバカで小気味良いダイアローグは、聴いていてとても楽しい。どのシーンも躍動感があるので、画がすっと目に浮んでくる。気になることがあるとすれば、サクサク進みすぎることと、あの洲田がピンチでも簡単に「ごめんなさい」というキャラだろうか?ということぐらい。CD1枚でキレイにまとまっていて後味もスッキリしているので、ヘビーな作品が続いた後に聴くとホッとする。

    ただ、全体を通してコレという個性や主張がないし、小西さんの元気ゴリラワンコと森川さんの美人受にどれだけ需要があるのかが未知なゆえ、演技も出来もいいのに見逃されそう/聞き逃されそうで、ちょっともったいないなという印象を受けた1枚。

    評価:★★★☆(聴きやすいです)
    好み:★★★☆(続きがあるらしいので、いつか聴こうと思ってます)

    先日購入した「ディアプラス5月号」で真山さんの連載を読んだら、ルックスがみな似ていてキャラの区別ができなかった。そして意外と絵に動きがなかった&顔アップが多かった。ドラマCDのほうがいいかも。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2010年5月3日に書いた感想を加筆修正
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    「透過性恋愛装置」 インターコミュニケーションズ 2008年 … ビックリ乙女

    透過性恋愛装置透過性恋愛装置
    (2008/03/25)
    ドラマCD鈴木達央

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    原作:『透過性恋愛装置』 かわい有美子 笠原出版社 2007年 
    出演者:安元洋貴(牧田)×鈴木達央(北嶋)、保村真(滝乃)、谷山紀章 (水端)、ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    3. 気になる声優さんが気になる役で出演しているから

    若手建築士として注目を浴び、己れのルックスにも自信を持っていた北嶋は、とあるコンペでホテルマンの牧田と出会う。その落ちついて控えめな物腰を軽んじ、コンペで最優秀賞を逃したことで牧田にいちゃもんをつける北嶋だったが、常に大人の余裕を持つ牧田に諫められ高慢な鼻をへし折られてしまう。それをきっかけに牧田の人間性に触れ、恋に落ちてしまった北嶋は、思い付く限りの策を弄するのだったが…。


    「好き嫌いは別にして、鈴木達央さんの乙女喘ぎは一度ちゃんと聴いておくべき」ということで、頂いた鈴木達さん主演作「透過性恋愛装置」をチョイス、聞耳。

    挫折を知らないワカゾー北嶋のハイパー自己中にビックリ。その空気をまったく読めてない言動と所業ぶりには開いた口が塞がらなかったが、ある意味、正直な男といえるだろう。いっそ清々しい。ところが牧田に恋をした途端、今度は怒涛の乙女化。「誰かコイツの暴走を止めてくれ!」と白腹を揚げそうになったのは、鈴木達さんの演技が真に迫っていて素晴らしかったからだろう。

    前半の高慢ちきな北嶋にイラっとする人は多いと思う。こういう奴は、周りがすでに「こんなヤツだから仕方ねーな」と分っていて、どう付き合えばいいか学習済であることが多い。北嶋の同僚や上司、そして友人たちは北嶋と上手く付き合ってるなあ、脇キャストもそういう演技をしているななと唸りながら聴いた。

    魅惑の低音ボイスを持つ牧田を演じたのは、安元さん。原作ではとても36歳に思えなかった牧田だったが、安元さんの声で聞くとその年代だと感じる。イメージ通りかどうかは人それぞれだとしても、今まで私が聞いてきた安元さんは20代の設定が多かったので、こういう大人っぽい優しい声を出せる人なんだと勉強になった。

    多少エピソードは削られているが、原作通りの話と展開本だったので、原作好きな人には大満足の1枚だと思う。ただ私には…ドラマCDで聴いても「牧田→北嶋」が突然に感じられてピンとこなかった。そしてエロが甘過ぎた…。鈴木達さんの喘ぎはたしかに原作通りなのだが、アンアン連発とそれに続く牧田のこっ恥ずかしいセリフを聴いていると、どーにもこっちが恥ずかしくなってしまう。居た堪れなくなりiPodを止めることしばしば、最終トラックを聴き終えるまで3日かかってしまった。

    北嶋はハイパー自己中から暴走乙女、牧田は一気に激甘エロ化――ギャップを楽しむ作品なのかもしれない。

    評価:★★★★(鈴木達さんに★をすべて捧げる)
    好み:★★★☆(iPod停止率の高いドラマCDだったなー)

    ドラマCDでも、感想は原作を読んだときとまったく同じ。最終的に甘くなる話がお好きな人、鈴木達央さんに興味のあるorお好きな人にオススメの1枚…かな?

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2010年4月27日に書いた感想を加筆修正
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    「嵐のあと」 サイバーフェイズ 2008年 … リアリスティックファンタジー

    ドラマCD 嵐のあとドラマCD 嵐のあと

    サイバーフェイズ

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    注意:メーカー倒産により新品の流通はストップ、中古の在庫も厳しい人気タイトルです。画像は密林のもので、「現在在庫切れ」となっています。 

    原作:『嵐のあと』 日高ショーコ 芳文社 2008年 読(現在、既読)
    出演者:森川智之(榊正彦)×中村悠一(岡田一樹)、鈴村健一(美山洸平)、ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    2. 好きな声質を持つ声優さんが出演しているから
    6. 原作を読んでいなくて、ドラマCD化したなら聞いてみようかと思ったから
    番外. お友だちに「聴いてみて下さいね☆」とオススメ頂いたから

    日高作品なのに原作を読んでいなかったのは、先に発表された関連作『シグナル』にピンとくるものがなかったからで、「『シグナル』に出てた榊の話か…別にいいや」と完全スルーしていた。ところがドラマCD化されたのは『嵐のあと』。もしかして『シグナル』より面白い?と興味がわき、またメイン出演者が森川さんと中村さんだったこともあって聞耳。

    輸入家具会社社長の30代ゲイ(主人公)が、取引先で知り合ったストレートの男に抑えきれない恋心を抱いて葛藤する姿と、その気持ちを知って揺れ動く相手の心情を描いた作品。森川さんと中村さん、ともに中音。

    取引先との飲み会で、外面良く振舞っているゲイの榊。だが内心では「センスのないやつばかりだ」と毒づき、早く帰りたいと思っていた。そんな榊の前に、今回の仕事で担当になるという岡田が現れる。紹介されて話してみると彼は好みのタイプだったが、残念ながらストレートの男で――というふたりの出会いの場面から始まる。

    それなりに仕事は成功し、面倒くさくないパートナー・美山もいて、日々余裕がありそうな大人の男として登場した榊だが、岡田に深く惹かれて心四六時中彼のことを思うも、「ストレートに恋したって自分が傷つくだけ」と恋に臆する姿をどんどん晒していく。そんな内省的なキャラを好演しているのが森川さんで、榊の神経質そうな性格がセリフの端々までよく表現されている。対する岡田は、仕事でこそ身なりはいいが、実はややルーズで無頓着なタイプ。そして初対面の相手に「この人、いいな」と思わせる魅力を持つ男――中村さんはそれが自然に出せる人であり、純情だったり天然だったりする役よりも、岡田のような世俗に小慣れた感のある役のほうが似合うと思う。

    一種のファンタジーであるBLなのに、この作品はとてもリアルに感じる。その理由はいくつかあって、まずひとつ、榊が岡田を好きになっていく過程やその姿に共感しやすいことが挙げられる。たとえば、ふたりが出会う冒頭の場面は現実でもよくあるシチュエーションだと思うし、実りそうにない恋ならば、募る思いをなんとかやり過ごそう、今はつらくても気持ちは次第に薄れていくはずだと、自分に云い聞かせて自己完結してしまうことも、ゲイに限らず多くの人が経験しているのではないかと思う。

    ふたつ目は、岡田の戸惑い。「この人と仕事したい、一緒にいると楽しい」と相手を好意的に思う気持ちは、人間関係の中でよく起きる感情のひとつであって、すべてが恋愛に繋がるわけではない。しかも相手が同性ならば、自分に恋愛感情を抱いているだなんて想像すらしないだろう。岡田が榊の行為に驚いたのは当然のリアクションであり、混乱して逃げてしまったことは責められない。

    みっつ目は、実際に男性である声優によって演じられていること。感情が激しくぶつかり合うクライマックスのあと、静かに吐露されていくふたりの本音や交わされる他愛のない日常会話は、原作コミックだと淡々としている。だがドラマCDでは音楽や効果音が入ることで臨場感が増し、男性がリアルに演じることでセリフに揺れる感情が乗り、キャラの真意がどこにあるのかコミックより理解しやすいものになっている。また声のレベルが、それぞれの演者が持つ地声に近いので無理がなく、穏やかに耳に入ってきて心地よい。

    話は榊視点で進行するが、ふたりの立場や心情は常にイーブンで描かれているので、BL的な都合のよさが一切出てこない。「この恋の行方は?ふたりはいったいどうなるの?」――最後まで聴かないとわからないし、最後まで聴いてもどこか心切ない。

    このリアルな作品にファンタジー部分があるとすれば、それは岡田が榊を受け入れる可能性を持った男だったということくらいで、現実の世界においてその確率はかなり低いだろう。恋愛模様がどんなにリアルに描かれていても、この作品がBLファンタジーに帰属する理由はそこにある。わかりやすいハッピーエンドが約束されている予定調和を楽しみたい人や、めくるめくBLファンタジーを期待する人には向いていないが、心情描写重視で聴き応えのあるリアリスティックなBLファンタジーを望むならば、これ以上の作品はない。

    ストーリー・脚本・演出・音楽・キャスト――欠けているものが一片もない、最高のものだけが揃った一枚。

    「榊さん…少しぐらいは――俺とあなたの気持ちが重なる可能性も考えてみてよ」

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(パーフェクト。星はいくつあっても足りない)
    好み:★★★★★(今のところ、私にとってこれ以上の作品はない)

    中村さんが受を演じると、ラブシーンでゴソゴソしたあといきなり「あああーーっ!」と大声を上げるので、聴いてるこっちはいつもビックリする。うかうか寝落ちもできないよー。効果音で気になることがあるとすれば、水音くらい?大きくはないけど小さくもないきゅるきゅる音で、この作品なら別にそんなに鳴らさなくたっていい、さほど必要ではないと思うんだけどなあ。でもそれは個人の好みによるかも。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。


    * 語りたいことはまだある…けど、長くなるので「Continue Reading」以降に移動させます。

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    「交渉人は黙らない」 サイバーフェイズ 2007年 … スルメの味わい

    交渉人は黙らない (SHYノベルス)交渉人は黙らない (SHYノベルス)
    (2007/02/23)
    榎田 尤利

    商品詳細を見る

    注意:メーカー倒産により新品流通なし。中古の在庫も厳しい人気タイトル。原作本の画像を出してみました。

    原作:『交渉人は黙らない』 榎田尤利 大洋図書 2007年 
    出演者:子安武人(兵頭寿悦)×平川大輔(芽吹章)、日野聡(美村紀宵)、梶裕樹(橋田智紀)、定岡小百合(さゆり)、安元洋貴(鵜沢万里雄)、秋元羊介(周防忠範)ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    番外. お友だちに「聴いてみて下さいね☆」とオススメ頂いたから

    榎田尤利の大人気シリーズ「交渉人」第1作目をドラマCD化。 

    中身はオッサンである美貌の交渉人が、ヤクザの若頭となって現れた高校の後輩に大変な執着ラブをかまされながらも、得意の舌鋒で人々を助け、また自身もまわりに助けられ困難を乗り越えていく人情モノ。ヤクザ×交渉人、年下攻。子安さん中音、平川さん中音。

    原作と同じように、敷金返金を巡る交渉から話はスタート。比較的ゆっくり目に話す平川さん。それは相手が誰であろうと終始変わらず。兵頭との夫婦漫才のようなダイアローグなどプライベートの芽吹はもっと早口がいいんじゃないか、なんたって江戸っ子なんだし…と感じたが、何度も聴いていたら平川ペースに慣らされ、今ではすっかり「それ(=ゆっくり)もアリ」になった。タイトル通り喋りっぱなしな上、知的な交渉人口調からざっくばらんのべらんめぇ節まで楽しめるので、平川さんを堪能するには最適な作品でもあると思う。

    突っかかってくる芽吹をヒョイヒョイとかわしていく兵頭は、子安さんがドンピシャの喋りをしてくれる。最初に聴いたときは「え?これが兵頭?リーマンみたいだ」とあれほど思ったのに、今ではもう「兵頭は子安さんでなきゃヤダ」。新刊読んでも、兵頭のセリフはすべて子安さんの声に脳内変換されてしまう始末。子安さんは何を演じても「子安でーす」という感じなのに、役にハマると怖いくらいにキマる。

    キヨ(日野さん)、智紀(梶さん)、鵜沢(安元さん)、さゆりさん(定岡さん)、周防の親父さん(秋元さん)…すべてのキャラがピッタリで、なおかつ脇をしっかり固めてくれているので、「上手いなあ」としか言葉が出てこない。中村さんに指摘されて気づいたのだが、「外画(吹替)っぽいキャスティングですね」…ダイアローグ中心の脚本だし、平川さんはもちろん定岡さんや秋元さんも吹替でよく見かける方だし、個人的に落ち着いて聴ける理由はそこにあるのかもしれない。

    主人公が交渉人だけあって理に適った笑いが提供され、聴いていてとても楽しい。ただゆっくり目に話すせいか、ダイローグのテンポが冗長に感じられることがある。本編のエピソードは、気になるほど大きな端折りはなかったのだが、どのセリフのどの言葉を残すのか、そのチョイスがイマイチだった。原作はセンスのいい言葉をバンバン使っているのに、なぜそれを残さない?…と思うことしばしば。原作を読んでいなければそんな風には思わないはずであり、既読組ゆえの指摘といえる。もうひとつ残念だったのは、一部の音楽でピコピコBGM。場面に合わず、聴こえてくるたびにガッカリした。

    話が面白い、キャスト最高――ただところどころ間延びしたり、場面に合ってない音楽が足を引っ張ったりと、細かなところで取りこぼしがあり、ちょっともったいない。それでも充分多くの人が満足する出来だろうし、枚数を重ねるともっとよくなる気がするので、続き(3巻目以降)をなんとか別のメーカーから出してもらえないだろうか。真剣に願う。

    最初に聴いた印象がどんどん変わっていった作品。飛ばし気味に聴いてたのに、今やすっかりハマってしまった。声優さんの演技の面白みがじわじわ浸透してきたからだと思われる。まさにスルメの味わい。

    評価:★★★★(面白いですよ☆…続編希望、キャストそのままで)
    好み:★★★★★(私自身はたいへん気に入ってる作品ですー)

    SEや短いBGMなど、Final Cutの音素材使ってるから(こんなにあからさまに使ってる作品のほうが少ないんじゃ?)、他社で製作することになってもすぐ対応できると思うんだけどなあ…って、問題はそういう技術的なことじゃないか。

    キャラの声のイメージが合ってるかどうかは聴く人次第だけど、平川さんの芽吹解釈の方向性はまったく間違ってない。なんで平川さんは芽吹がわかるのかしら?…と思ってたら、しっかり原作を読まれていて、「原作すっごく面白いんです」「あとがきで榎田先生が〜」という話をされていた。ホント真面目な方だー。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2011年5月8日に書いた感想を加筆修正

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    「エス1」 サイバーフェイズ 2005年 … いつも必死な熱血椎葉

    エス (SHYノベルス)エス (SHYノベルス)
    (2005/02/10)
    英田 サキ

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    注意:メーカー倒産により新品流通なし。中古の在庫も厳しい人気タイトル。原作本の画像を出してみました。挿絵を手掛けられた絵師さんは、いったいどなた?…うわわああああんっ!

    原作:『エス』 英田サキ 大洋図書 2005年 
    出演者:小西克幸(宗近奎吾)×神谷浩史(椎葉昌紀)、三木眞一郎(篠塚英之)、杉田智和(安東隆也)、中村悠一(鹿目)ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    番外. 「初めて聴くBLCDなら、原作知っているタイトルで」とお友だちからオススメ頂いたから

    秋太夫が初めて聴いた記念すべきBLCD。再レビューのために再聴。

    拳銃密売捜査をする孤独な刑事が、情報提供者「エス」として取り込むべく、ある経済ヤクザと駆け引きを重ねていき、いつしかそのヤクザに心と体の奥深くまで切り込まれてしまう話。ヤクザ×刑事、小西さん低音、神谷さんやや低音。

    原作と同じくドラマCDでも、寝ていた椎葉がこの時点ではまだ正体不明だった宗近に電話で起こされ、「安東に気をつけろ」と云われるシーンから始まる。ところが起きたばかりなのに、神谷さんas椎葉は勢いよく「なんだって!?」。高血圧気味で必死。原作1巻の椎葉に対し「ポッキリ折れそうな心を仕事でなんとかつなぎ止めている」という印象を持っていたのだが、神谷さんは常にキレのある早口でテンション高め、とても心折れそうな人には思えない。疲れているというより「俺は潜入捜査官さ!」、嬉々として仕事をしているような感じさえする。ただ「原作は原作、CDはCD」なので、神谷さんの解釈よる椎葉は当然アリ、否定する気はない。

    そして滑舌なボイスオーバーへと続き、話は本題へと進んでいくのだが、主人公が早口でハキハキしている上に1巻の内容を1枚になんとか収めようとしたためか、ドラマ進行のサクサク度が顕著で、あっという間に聴き終わってしまった。実際、ラブシーンはかなりカットされており、「エス1巻」最重要シーンのひとつ椎葉による「ベレッタのバレル舐め」はなく、bjobもカット(「10分で達してみろ」はアリ)。エロを期待する人にとってやや残念な仕上がりだろう。でもすべてのリスナーが原作既読とは限らないし、キレイに1枚でストーリーをまとめるならば、何度もクライマックスがあるよりはラストに1回だけのほうが、ほかに核となるエピソードを端折らずに済むし、また聞き手もその1回に集中できる。そういう意味では、初心者向きの1枚かなと思う。

    小西さんの宗近――最初聴いたときは「この低音ヤダな〜」と思ったのに、今聴くと大して低音じゃないし、まったく問題もなく…というか、逆に「そうそう、宗近ってこんな感じ」。小西さんは基本澄んだ声の人なので、どんなにギラついたセリフが口から出ても、いやらしさが(いい意味で)出にくい。たまにスッキリすぎて物足りなくなるのだが、「エス」のようにイマイチ垢抜けないセリフが多い作品では、それが相殺されてちょうどいいのかもしれない。

    聴き所はラブシーンというより、必死な椎葉と泰然自若な宗近の駆け引きにある。神谷さんと小西さんは、声のバランスがちょうどいいので、耳に入ってくる感じもいい。他のキャストに関しては――三木節による篠塚さんは好みが分かれそう、杉田さんas安東は合ってる、当時ほぼ無名だった中村さんas鹿目はちょっと若いかな?という印象を持った。

    ふたりの駆け引きを際立たせる音楽は心地よいし、全体的によくまとまっているし、雰囲気もあるけれど――ギリギリ詰め込んだ脚本にタイトな演出、小西×神谷のスッキリ声系キャスト、ラストトラック収録のキャストトークが忙しないゆえか、小ざっぱりしすぎていて、今聴くとあまり色気が感じられない1枚。面白いんだけどね。

    評価:★★★☆(「4」まで通して聴くと、たぶん違う感想を持つと思います)
    好み:★★★☆(「エス」CDは、「1」「4」所有で「2」「3」未聴。一番聴きたいのは「2」だったり)

    神谷さんas椎葉があんまりにも必死なので、原作では共感しづらかった「最初はちょっとデカをおちょくってやろうと思った」という宗近の気持ちが、CDではよく理解できたよー♪

    神谷さんはハキハキと滑舌がいいので、名セリフ「お前ピーーなんだろう」「このゲス野郎!」「やり損だ」は聴き心地最高。うっとりする。ケータイの着ボイスにしーたーいー。

    「ヤクザに心と体の奥深くまで切り込まれてしまう話」と書いたのは、これが「1」だから。「エス」は宗近が椎葉によって骨抜きにされていく話なので、CDの本題もやっぱ「2」以降かなと思う。

    よくドラマCD化される英田作品――実は自分が抱いていたキャラのイメージとキャストが一致したことって、ほとんどない。それがイヤなんじゃないの。ただ毎回「え?英田兄貴ってそういうイメージ持ってたの!?アタシのとはずいぶん違う…」とそのギャップに驚かされるなーって。「デッドロック」なんか特にそう、かなりビックリした。一致したのは「恋ひめやも」くらい。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2011年5月8日に書いた感想を加筆修正
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    「恋の花」 サイバーフェイズ 2005年 … 恋の花はいつ咲くの?


    2005年9月発売CD【△図書カード付】恋の花
    原作:『恋の花』 妃川蛍 二見書房 2005年 
    出演者:森川智之(大槻慧介)×平川大輔(朝比奈諒)、麦人(宗方)ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    2. 好きな声質を持つ声優さんが出演しているから
    6. 原作を読んでいなくて、ドラマCD化したなら聞いてみようかと思ったから

    飲食業界の寵児―大手カフェ・チェーンの二代目社長・朝比奈諒。重役たちを説き伏せ、彼が強引にオープンさせたのは、心地よさを追求した『最高のもの』を揃えた理想の店。だがそこにもう一つ足りないものがあった。最高のサービスを提供できる、最高の人材。大槻慧介―彼こそ、朝比奈が見つけた逸材。プロ中のプロの顔を持つ最高の男だった。ある日、ヤミ金に追われる大槻の窮地を救った朝比奈は、借金を全額肩代わりするのと引き替えに、新店舗のマネージャー就任を持ちかける。だがなんと、大槻はその申し出をにべもなく断った。カッとなった朝比奈は勢い余って『愛人契約』というとんでもない条件を口にしてしまい!?


    とりあえずサイバーから平川さんを拾っておかねばと、在庫セールでポチって聞耳。有能カフェマネージャー×勝気な美人社長。森川さん平川さん、ともにやや低音。

    シャレード作品はCDになってもあらすじが長いので、たまにそのせいで困ったりすることがある。しっかり最後まで読まなかった&声優さんの印象で勘違いした私が悪いのだが――「色男の森川さん(攻)が、けなげ美人の平川さん(受)を勝手に見初めて強引に手篭めにしようとしたらば、平川さんに拒否されたので『借金があるんだろう、俺の愛人になればチャラにしてやるぜ?』と脅し、条件をのんだ平川さんがご無体な目に遭ってるうちにフォーリンラブ」という、いつもの話だと思ってたら違ってた。

    いきなり「愛人契約だー!」という「なんでそんな発想?」な条件を云ったのは、社長なんだけどお子ちゃまな受の平川さんで、そんなホモな要求を大して引かずに律儀にのんだ色男が、攻の森川さんだった。

    聴き所は、実は色事に慣れていないウブで意地っ張りな受が恋に落ちて素直になってゆく…あたりか。受を抱いてるうちに攻は受が遊び慣れてないことにちゃんと気付く、というお約束もしっかり踏んでいる。クライマックス、森川さんを引きとめようと畳み掛けるように叫んでバタつく必死な平川さんの演技、それに完璧に合わせてくる森川さんの間が素晴らしい。体を重ねるシーンは2回程度。なんで攻が受を抱こうとしたのか、その心理がイマイチ把握できなかった。原作を読めばわかるのだろうか?

    森川さんにとって十八番な攻だと思う。とてもいい声。平川さんは…こんな勝気で直情型のお子ちゃま社長役を演じるなんて珍しいかもしれない。私は森川さん平川さんともに低音が好みなので、たいへん聴き心地の良い作品といえたが「ふーん。BLによくある話だな」で終わってしまった。「恋の花」というタイトルも凡庸で損している。そして音楽。まるで着メロのようなショボい曲があり、携帯の着信音かと思ってしまった。演技は悪くないが、いろいろと残念に感じた1枚。単純にドラマCD向きじゃない話だったのかもしれない。

    評価:★★★(意外な人が出ててビックリ)
    好み:★★☆(演技はいいんだけど…)

    秘書役の麦人さんに驚いた。秘書というより執事、それも超怪しい存在感あり過ぎな執事だったので、出てくるたびに「実はもしかしてコイツが…」と無駄に緊張しちゃったよー。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2010年5月27日に書いた感想を加筆修正

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    「ココロサワイデ」 fluorite. 2010年 … ほんわかホロリ下克上

    ココロサワイデココロサワイデ
    (2010/04/30)
    森川智之;平川大輔;渋谷茂

    商品詳細を見る

    原作:『ココロサワイデ』 宮越和草 松文館 2009年 
    出演者:平川大輔(平沢孝輔)×森川智之(久我晴之)、渋谷茂(三崎由次郎)ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    3. 気になる声優さんが気になる役で出演しているから
    6. 原作を読んでいなくて、ドラマCD化したなら聞いてみようかと思ったから

    裕福な家に生まれ、放蕩三昧の生活を送っていた晴之だが、 書生としてやってきた5つ年下の孝輔に一目惚れ。 生活態度も改め、せっせと口説いてようやく結ばれる…… そのとき、孝輔から飛び出した意外な言葉は!? 愛はその一線を越えられるのか?


    昭和初期。真面目な書生×裕福な家の次男坊。身分違いの下克上年下攻。
    (書生:他人の家に寄宿して、家事を手伝いつつ勉強する学生)

    あらすじを読んでも「下克上?どこが?」とよくわからない状態だったので、慎重に聞き始めたらば、晴之は書生・孝輔に告白済でふたりは出来上がったカップルだった。そして1トラック目早々、晴之が孝輔に迫り出し――なんだ、平川×森川ではなく森川×平川だったの?と思ったら。

    孝輔:「あなたに抱かれるのは嫌なのです」
    晴之:「俺に抱かれろよ!」
    孝輔:「私があなたを抱きたいのです」

    …と、マウントポジションの争奪戦となっていったのだが、どちらも穏やかな青年なので殺伐とすることは終始なく、晴之が孝輔のいじらしさに絆されたことから意外と早く決着がつき――そのまま初体験シーンへと流れていった。

    ドタバタやってる晴之と、落ち着いてはいるが年齢相応の可愛らしさもある孝輔によるエピソードは、どれも心温まるものばかり。森川さんのコミカルな演技と平川さんの純情がよく伝わる演技のおかげで、聴き心地の良い作品に仕上がっていると思う。身分違いの恋の話をベースにしながら、相手を大切に思う気持ちを丁寧に描いたとてもいい話といえる。だが最初からふたりはデキた状態なので、片思いの切なさや恋のの駆け引きなど「デキるまで」を重視したい人には、少々物足りないかもしれない。

    ふたりの未来はどうなるのだろう?――とても素敵な余韻が残った1枚。

    評価:★★★☆(いろんな面から狙ったキャスティングだったような)
    好み:★★★☆(穏やか~な1枚)

    晴之と三崎が飲んで遊んで帰ってきたシーン。すんごい楽しそう。こういう友だちがいる晴之がうらやましい。

    気になることがあるとすれば、このタイトルが出たタイミングぐらい。森川×平川である「純情2」、平川さんが氷見を演じる「是」オマケCDが同じ頃にリリースされたものだから…ちょっと混乱した。やっぱどこかカブるんだろうなあ。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
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    「愛してないと云ってくれ」 PixyLaboSweet 2007年 … 急ぎ足人情劇

    ドラマCD 愛してないと云ってくれドラマCD 愛してないと云ってくれ
    (2007/09/21)
    イメージ・アルバム水島大宙

    商品詳細を見る

    原作:『愛してないと云ってくれ』 中原一也 二見書房 2006年 
    出演者:井上和彦(斑目幸司)×水島大宙(坂下晴紀)、鈴木千尋(双葉洋一)、ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    2. 好きな声質を持つ声優さんが出演しているから
    8. 原作が好きなので、聞いてみることにした

    日雇い労働者の集まる街で診療所を経営している青年医師・坂下。彼らのリーダー格の斑目は、屈強な男たち相手に一歩も譲らず日々奮闘している坂下を気に入り、なにかとちょっかいをかけていた。ある日、坂下と仲のよい日雇いのおっちゃんが肝硬変を患っていることが発覚。家族に知らせて手術を受けるよう説得してもらおうと考える坂下を、この街の現実を知る斑目は無駄だと一蹴する。坂下を諦めさせるため、躰と引き替えにならおっちゃんの住所を教えてもいいと条件を出す斑目。脅しのつもりだった斑目だが、自分の本気を示すために坂下はその条件をのんで抱かれることになり―。

     
    お手ごろ価格で新品が買えたので聞耳。ワケあり日雇い労働者(井上)×青年医師(水島)。

    さすが井上さんと云うべきか、安心して聴ける演技。だが、品のいい二枚目路線を長年演じてきた方だけに、中原さんらしい下司なセリフを喋ると少し浮いてしまうような感じがした。また「よう!先生」と云って登場してくる場面は、脚本化が悪かったのかワンパターンに感じられて、もっと別の演出はできなかったのかと思ってしまった。坂下を演じた水島さんは「真面目で一生懸命な青二才」で、個人的には坂下にピッタリだと思った。気になるとすれば、モノローグとセリフの境界が(やや)わかりづらかったことくらいか。

    聴きどころのひとつであるおっちゃんの話は聴いていてホロリとする…が、日雇い労働者たちと坂下の楽しいやり取りがあまりなくて残念。原作通りに話は進むのに、キャラに深みを与えるエピソードが少なく(たとえば、斑目が伝説の医者だという伏線がほとんどない)、ドヤ街人情劇BLなのに人間関係は薄めに感じられ、場面転換は急で繋ぎが荒いため、無理矢理1枚にまとめた印象を受ける。原作ではそう感じられないので、演出と脚本化に問題ありということだろう。

    エンディングも残念だった。斑目が囁いて終わるのはいいのだが、受である坂下が主人公のドラマCDなんだからその後の坂下のリアクションは必須のはず。ところがそれがないのでラストがブツ切りに感じられ、余韻がなかった。目で文章を追う小説と耳で演技を聴くドラマは違うということか。

    濡れ場や絡みは「食われる〜〜!」という感じが出ていて良かったし、エロな斑目と真面目に応える坂下の掛け合いは面白いし、おっちゃん役の宮澤さんがいい演技だったので最後までけっこう楽しく聴けた。ただ、原作が今回の「おっちゃん編」の後からどんどん盛り上がりを見せていくため、「本当はここから先が聴きたかったのよね」と思った原作ファンは多そう。なので、どちらかといえば連続ドラマ向きな作品かもしれない。

    ワイルドで下司オヤジ攻が聴きたい人向き。原作が好きなので聴けて良かったと思う…でもちょっと抱いていた印象とは違っていたかな…という1枚。

    評価:★★★(もったいないなー!) 
    好み:★★★(原作が好きなので、イメージ先行しちゃったかな…)

    斑目のイメージを勝手にドラマ「臨場」の内野*陽にしていたことが、個人的敗因だったのかも。

    臨場 DVD‐BOX臨場 DVD‐BOX
    (2009/11/21)


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    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    *2010年4月10日に書いた感想を加筆修正
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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
    BL感想&レビューブログです。

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