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    夜光花 『薔薇の血族』 大洋図書 2010年 … 薔薇の大風呂敷を広げろ!

    薔薇の血族 (SHYノベルス)薔薇の血族 (SHYノベルス)
    (2010/11/27)
    夜光 花 (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    十八歳になった夏、自分の運命を知った高校生の相馬啓は、一見平穏な日々を送っていた。けれど、敵の存在がある限り、薔薇騎士である啓の未来には闘いが待っていた。薔薇騎士のそばには、常に守護者の存在がある。守る者と、守られる者。両者は惹かれ合うことが運命づけられていた。啓には父親の元守護者であり、幼い頃から自分を守り続けてくれたレヴィンに、新たな守護者であるラウルという、ふたりの守護者がいる。冷静なレヴィンに、情熱のラウル。惹かれ合うこの感情は恋なのか、それとも…薔薇を持つ男たちの運命は複雑に絡み合い―。


    厳しい試練を乗り越え、亡き父の後を継ぎ薔薇騎士となった啓が、自身に課された宿命や守護者からの熱烈な求愛に翻弄されながらも、不死者らを倒すべく壮絶な死闘を繰り広げていくアーバン・ファンタジー第2巻。

    戦いに巻き込まれてしまった一般人は非業の死を遂げ、薔薇騎士団メンバーは選ばれし薔薇騎士・啓を守るため、サクリファイス的な死を選択する。まさに修羅場――薔薇シリーズでは、啓を巡って第1巻から人がバッタバッタと死んでいく。死が描かれるBLを嫌う人は決して少なくない。だが本作では、自責の念に駆られる啓の心情がよく描かれているので同情できるし、またみずからの命と引き換えに配下が「The One」「選ばれし者」を守ろうとするのは、古今東西、救世主モノにおける最王道のシチュエーションであり、作品に高いエンタテイメント性がある証拠ともいえるので、死がよほどの地雷でない限り、エンタテイメント系BL作品が好きな人ならば、この薔薇シリーズを十二分に楽しめると思う。

    薔薇騎士団のメンバーに危機を救われながら、現状を少しずつ受け入れようとする啓。そんな啓が背負わされた宿命はたしかに重い。だがストーリー全体が常に重苦しいということはなく、時折り挿入されるほのぼのとしたエピソードが場を和ませてくれる。かと思えば、その後、突然修羅場。その緩急ある演出が素晴らしい。

    登場人物は、みな魅力的でキャラ立ちしている。読み進めていくうちに、多くの人は「好みのバイプレイヤー」がひとりくらい出てくると思う。ちなみに私のひいきは雄心。彼と啓との交流はいつも微笑ましい。雄心が騎士団の前でアヴェ・マリアを歌うエピソードなどは実にウィットに富んでいて、吹き出してしまった。

    気になるのは、第2巻の最大の読みどころである薔薇騎士と守護者のラブの行方。レヴィンとラウル、それぞれととうとう一線を越えてしまった啓は、果たしてどちらを選ぶのか。ふたりとも魅力的なので、悩む気持ちはよくわかる。ただそんな中、不死者であるレヴィンに対し「人間に戻る可能性無きにしも非ず」と示唆されたのは、残酷で美しい話が好きな私には手ぬるく感じられ、少し残念だった。でもそう思うのは圧倒的に少数だろうし、曇りのないハッピーエンドを求めるのならば、そんな可能性は残されていたほうがいいだろう。

    まだ覚醒して間もなく、右も左もわからないまま戦いに巻き込まれ、宿敵アダムの前では赤子同然だった啓。高潔で完璧だった父に比べて自分は弱く、戦いが怖いと正直に告白する。祖母と母の秘密、なぜアダムと父エリックのルックスが酷似しているのか、レヴィンの不可解な眠り、アダムが啓を狙う理由――など、さまざまな伏線が張られて第3巻『薔薇の陰謀』(仮)へと続く。綺麗なウソを適度につくくらいなら、いっそ壮大なホラを吹け。世界観が見事、話も大変面白い。夜光さんはしっかり畳む実力のある作家なので、このまま薔薇の大風呂敷を広げていって欲しい。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★☆(アタシが夜光さんだったら、「どっちが好き?」と読者に思わせた時点で大成功だなー)
    ♪違う〜タイプの人を〜好きになってしまう〜揺れる乙女心〜よくあるでしょう〜♪
    Oh!夢の竹内まりや状態!「レヴィンとラウル、どっちが好き?」と訊かれたら、マジ困る〜!(てへ♪)
    啓同様私も選べなーい!ので、『The B.B.B』(秋里和国)路線「どっちも♪」っつーのは…ダメですか?

    ◆レヴィン(中の人のイメージ?…ガイジンだから諏訪部さん?)
    実は紳士らしい(うっそー)金髪ブリティッシュ。
    啓の血が流れると理性を失ってケダモノと化す、体温低めな<不死者>(そして元<守護者>)。
    ふだんは鬱々としているのに葛藤し始めると大げさになるその言動は、正直「アナタ大丈夫?」で笑える。
    未遂:約 6ページ(俺はなんてことを…って、もはや常套句?)
    合体:約14ページ(背中が痛くならないように、という配慮が感じられます)

    ◆ラウル(中の人のイメージ…誰やろ?三木さん?子安さん?)
    甘い言葉と熱い血潮はデフォルト仕様の赤毛イタリアン。
    おっとりしてそうで実はとっても強ーい<守護者>。
    嫉妬を口説きに転化させるその素早さと上手さに、毎回「すごいわー」と感動させられる。
    未遂:約 8ページ(夜光さんならシャワールームは必須)
    合体:約13ページ(ムード抜群ですね☆)

    ページ数も回数もほぼ同じだけど、啓をトコロテン状態にしたのはラウルだったので、ラウルのほうが床上手?…でもまあ、あまり経験のない男の子相手にどっちも大人げないよネー♪

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2010年12月14日に書いた感想を少し修正

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    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
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