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    池玲文 『奥津城村の愉快葬』 大洋図書 2011年 … 田舎に吹く萌の風

    奥津城村の愉快葬 (ミリオンコミックス  Hertz Series 107)奥津城村の愉快葬 (ミリオンコミックス Hertz Series 107)
    (2011/09/01)
    池 玲文

    商品詳細を見る

    圭司の育った奥津城村には珍しい風習がある。数えで33歳になると行われる生前葬だ。ある日、圭司は従兄の白雅の生前葬に呼ばれ、5年ぶりに帰郷する。圭司にとって、白雅は片思いの相手だった。5年前、圭司は白雅と一線を越えそうになるが、この恋が一方的なものだと知り故郷を離れる。本当は帰ってきたくなんてなかった。想いをひきずったまま、圭司は白雅の生前葬に出席するが… 
    書き下ろし「奥津城村の不愉快な思い出」「狐さんのお巡りさん」も収録


    大洋図書から初めて出る池玲文の作品集。表題作含め4シリーズ収録。

    ■「奥津城村の愉快葬」「奥津城村の不愉快な思い出」
    表題作。死んでいないのに葬式をするというとっても不思議な慣習「生前葬」…なんでそんな変わったことをするの?って…それは田舎だから!というか、風土色豊かな「しきたり」に基づいて親戚が集まるというのは、実に田舎らしいなあと思い馳せつつ読んだ。子どもの頃しょっちゅー一緒に遊んだ従兄弟と大人になって改まって会うとなれば、なんだかちょっと気恥ずかしい…どういう顔して挨拶すればいい?というのは誰でもあると思うが、圭司の場合、それだけでは済まされない。相手は「自分が一方的に片思いしている従兄弟のおにーちゃん」であり、ふたりきりになったとき、体が反応↑してしまったのを見られ、「抜いてやろうか」とそのまま抜かれてしまったという恥ずかしい過去がある。それでも従兄弟のにーちゃん・白雅の生前葬に参列した圭司と、みずからの生前葬を執り行うにあたり、その意味と意義を考えただろう白雅。そんなふたりの恋の行方は?

    幼い頃の気持ちはやっぱり幼くて、大人になってからじゃないと伝えられない/伝わらないこともある――それは圭司だけでなく白雅も同じ。再会したふたりのやりとりなど時折りぷっと笑える場面はあれど、「生前葬」という不思議な慣習が、ドタバタとした愉快な騒動の中で厳かな雰囲気をほんのりと醸し出しているせいか、全体的にとても美しくノスタルジックな話に仕上がっていた。

    できればこの話をもう少し膨らませて連載で1冊読んでみたかったな…と思ったくらい、その世界にトリップしてしまった。読んでいると、心地よい萌えの風がふわ〜っと吹き上がり、なんともいえない高揚感に心が満たされる。ふたりがいつまでもこのまま幸せだといいなと、つい祈りたくなった作品。

    ■「お巡りさんと狐」「狐のお巡りさん」
    都会人で洋服が大好きな若いお巡りさん・長岡は、彼女にフラれたうえに、とんでもなく辺鄙な田舎に転勤となってしまう。そこでは狐が人を騙すのは当たり前。狐のキョウは毎日のように長岡を騙そうとする。でも実はキョウは長岡が大好きで――という、まるで昔話に出てくるようなキュートかつハートウォーミングなお話で、根は真面目なんだけども洋服フェチなばっかりにいろいろ失敗してしまう長岡と、そんな長岡に懐くまだまだコドモなキョウ――そのひとりといっぴきのやりとりがとーっても楽しい。チュー適度のラブシーンが、また悶えるほど可愛い。それ以上のことはまたいつか…ということになるのだが、はたしてどっちがどっちになるのやら。私も池さんと同じでどっちでもいい派だけど、あえて云えばやはり年下攻の夢を見たいので…キョウにはもっと成長してもらって、長岡に乗っかってもらいたいところ。

    ■「雨のトリセツ」
    山に囲まれたある村。水神の子孫・罔象は学校でいつもいじめられていた。罔象が祭主となる雨乞いの祭りが差し迫ったある日、水を操っている罔象を同級生が目撃、気味悪がられてしまう。罔象のことが好きな結は、そんな罔象を助けたくて――という、これまた田舎を舞台とした風土色の強い催事をベースに、少年たちの淡い恋心を描いた作品。一般誌に掲載されてもなんら問題はないお話ではある…が、結→罔象の思いが描かれているのでBLとして完全に成立している。こういう「まだあげ初めし前髪の〜」的な正統派の初々しさがある恋の話は、読んでいるとどーにも面映い気持ちになって照れてしまうけれど、同時に心がとても温かくなる。いいなあ、初恋って。

    ■「月に一度のお召し上がり」
    月に一度、幼なじみの臣次から食事に誘われる眞貴は、彼が自分に対し好意を持っていることを知っている。でも臣次はいつも他の男の話をする。だんだんそれが許せなくなってきた眞貴は、ついに自分から臣次を食事に誘うことに。そして――という、嫌われるくらいならプラトニックに食事だけで充分だと考える一途な攻(ホモ)と、そんな中途半端な状況に業を煮やした受(ストレート)の駆け引きを描いた話。収録作中もっとも定番設定であり、安心して最後まで読める。攻がルックスを裏切って一途ヘタレ、それにどこまでもツンデレな受のやりとりが楽しい。攻が零す本音に、ついホロリときてしまった。いいなあ、こういうカップルって。

    ノスタルジックな雰囲気に満ちた作品集で、どの作品もエロは控えめだけど、攻の受への愛情はとても深く感じられる。「これ…マジで池さんの作品?」と驚くくらい、描かれる萌えは爽やかで穏やかで軽やか。田舎だからなのか池さんだからなのか、高校の制服がガクラン(夏服)だいう嬉しい選択。収録作はどれも素晴らしく、まったくハズレがない。文句ナシの出来栄えなうえに、私の好みストレートど真ん中だったので「マイベスト2011」に確実に入ってくると思われる1冊。今年も池さんにヤラれたー!

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(タイトルに惑わされないで!夏の終わりにピッタリの爽やか作品集)
    どの作品を読んでもすべて返り討ち、「池作品」=「ガチムチだったりすんごいエロだったり小難しかったりするアナザープラネット作品」だとかなんとか、池さんについていろいろと諦めていたところに、昨年『≠(ノットイコール)』が刊行され、半分諦めの気持ちで読んだらなんと大ヒット!初めて自分の好みに通じる作品が出てきて大喜び、2010年マイベスト1にまで選出(→こちら)、「今までスマンかった!」と池さんに謝った記憶も新しいのですが――それはあくまでリブレの池さんに対して。大洋図書ミリオンではどうかしら?…と、今回おそるおそる近寄ってみたらば…なんとまたもや大ヒット!コンボ炸裂!なんだなんだ、池さん、大洋図書でもやればでき…素晴らしいじゃないの!…とゆーわけで――

    池さん!今までスマンかった!m(_ _)m

    …と土下座したものの、池さんと私の好みが完全一致することはないでしょう。年下攻はハナから期待しません(『≠』は年下攻?いや、難しい位置だ)。でももっと池さんに歩み寄りたい!ので、大洋図書公式サイトでの質問「最も好きな攻&受のタイプ、シチュエーションを教えてください。」の、 「ドSジジイ攻とガチムチ坊主受です。残念ながら本当です。」という回答は見なかったことにします…。

    ◆ 大洋図書「奥津城村の愉快葬」特集サイト → こちら

    それにしても、今年の大洋図書はやるなあ。夏水さんの『グッドモーニング』といい、作家(とくに中堅)の良さがわかりやすく、しかもとっつきやすい作品が多いから、同好の士に薦めたくなる☆

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。


    *2011年9月4日に書いた感想をそのまま転記

    表題作がちょっともったいなかったかな?
    …もっと長い話にして1冊丸ごと表題作で読みたかったー。

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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

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