スポンサーサイト

    上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
    新しい記事を書く事で広告が消せます。
    web拍手 by FC2

    「黄昏に花」 マガジン・マガジン 2004年 … よどみ萎え、枯れて舞え

    ピアスCD 黄昏に花(たそがれにはな)ピアスCD 黄昏に花(たそがれにはな)
    (2004/10/10)
    平川大輔、宮林康 他

    商品詳細を見る

    原作:『黄昏に花』 樹生かなめ 大洋図書 2004年 
    出演者:平川大輔(小田原保徳)×宮林康(岩井忠生課長)、千葉一伸(辻繁之)、雪野五月(真砂亜希子)、他
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    8. 原作が好きなので、聞いてみることにした
    番外.「聴いてみて下さいね☆」とお友だちからオススメ頂いたから

    大洋図書から出ている原作『黄昏に花』のうち、表題作を忠実にドラマCD化。

    誰もが羨むエリート街道を順調に歩み、将来を約束されていた大手銀行マン・岩井は、土壇場で倒れて失墜。派閥の後ろ盾まで失くして、関連子会社の課長職に左遷、妻子は去り、そのショックから不能になってしまう。左遷・離婚・不能・揶揄の不幸を背負って10年が経過。まともな部下のいない部署で日々淡々と業務をこなしながら、人生の黄昏時に向かって穏やかに過ごしていた。そんなある日、かつて勤めた銀行の若きエリート・小田原を助けたことから、猛アプローチを受けることに。負け組人生を受け入れ、つつましい生活をしていた45歳の男に、熱く迫る25歳の美男エリート。その恋の行方は?――というビックリ設定による年の差モノ。猪突猛進エリート×哀愁オヤジ。哀しくも可笑しい介護ラブ。平川さん中音、宮林さん中音。

    課長が部下(女)の部屋に引っ張り込まれて、不能を知られるシーンから物語は始まる。そして話の進行とともに判明していく、課長の悲哀と社会の不条理。不思議と嫌な気持ちにならないのは、課長が潔く自分の身の上を受け入れているからで、それもひとつの生き方かなと思えてくる。

    宮林さんのやや棒っぽい語り口が課長の枯れっぷりに見事マッチしていて、モノローグを聴いているだけで「課長ーーーーっ!」と叫びたくなる。ただし、課長は枯れてはいても腐ってはいない。とんでもなく不幸な目に遭ったのに不平を云わず、ありのままを受け入れ、人生の黄昏時に向かって歩いている――実は誰よりも強く、そして覚悟を決めた男であり、宮林さんの声と口調にはその強さが感じられる。そんなある意味とっても強い男に、今度はまた別の意味でとっても強い男・小田原が猛烈アタックを仕掛けてくるのだが、平川さんがBL作品で、こんなに誰かに惚れまくって押しまくる攻役を演じるのはかなり珍しい。よってオヤジ受ファンだけでなく、平川ファンにもオススメできる1枚といえる。凛々しいけれど人の話を聞いていない猪突猛進っぷり、でも大騒ぎするのではなく落ち着いているというギャップ、そして時折り聞かせてくれる甘えた口調――どれもが実にいい声で、聴き惚れる。ただしメインはやはり課長、小田原は登場するまで5トラックほどかかるので注意。

    不能という設定なので、課長は「感じない」。看病するつもりが形勢逆転、なんとしてでも!と意気込む小田原と、身に起きたことに驚きながらも自分を見失わない課長。ラブシーンとともに超ビックリダイアローグが始まり、その内容に面食らうものの――ふたりがあまりに真剣なのでその温度差が余計滑稽に感じられ、聴いているとついふき出してしまう。小田原は課長を翻弄しているつもりだろうが、実は翻弄されてもいたりする。

    また脇キャラが個性的で、真砂さんの「勝負カレー事件」では大笑い。樹生節と演出によってかなりデフォルメされていても、こんな常識外れのOLっていそうだよなあと、つい課長に共感してしまった。課長の部下はどうしようもないし、かつてのライバルだった新藤の嫌味にもウンザリする。それでも会社は機能するという不条理さ。なんともやるせなくせつないが、それが話に深い味わいを与えていると思えるのは、作品と演者が持つ「悲哀や不条理ですら笑いに昇華させる力」と、枯れて始まったこの話にほのかな明るさ(未来)が感じられるからだろう。

    自分の目に映る情景がいつもと違う、一度は枯れた人生に再び彩りが添えられるのかもしれないと、課長がなんとなく気づいたところで物語は終わる。え?そこで?と唐突に感じるかもしれないが、10年もの間、ずっと色のない世界にいた課長がそう気づくその瞬間こそが、実はこのドラマにおける最大の事件、そして聴きどころだと私は思う。鮮やかすぎる幕引きと相反するかのように、ゆっくり押し寄せてくる穏やかな余韻。心に感動という文字が静かに刻み込まれていく。なんて素晴らしい。

    宮林さんas岩井課長のモノローグによって構成されているので、聴き始めはもたつくかと不安になったが、とてもテンポ良くまとめられていた。キャストのイメージは一致しているし、演技も素晴らしい。さらに作品レベルを引き上げたのは、音楽。ギターによるBGMがスタイリッシュで素晴らしかった。

    悲哀を背負い、誰よりも不幸な過去を持っているはずの課長に心癒されていく不思議な1枚。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(隠れた傑作。パーフェクト。星はいくつあっても足りない)
    好み:★★★★★(今現在「嵐のあと」と本作が、私のオールタイムベストです)

    ビルカム・チヨダに転職して、課長のお世話をしたい。真砂さんとだって鍋囲んでやるさ!岩井課長LOVE!お慕いしております!そうなると小田原はライバルだあああっ!うおおおおお!

    樹生かなめ原作のドラマCDで、今でも購入できるはこれくらい?(密林では今売り切れているけど、たぶんお取り寄せ可、中央書店では在庫有)。原作には続編があるんだけど…みなさんが期待する内容がそこに描かれているかというと、ちょっと違う。そういう「続き」は、仮に原作の3巻目が出たとしても…なんとなくないような気がする。いやその…ネガティブにとらえているんじゃなくて、樹生さんって「課長の不能が治り、小田原とどうにかなる」という続きを書く作家かな?ということ。見事な枯れっぷりの不能オヤジに若きエリートが猪突猛進するチグハグさ、世間の不条理をベースにした哀しさと可笑しさ。そこを突き詰めて描きたいんじゃないかな?って。樹生さんフォロワーなら、私がそう思う理由をわかって下さるかしら?ちなみに、そのチグハグさを続けて聴きたい樹生フォロワーのひとりして、私は当然「続編求む」。もちろんCDも。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。

    (原作については「Continue Reading」以下に)
    原作もオススメ。ぱらぱらっと捲ってみるとわかるけど、とても白い。比較的文字数の多い文章を書く樹生さんなのに、ものすっごい(エダさんもビックリな)改行っぷり。こんな白い樹生作品、ほかにはない。課長の枯れ切った心情や世間の不条理が、紙面からもひしひしと伝わってくる。でも哀しいだけな話じゃないの。クスっと笑えたりするし、課長の人となりが素晴らしいせいか、不思議な共感と感動がある。ただし、行間を読む力をひっじょーに要求されるので注意。斜め読みの上っ面だけじゃ、決して全部は理解できない(たとえば、不条理さと個性的な脇キャラを不快に思うだけで終わる)、と断言しておきます。キワモノだとか変わった設定だからというよりも、そういう意味で上級者向け。それは他の樹生作品でも云えることだけど。

    黄昏に花 (SHYノベルズ)黄昏に花 (SHYノベルズ)
    (2004/07)
    樹生 かなめ

    商品詳細を見る


    そーいえば原作は小説JUNEに掲載されて…私の記憶が確かならば――その掲載号が実に驚きのラインナップ、「黄昏に花」(「黄昏て花」だったかも)のほか、エダさんの「青い鳥」シリーズ、そしてアイダ兄貴のデビュー短編(!)が載ってたような?…なんてゴーカだったの…(遠い目)。

    *2011年8月6日に書いた感想をほぼそのまま転記

    関連記事
    web拍手 by FC2

    Leave a comment

    Private :

    Comments

    -
    - - 1 2 3 4 5
    6 7 8 9 10 11 12
    13 14 15 16 17 18 19
    20 21 22 23 24 25 26
    27 28 29 30 31 - -
    07 09
    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
    BL感想&レビューブログです。

    >>ネタバレ上等<<
    なので、お気をつけ下さーい!

    リンクはご自由にどうぞ♪

    コメント欄にはURLが貼れません。
    (スパム回避のためです…)
    もしURLのご連絡がございましたら、
    お手数をおかけ致しますが
    メールフォームにてご一報下さい。

    ★ご注意★
    ネタバレ回避でテキストを折ることは(ほとんど)ありません。

    オンラインカウンター
    現在の閲覧者数:
    最新記事
    最新コメント
    カテゴリ
    メールフォーム

    名前:
    メール:
    件名:
    本文:

    検索フォーム
    リンク
    QRコード
    QR
    QLOOKアクセス解析
    上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。