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    「嵐のあと」 サイバーフェイズ 2008年 … リアリスティックファンタジー

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    サイバーフェイズ

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    注意:メーカー倒産により新品の流通はストップ、中古の在庫も厳しい人気タイトルです。画像は密林のもので、「現在在庫切れ」となっています。 

    原作:『嵐のあと』 日高ショーコ 芳文社 2008年 読(現在、既読)
    出演者:森川智之(榊正彦)×中村悠一(岡田一樹)、鈴村健一(美山洸平)、ほか
    作品選択基準(どうして聴こうと思ったか?):
    2. 好きな声質を持つ声優さんが出演しているから
    6. 原作を読んでいなくて、ドラマCD化したなら聞いてみようかと思ったから
    番外. お友だちに「聴いてみて下さいね☆」とオススメ頂いたから

    日高作品なのに原作を読んでいなかったのは、先に発表された関連作『シグナル』にピンとくるものがなかったからで、「『シグナル』に出てた榊の話か…別にいいや」と完全スルーしていた。ところがドラマCD化されたのは『嵐のあと』。もしかして『シグナル』より面白い?と興味がわき、またメイン出演者が森川さんと中村さんだったこともあって聞耳。

    輸入家具会社社長の30代ゲイ(主人公)が、取引先で知り合ったストレートの男に抑えきれない恋心を抱いて葛藤する姿と、その気持ちを知って揺れ動く相手の心情を描いた作品。森川さんと中村さん、ともに中音。

    取引先との飲み会で、外面良く振舞っているゲイの榊。だが内心では「センスのないやつばかりだ」と毒づき、早く帰りたいと思っていた。そんな榊の前に、今回の仕事で担当になるという岡田が現れる。紹介されて話してみると彼は好みのタイプだったが、残念ながらストレートの男で――というふたりの出会いの場面から始まる。

    それなりに仕事は成功し、面倒くさくないパートナー・美山もいて、日々余裕がありそうな大人の男として登場した榊だが、岡田に深く惹かれて心四六時中彼のことを思うも、「ストレートに恋したって自分が傷つくだけ」と恋に臆する姿をどんどん晒していく。そんな内省的なキャラを好演しているのが森川さんで、榊の神経質そうな性格がセリフの端々までよく表現されている。対する岡田は、仕事でこそ身なりはいいが、実はややルーズで無頓着なタイプ。そして初対面の相手に「この人、いいな」と思わせる魅力を持つ男――中村さんはそれが自然に出せる人であり、純情だったり天然だったりする役よりも、岡田のような世俗に小慣れた感のある役のほうが似合うと思う。

    一種のファンタジーであるBLなのに、この作品はとてもリアルに感じる。その理由はいくつかあって、まずひとつ、榊が岡田を好きになっていく過程やその姿に共感しやすいことが挙げられる。たとえば、ふたりが出会う冒頭の場面は現実でもよくあるシチュエーションだと思うし、実りそうにない恋ならば、募る思いをなんとかやり過ごそう、今はつらくても気持ちは次第に薄れていくはずだと、自分に云い聞かせて自己完結してしまうことも、ゲイに限らず多くの人が経験しているのではないかと思う。

    ふたつ目は、岡田の戸惑い。「この人と仕事したい、一緒にいると楽しい」と相手を好意的に思う気持ちは、人間関係の中でよく起きる感情のひとつであって、すべてが恋愛に繋がるわけではない。しかも相手が同性ならば、自分に恋愛感情を抱いているだなんて想像すらしないだろう。岡田が榊の行為に驚いたのは当然のリアクションであり、混乱して逃げてしまったことは責められない。

    みっつ目は、実際に男性である声優によって演じられていること。感情が激しくぶつかり合うクライマックスのあと、静かに吐露されていくふたりの本音や交わされる他愛のない日常会話は、原作コミックだと淡々としている。だがドラマCDでは音楽や効果音が入ることで臨場感が増し、男性がリアルに演じることでセリフに揺れる感情が乗り、キャラの真意がどこにあるのかコミックより理解しやすいものになっている。また声のレベルが、それぞれの演者が持つ地声に近いので無理がなく、穏やかに耳に入ってきて心地よい。

    話は榊視点で進行するが、ふたりの立場や心情は常にイーブンで描かれているので、BL的な都合のよさが一切出てこない。「この恋の行方は?ふたりはいったいどうなるの?」――最後まで聴かないとわからないし、最後まで聴いてもどこか心切ない。

    このリアルな作品にファンタジー部分があるとすれば、それは岡田が榊を受け入れる可能性を持った男だったということくらいで、現実の世界においてその確率はかなり低いだろう。恋愛模様がどんなにリアルに描かれていても、この作品がBLファンタジーに帰属する理由はそこにある。わかりやすいハッピーエンドが約束されている予定調和を楽しみたい人や、めくるめくBLファンタジーを期待する人には向いていないが、心情描写重視で聴き応えのあるリアリスティックなBLファンタジーを望むならば、これ以上の作品はない。

    ストーリー・脚本・演出・音楽・キャスト――欠けているものが一片もない、最高のものだけが揃った一枚。

    「榊さん…少しぐらいは――俺とあなたの気持ちが重なる可能性も考えてみてよ」

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(パーフェクト。星はいくつあっても足りない)
    好み:★★★★★(今のところ、私にとってこれ以上の作品はない)

    中村さんが受を演じると、ラブシーンでゴソゴソしたあといきなり「あああーーっ!」と大声を上げるので、聴いてるこっちはいつもビックリする。うかうか寝落ちもできないよー。効果音で気になることがあるとすれば、水音くらい?大きくはないけど小さくもないきゅるきゅる音で、この作品なら別にそんなに鳴らさなくたっていい、さほど必要ではないと思うんだけどなあ。でもそれは個人の好みによるかも。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。


    * 語りたいことはまだある…けど、長くなるので「Continue Reading」以降に移動させます。

    ◆ざっくばらーん感想

    なにげなく聴き始めたのに、こんなに感動するとはまーったく思ってなかったです。

    原作未読だったけれど、聴いてるときから「ああ、これは確かに日高さんの作品だ、間違いない」とその世界に浸りきっていました。日高さんの作風は、キャラの目線だったり仕草だったりで、心情を訴えたり想像させたりするところにあるので、視覚のないオーディオドラマではどうしても行動や心情を説明したセリフを追加せざるを得なくなるんですが、そのことによって無粋になったり、キャラの印象が変わったりする危険性も出てきます。私はそれが怖かった…本当に怖かったです。ところが聴いてみると、それらがまったくなかったし、繋ぎのモノローグですらとても自然で、説明的だとは感じなかったのです。それどころか「ああ、ふたりはこんなことを話すのか」と嬉しくなってしまいました。逆にもし原作でそれが描かれていたら、冗長でくどいと思ったかも知れず…「原作は原作、CDはCDのよさがあるんだ」と、この作品で教えられたような気がしました。

    たとえば、嵐のあと訪れた穏やかな喜びに対し、原作の榊は初めて笑顔を見せてくれます。楽しそうで嬉しそうな笑顔です。でも音でその顔を見ることはできない…。CDではそれを笑い声だけでなく、ちょっとした会話を追加することで表現してあります。榊だけでなく岡田も楽しそうです。さらにアパートの部屋のドアを開ける音、中に入るふたり、そしてドアの閉まる音(原作にはどれもない)。いつまでもこのふたりの関係が続けばいいなと思わせながら、この閉まる音がドラマの終わりを告げます。そして最後に吹き上がる風の音。素晴らしい演出だと思いました。

    あと音楽。シンプルだけど叙情的なピアノの旋律(2曲あり)が素晴らしく、何度聴いても飽きないです。告白の場面でこの旋律が鳴ると、先がわかっていても心がごっそり奪われます。この曲が聴きたくて、ipodを起動させることも多々あります。もしかしてライセンスフリーの曲?と思いましたが、他のCDでは聴いたことがないし、同じサイバーフェイズから出ている「白の彼方へ」でも似たようなピアノの旋律があったので、たぶん同じ方が作ったオリジナル曲でしょう。

    私がここまでドラマCDを聴く人になったのは、たぶんこの「嵐のあと」からです。なので、作品への思いはどのタイトルよりも強く熱く――忘れられない一枚になりました。

    「どこが面白いの?」「そこまで評価が高い理由がわからない」と云われたので、私の思いをつぎ込んで解説に近い感想を書いてみました。かなり長くなっちゃったけど、書き終えるまでに費やした時間も相当で…記事クリップ作ったの、去年の4月4日だったり…あ〜う〜…。

    伝わるといいなあ…。

    *2011年5月21日に書いた感想を加筆修正
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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
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