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    樹生かなめ 『龍の求愛、Dr.の奇襲』 講談社 2008年 … 愛に打たれる

    龍の求愛、Dr.の奇襲 (講談社X文庫―ホワイトハート)龍の求愛、Dr.の奇襲 (講談社X文庫―ホワイトハート)
    (2008/08/01)
    樹生 かなめ

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    藤堂組のバックに国内最大規模の長江組がつくことになり、大きな危機に直面した眞鍋組は桐嶋の提案で藤堂の舎弟と話し合いをすることになる。だがそこで事件が発生。混乱に陥った眞鍋組と清和を守るため、氷川は桐嶋とともに藤堂組へ殴り込みをかけるが――清和と氷川の愛の強さと深さに心打たれる巻。

    桐嶋の提案で作戦変更、藤堂の舎弟との話し合いに向かったふたり(名前伏せておきます)から報告を受けないと、次の手が打てない眞鍋組はいったん待機。ところが思いがけない報告を受け、氷川は桐嶋とふたりで藤堂組へ殴り込みをかけることに。なぜ氷川は「愛する清和や眞鍋のため」自ら戦おうとするのか。たぶん典子さんが氷川に語った「極道の姐として女房としてなにができるか?」「すべてを捨てられるか?」が影響していて、それがずっと彼の頭の隅にあるからなのだと思う。氷川は医者としての倫理からは外れた行動ができない。でも清和と眞鍋を守るためなら、自分にできることすべてをぶつけていく――真面目で一途な氷川はなにしでかすかわからないから、眞鍋組は焦ってしまう。樹生さんの描くヤクザはBL界でも敵や不都合な人物に対して容赦がなく、氷川の知らないところで諜報部隊が殺人を犯したりもする。そんな眞鍋組と時に倫理観の違いから対立をする氷川――ラブ以外の読みどころがあるとすればそこもひとつだと思う。

    桐嶋と氷川、そして眞鍋組――それぞれの思いが交錯する中で藤堂との決着がつく。藤堂はどうなるのか?それはまた今後描かれるかもしれない。

    対決を終え、帰宅したふたりにようやく甘い時間が訪れる――「龍&Dr.」シリーズは、ラブシーンが短かったり抽象的だったりフェードアウトや朝チュンだったりすることが多いのだが、私個人としては、場面が行為が何ページ続くよりそのほうがずっと甘く感じる。好みといえばそれまでかもしれない。でも「ふたりの秘めごとはふたりだけのもの」、そういう気持ちになるだけで充分だと感じる。でも今回は甘いラブシーンで終わらない。もうひとつ滝沢との決着が残っており、氷川は自分で完璧にケリをつけていく。氷川が滝沢に云った言葉と、それを裏付けるため清和が滝沢の目の前で取った行動に――胸が熱くなってしまった。「2008年もっとも『愛』を感じさせてくれたBL作品」と私は年間ベスト評で書いたが、それはウソじゃない。

    氷川が滝沢に語った「女性と付き合ったことのある男性は、女性と結婚する」という言葉に、「それは違うんじゃないか」と納得できない人がいるかもしれない。でもその正否は問題じゃない。重要なのは、氷川がそれを何度も経験したゆえに彼の中では不変の真理になっていて、自らそれで滝沢に決定的なケリをつけたこと、そしてその彼を誰よりも深く愛している人がいる――その人が滝沢の前で氷川の語る愛を実証してみせたこと、である。そんなふたりの姿がとても感動的で…私は胸がいっぱいになった。心底、嬉しかったんだと思う。派手さはないけれど、これほど愛に真摯なふたりを感じさせる作品、他ではなかなか読めない。樹生さんの作品はどんなにぶっ飛び水切り石な展開を見せても、決して現実から離れてしまった世界を描いているわけではない。それなのに、一種のファンタジーであるBLにしっかり留まっている。私は素晴らしいと思う。

    藤堂編が終了、今後を予感させるいくつかの伏線を感じつつ――話は『龍の右腕、Dr.の哀憐』へと続く。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★★★★★★(文句ナシ殿堂入り。すべてにおいて、感動的なくらい、パーフェクト)
    組の内情や、舎弟のちょっとした横顔が明らかになっていく巻でもあったなあ。中で一番驚いたのは、氷川たちが眞鍋第三ビルの地下を歩いていたら、第二ビルに着いちゃったこと。なんで?清和くんが第二ビルと第三ビル近辺の土地を全部買い取って、地下で繋げちゃったからなんです…って、清和くん、いったいどこの剣菱万作?…そんなことができるほど眞鍋の金庫が潤ったのは、ある財閥がバックについていたから。この財閥については、またいつか話が絡んできそうっスね。

    あともうひとつ。私、**が本当に**されたと思っちゃった。これがたとえば英田さんやエダさんの作品だったら「そんなわけないじゃーん♪」と余裕で読んでいたと思うの。でも書いているの、そーゆーことになったら容赦をまったくせずにバッサリいく樹生さんでしょ?(あとそんなのコノハーラさんくらい)、だから騙された!この巻の初読みは通勤電車の中だったんだけど、無情にもその場面でカイシャ最寄り駅に到着してしまって、続きはお昼休みまでおあずけ。そして待ちわびたお昼休み、5分で昼食を切り上げ、営業でノコノコやって来たオッシーを完全にムシしてまで続きを読み出したのに、真相がわかる頁までに至らず、そのままお昼休みが終了。「こんな状態ではシゴトにならん!」と、お手洗いに本を持ち込んで読もうとしたら今度は入り口付近でオッシーに「なにやってるんですか?」と指摘されて、うっかりうろたえてしまいって実行できず。結局、続きを読んだのは最終電車の中でした。ホントバカですね、私。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。


    *2009年9月22日に書いた感想を大幅改稿
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    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

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