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    Guilt|Pleasure 『In These Words』 リブレ出版 2012年 … 密室ビスタビジョン

    In These Words (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)In These Words (ビーボーイコミックスデラックス) (ビーボーイコミックスDX)
    (2012/09/10)
    Guilt|Pleasure

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    原作:Narcissus、作画:咎井淳(Jo Chen)で構成されたGuilt|Pleasureによる米国産BL。
    日本語翻訳され、BE・BOY GOLDにて1年間連載された分をコミックス化。
    巻数は書かれてないが(北米版ペーパーバックにはVol.1表記あり)、たぶん続刊が出ると思われる。

    精神科医・浅野は、悪夢に悩まされている。顔の見えない男から終わりのない凌辱を受ける夢だ。なぜそのような夢を見るのかわからないまま、浅野は警察からの要請で12人もの犠牲者を出したシリアルキラーの取り調べに協力することに。浅野を指名したのは容疑者本人で、接見は秘密裏に人里離れた一軒家で行われるという。浅野の前に現れた容疑者・篠原は「あなたに会うためにここに来た」と初対面とは思えぬ口調で浅野を挑発し始めるが――という一軒家の密室でシリアルキラーと精神科が対峙、そしてフラッシュバックのように夢と現実が交錯しながら駆け引きダイアローグが展開するサイコサスペンスもの。

    日本人作家が舞台を外国に、そして外国人を主役に据えた作品はよく見かけるが、その逆――外国人作家が日本を舞台に日本人を描くというのは大変珍しい。BLもワールドワイドになったなあ…と素直に感動しつつも、読み手が日本人である以上「さて、どれだけ違和感が抑えられているかしら?」という意識がどうしても働く。個人的な意見としては、まず右開き閉じなので読むのが楽だし(通常アメコミは左開き閉じ)、登場人物が少数で相関もシンプル、一軒家からの移動があまりないという限定された人間関係と空間の中で話が進むため、違和感を起こさせる要素が少ないと感じた。作画については、キャラに日本人が好む端正さはあれど、コマ割りがややクラシカルなせいか場面によっては少々間延びする。だがそれは短所というより好みが分かれる程度、読みにくさには繋がらない。警部や課長、下っぱ刑事・柴田くんなど、脇キャラはみな日本のドラマに出てきそうなステレオタイプであり、そう感じさせた時点で成功していると思う。背景もけっこう頑張っていて、住宅はややフラットな印象ながら玄関ドアは内開きか外開きかわからないようにしてあってナルホドと思ったし(日本住宅の玄関ドアは外開きが多い)、浴衣は右前、トイレはウォシュレット付きだったりする。よって全体的に丁寧で考えられている作画といえるだろう。

    ストーリー面では――主人公・浅野の「顔が見えない男からの凌辱とその恐怖」なフラッシュバックが最大のポイントになっている。浅野の目の前にいる快楽連続殺人鬼・篠原がそれに関係しているのだと、読み手はすぐに気づく。だが浅野自身はなんらかの理由によってその記憶がない。性的な内容を含んだ接見の後、襲いかかるフラッシュバック、これは夢か現実か――浅野は次第に追い詰められていく。そしてとうとう…ときて、次巻へと続いた。こういう内容のドラマや映画は海外ではよくあるので、正直いえば先はなんとなくわかってしまうのだが、私が今まで読んできた国産BLは、ラブを重視するばかりで攻のサイコキラーの言動や設定に手ぬるさがあったり、逆にスタイリッシュすぎてわかりづらかった作品が多かったので、本作のような「まずサイコサスペンスありき」な展開を正攻法で見せてくれた作品は評価しておきたい。

    密室での一対一ダイアローグ、相手はサイコキラー――密な空間で密な相手と密なやり取り、「知りたくない真実を知る」ことへの恐怖など、正攻法で正統派な「追い詰められて」サイコサスペンスを読みたいという人にオススメの作品。ただし、遺体の描写がしっかりしていること、一見ラブレスな濃い凌辱が続くこと、屈折した感情に共感できないこと…など甘さがない描写をニガテとする人は注意。

    評価:★★★☆(今年一番の話題作じゃないでしょーか?)
    キャラの表情の変化が大変ゴージャスに描かれているので、紙面にまで圧迫感がある。密だしすんごく濃くてコマが狭い。シネスコなのにビスタで観てる気分になるとゆーか。

    あんな条件下(場所は一軒家、拘束期間があいまい、仕方なく泊まりなど)の接見どうよ?…という思う人がいるかも。私はあえてリアルと比較せず「そういう設定だから」と解釈してます。そーじゃないと、この手のサスペンスって読めないもの。気になるのは作品の内容じゃなくて、出版元であるリブレがどこまでフォローするかってこと。ちゃんと最後まで出してくれるの?…巻数は書かれてないしさー、連載は続いているのかわかんないしさー…翻訳BLでなにが困るって毎回そこなのよ。「とりあえず紹介」程度の翻訳出版だったらヤダなあ。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。
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    Comments

    >ちゃんと最後まで出してくれるの?
    同じリブレのコミックスでも、王一さんのは「とりあえず紹介」で終わりそうな雰囲気ですが(笑)、
    これはたぶんでるんじゃないかと思ってます。
    同人誌のあとがきを読んでも、作者さんは続ける気は十分あるみたいでしたから。
    番外編同人誌もだしてるし、その続編も今年の冬コミでだす予定のようです。
    この本はかなり売れてるみたいですから、リブレもちゃんとフォローするんじゃないでしょうか。
    Posted at 2012.11.17 (23:19) by みずほ (URL) | [編集]
    > 同じリブレのコミックスでも、王一さんのは「とりあえず紹介」で終わりそうな雰囲気ですが(笑)、
    > これはたぶんでるんじゃないかと思ってます。
    > 同人誌のあとがきを読んでも、作者さんは続ける気は十分あるみたいでしたから。
    > 番外編同人誌もだしてるし、その続編も今年の冬コミでだす予定のようです。 
    > この本はかなり売れてるみたいですから、リブレもちゃんとフォローするんじゃないでしょうか。

    ナルホド~。情報、ありがとうございます!
    私は同人誌まで追いかけるタイプではないので、リブレを信じて待ってみます。
    王さんのはすでに長~い作品だから難しいでしょうけど。

    しっかしこの本が売れるってことは、
    「なにか新しいもの/作家が出てこないかな?と常に思っている」人が、
    やっぱ多いってことですよね…むう。
    Posted at 2012.11.18 (13:52) by 秋林 瑞佳 (URL) | [編集]
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    プロフィール

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
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