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    日高ショーコ 『憂鬱な朝 1』 徳間書店 2009年 … 馳せる思いはせつなくて

    憂鬱な朝 (1)(キャラコミックス)憂鬱な朝 (1)(キャラコミックス)
    (2009/03/25)
    日高 ショーコ

    商品詳細を見る

    鎌倉別邸で病弱な母と暮らしていた久世子爵の嫡男・暁人。だが両親を相次いで亡くし、10歳にして子爵当主を継ぐことになった。なにもわからないまま東京の本邸へと向うと、そこには美貌の若き家令・桂木がいた。亡くなった先代から「桂木のいう通りにしろ」といわれていた暁人だったが、いつも厳しく冷ややかな桂木は決して心の内を暁人に見せることはなかった。やがて暁人は高等科に進学。だがふたりの距離は縮まらず、桂木に心惹かれている暁人は耐えられなくなって――華族という特権階級の檻に囚われ、時代の波に翻弄される若き子爵と家令の恋の行方を描いたクラシカルロマン第1巻。

    日高ショーコ初の時代物ロマンス。徳間書店「Chara SELECTION」で現在好評連載中。

    主人公は久世子爵家の正統な後継者である暁人。幼いころ先代である父親と離れて過ごしたせいか、身分や家格を気にしない真っ直ぐな性格の持ち主であり、生き馬の目を抜くような華族社会では珍しい存在として描かれている。暁人の教育係である桂木は、家令という身分でありながら暁人が成人するまで久世家の実権をほぼ握り、暁人と久世家を守るため、延いては爵位を上げるため、さまざまな顔を使い分けながら華族社会を掌握、久世家を成功に導いているやり手の男。そんなふたりの対比が素晴らしい。暁人の素直な性格、桂木に認められたいと願いながらもその思いが通じないもどかしさが丁寧に描かれているため、桂木の「なぜそこまで?」な冷徹ぶりが結果的に大フィーチャー、幕が上がったばかりの1巻だというのに、暁人を全面的に応援したくなる。まだ少年といっていい暁人が桂木に拒否されて悩む姿は、読んでいて何度もせつなくなる。

    物語が後半に入ると、華族社会に生きる人間のさまざまな思惑が描かれ、それと同時に暁人にも変化が出始める。子爵家当主である暁人は、いつまでも子どもではいられない。誰よりも早く大人の階段を上らねばならない。そして桂木との関係を決定づけていくある事件――「(思いの)すべては桂木に」という暁人の直向さゆえに起きたのだが、決して報われるものではなかった。だがそれによって桂木にも変化が見られるようになる。

    少しずつ見え始めた桂木の本心――はたしてそれは?

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(…素晴らしいですね)
    日高さんは最初から飛ばすことはなく、静かに始まってだんだん盛り上がっていく作風をお持ちなので、1巻は「まだ始まったばかり」という印象。それでも十二分に引き込まれます。そして日高さんの作品にはよく家具が出てきます。そういうお仕事をされていたのかしら?…椅子にいたっては(こだわりというより)深い愛情が感じられます。日高作品において、椅子はキャラの心情やストーリーを暗示させるアイテムになっているように思えるのです。たとえば蔦が絡まっていたり、一人掛けは重厚なカラーとデザインだったり。

    またリサーチのよさも素晴らしく、当時の風俗や思想、言葉、背景をさりげなく描いているところがいいですね。専門家や明治時代に明るい方が読めば、完璧ではないのかもしれません。それでもまったく構わないというか、これ見よがしだったりマニア過ぎたりしない、でもちゃんと調べてあるとわかるところが好感度高いというか。服装ひとつとってもそれが強く感じられます(描いていないだけで、ソックスサスペンダーも付けていると思う)。読んでいると明治時代に生きた人々が愛しく思えてきて、自然にその時代へと意識が飛んでいくのです。「ああ、私はやっぱり日本人ね」と自らのアイデンティティを呼び起こされるのは(ナショナリズムではなく)、それだけ作品に力があるからで――それをBLで感じるだなんて、素晴らしいことだと思いませんか?


    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
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