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    木原音瀬 『美しいこと (上)』 蒼竜社 2007年 … 恋の絶頂からどん底へ

    美しいこと(上) (Holly NOVELS)美しいこと(上) (Holly NOVELS)
    (2007/11/21)
    木原 音瀬

    商品詳細を見る

    2007年に発売された木原音瀬作品。上巻。「アナタならいくらでもいい人が現れるでしょうに…」と誰もが羨む素敵な男(受)が思いがけずドン臭い男(攻)を好きになってしまい、その一途な思いによって何度も心が押し潰されそうになるせつない恋の話。

    仕事は大変だが順調、ハンサムで女性から人気のある松岡は特殊な趣味を持っていた。それは女装。美しく変身した自分が注目されることでストレスを発散していた松岡は、ある夜、その女装姿のせいで窮地に陥り、途方に暮れてしまう。それを救ったのがたまたま通りかかった男――同じ会社に勤務する寛末だった。その後ふたりは再会するが、寛末は女装に気づかず、真剣に松岡に恋をしてしまう。寄せられる好意の真摯さに対する後ろめたさから、なかなか真実を告げられない松岡。やがて松岡も寛末のことを好きになっていく。そしてある日「たとえどんな姿でも僕はあなたが好きです」と云った寛末に松岡は真実を告げる。だがショックを受けた寛末は受け入れることができず、松岡を避けるようになって――というストーリーが上巻で展開する。松岡視点。

    別に女性になりたいわけではない、女装した自分がとても美しくて人から注目される存在であることに気付き、日常のストレスをその優越感で発散するようになっただけ…というのは特殊といえば特殊な趣味だが、松岡は他人に誇らしく話せるものではないと体裁を気にしており、社内での振る舞いや同僚や寛末に対する配慮などからごく一般的…どころか、いろいろと細かく気がつく「そりゃ人気も業績も出るわ」な男性であることがわかる。かといって、完全無欠のエリートタイプではない。冒頭の窮地は自ら招いた愚かさの結果だし、恋敵の同僚に嫉妬して自己嫌悪に陥る感情は普遍的。読み手の目には人間味のある男として映るだろう。

    そんな松岡がヘタレというより不器用でドン臭い男・寛末に恋をした。自分に好意を寄せてきたのは向こうから…でも寛末が恋する相手は、自分だけど自分ではない。松岡はどんどんつらくなっていく。不器用な男が不器用なりに見せる「あなたが好きなんです」という必死の思い、その純情さ――松岡でなくてもクラっとする人は多いのではないだろうか。

    松岡の同僚にして寛末の上司である福田は、そんな不器用な寛末に対し、悪意が感じられるほど辛辣である。だがそれはペースや考え方が違うためにソリが合わないからであり、寛末が社会人/サラリーマンとして失格だからなのではない。それに気づいている人はまわりにちゃんといても、たまたま要領が悪く不器用な性格が前面に出てしまったり、ソリの合わないキャラが悪意で以って邪魔をするため、寛末ばかりが損をする。木原さんはそんなキャラの肩だけを持つことはしないというか、どのキャラに対しても平等主義というか、人間はいろんな見方をするんだよといいたいのか、単に意地悪なのか――さまざまな考え方を持つキャラクターを登場させて人間関係を多角的に描くので、他のBLとは違う一種独特な彩りが作品に添えられる。人によってはそれが萌えに繋がらず、キリキリとした痛みに感じるかもしれない。

    真実が判明するや、あんなに必死だった寛末は松岡の気持ちに反比例するかのように冷めていく。それは仕方がないことかもしれない。なぜなら相手が男性だという真実は、恋する男にとって予想だにしなかったことなのだから。それでも松岡は寛末を慕い続ける――いっそ諦められたらどんなに楽になれるかと思いながら。真実に対応しきれず混乱状態の寛末は、松岡を完全に振ることも付き合うこともできず、気持ちは中途半端なまま。松岡はそんな優柔不断な寛末とのちょっとしたやりとりで恋の絶頂感を味わったかと思ったら、次の日には拒否され、絶望のどん底に陥る。その繰り返し。苦しい恋であればあるほど、その落差は大きい。そんな男なんてやめてしまえ!――でも好きになってしまった、どうしようもない…。

    松岡のつらい恋は続く。

    「お願いだから…俺が寛末さんを好きだってことを、逆手に取らないで…」(下巻)

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(文句ナシでしょう、私が推薦するまでもなく。BLCDも素晴らしい出来でした)
    ちょっとギモンに思ったのは、「メイク」という言葉が男の松岡から自然に出てきたこと(「ウィッグ」も気になる)。男性が「メイク」って云うかな?…業界に身を置かない限り、ほとんどの男性は「化粧」なんじゃ?…男性に限らず「化粧」と云う人のほうがまだまだ多いように思える。他のコノハーラ著作でもごく自然に「メイク」が選択されている――そのことにご自身は気づいてなさそう。コノハーラさんは化粧品関連に明るい方なのかしら?と推察。 たとえばケミカル系の会社で仕事をされていたとか…なんとなく外資系って感じがするわー。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
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