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    榎田尤利 『交渉人は疑わない』 大洋図書 2008年 … 仕事もラブも実践躬行

    交渉人は疑わない (SHY NOVELS 213)交渉人は疑わない (SHY NOVELS 213)
    (2008/10/30)
    榎田 尤利 (挿絵:奈良 千春)

    商品詳細を見る

    前作『交渉人は黙らない』から待って待って待って…待ち続けて1年半。
    交渉人・芽吹「東京下町ネゴ屋細腕(?)奮闘記」&後輩ヤクザ・兵頭「悶々執着漫才ラブ記」、待望の続編。

    前作の感想で「芽吹の仕事っぷりをもっと読みたい」と書いたら言霊が飛んだのか、仮初ホストになるわ、エコでアロハ着るわ、手錠を掛けられるわ、ヤクザ事務所に乗り込むわ、ママチャリで激走するわと、依頼人だけでなく読んでいるこっちまで頭を下げたくなるほど、大サービス 大奮闘を見せてくれる芽吹である。

    今回は、「どんな過去を持っていても、本人が変わろうとしているなら信じたい」という芽吹のゆるぎない信念をメインに据えながら、芽吹の知らない兵頭の過去と一歩進んだふたりのラブの行方が描かれている。信念については、前作で芽吹自身からそれを持つに至った経緯がすでに語られていていること、芽吹の優しくて人から愛される性格が本編から十二分に伝わってくることから、「弱いけど強い、前向きでいい人だ…ちょっとオヤジ入ってるけど」と共感できるので、個人的には芽吹の体を張った交渉人っぷりと漫才ラブの行方が気になった。

    得意の舌鋒で交渉は見事でも、恋の操舵でフラつく芽吹。仕事では妥協しないくせにラブでは「ま、いっか」。メロメロメロウに流されない紆余曲折30代、でも結果的になんだか流されているような気がしないでもなく――正直云えば、もうちょっと兵頭をお待たせしちゃってもいい、寸止めでジタバタドタバタやってくれてもいいかなと思ったのだが…「ま、いっか」。

    作品によってはこれ見よがしな挿入と感じることもあるエダさんのセンシティブな心情描写だが、本作ではそう感じなかった。たとえば兵頭が心の傷を負うことになった過去のある事件とオーバーラップした芽吹のクライシスシーン――芽吹が兵頭の過去を知って、「おまえの顔はせつなかった。あんな顔させて悪かった。心の傷を抉るようなことをしちまって悪かった」と心の中で謝るところは、場を重くさせずに切なくさせた。芽吹はその思いを口に出さなかったのは、本気で悪かったと思っているだけでなく、兵頭自身がその過去の事件を語っていないからだ。普段の会話は漫才のようで語り口もざっくばらんなのに、シリアスの局面では兵頭を繊細に思いやる芽吹――そのギャップが絶妙で素晴らしかった。

    前作の感想で「エピソードがギュウギュウ詰めでもったいない」と書いたが、2作目でも笑いと感動の釣り合いが絶妙だと感じたので、このギュウギュウ詰めこそが交渉人シリーズのスタイルなんだろう。楽しませようという気持ちが伝わってくる。理にかなった笑い、芽吹と兵頭の屁理屈合戦、兵頭の舎弟でガードの伯田さんやさゆりさんにキヨ、頭は弱いけど情が深そうで面白い舎弟たちといった立ちまくりのキャラに、芽吹の友人・七五三野も加わって、今後の展開が楽しみな交渉人シリーズである。2008年のベスト1作品。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(行為を「掘削」と表現する受キャラだなんて前代未聞)
    絵師は前作に続いて奈良千春画伯。今回の兵頭はやや般若系でコワイのだが、他のキャラは表情が豊かでキュート、動きのある絵からほのぼのとした絵まであり、「おお!これは!」と感動していたところ、またもや最後の最後で画伯入魂のクリップ止め必至カット登場。「挿絵は最後の最後ですんごいの♪」も「交渉人シリーズ」のスタイルなのかも。油断禁物。で、その「すんごいの♪」を眺めていたら、なんだか過去に同じような構図の同じような絵を見たような気がしたので、脳内検索の旅に出たらば『エス』第1巻にあった宗近&椎葉と同じなんだと気がついた。『エス』と『疑わない』の絵柄はかなり違っても、同じ構図で見ると「ああ、やっぱり奈良画伯だわー♪」と感じる。でも「交渉人3」ではまた絵が変わってるんだろうな…。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。


    *2008年11月16日に書いた感想を加筆修正
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    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
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    風来のネットサーファーにして、
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