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    夜光花 『薔薇の奪還』 大洋図書 2011年 … 薔薇の不思議のダンジョン

    薔薇の奪還 (SHYノベルス)薔薇の奪還 (SHYノベルス)
    (2011/09/13)
    夜光 花

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    不死者の血を引く者として、薔薇騎士でありながら薔薇騎士団から追われる身となった啓。ずっと啓を見守ってきた守護者であるレヴィンは啓の血によって死にも似た眠りにつき、もうひとりの守護者であるラウルは啓を救うために、宿敵アダムの手に落ちていた。誰が本当の味方なのかさえわからないなか、ふたりの守護者を想い、ときに孤独に囚われる啓だったが…薔薇騎士と守護者、離れることのできない運命が再び動き始める。


    厳しい試練を乗り越え、亡き父の後を継ぎ薔薇騎士となった主人公・啓が、自身に課された宿命や守護者からの熱烈な求愛に翻弄されながらも、不死者らを倒すべく壮絶な死闘を繰り広げていくアーバン・ダークファンタジー第4巻。

    アダムに囚われてしまったラウル、啓の血を飲んだことで謎の長き眠りについてしまったレヴィン――ふたりの《守護者》だけでなく、薔薇騎士である啓までもが薔薇騎士団の前から消えて3年が経過。薔薇騎士の資格すらないルイスが汚い手を使って総帥の座につき、歯向かう薔薇騎士団メンバーを次々と粛清していた…と、第4巻は暗めに幕が上がる。

    だが暗いままで話が進行することはなく、啓が3年の間送って来た修行の日々は厳しいながらも、肉親の絆を感じさせるエピソードが含まれていたし、啓はいつも前向きで一生懸命、アデラばーちゃんとのやりとりはほほ笑ましくすらあり、未来は暗くない、希望はあるのだ感じさせてくれる。でも啓をめぐる現状は厳しいまま。緩急のある展開は相変わらず素晴らしく、とくにこの第4巻ではクロフォード家のある程度の謎が明かされ、母・マリアが本格的に登場し、薔薇シリーズでも変わらない夜光節が効きまくった女性(マリア)の激しい愛憎ぶりに感服した。

    個人的に面白く感じたのは、啓の修行の3年間の話だった。アダムと戦うために啓は力をつけなければならない。アデラから云い渡されたその修行の場は、試練の間、幻想の間、幽玄の間。地図はなく暗闇、赤子のようなモンスターが現れ、なかなか前に進めない。気を失うと外に放り出されて一からやり直し。相棒のサンダーとともに毎日もぐって悪戦苦闘の日々、ようやく道具の使い方がわかってダンジョンクリアの光明を見出す――という啓の修行ぶりは、不思議のダンジョンに挑む「風来のシレン」そのもの。今まで夜光さんの作品を「ゲームっぽい」と評してきたが、まさか「風来のシレン」になるとは思ってなかった。最終ダンジョンクリアに3年かかった私は、啓に思わず共感。試練の間をクリアしたときは、「ようやった!GJ!」と叫びそうになった。

    とまあ、暗いわりには楽しいエピソードが多いのだが、レヴィンの目覚めに都合のよさを少し感じるし、助け出したラウルがマトモになるのも早急すぎだと思う。ただこれ以上延ばしてもダラダラするだけ、ふたりが復活しないと話にならないので、それでいいのかなと思えた。《守護者》以外の脇役たちもそれぞれにちゃんと活躍、あれだけ大勢出てくるのにみなキャラ立ちしているせいか、読んでいて「あれ?この人だれだったっけ?」ということがほとんどない。これは素晴らしいことだと思う。

    ラブの面では、竹内まりや状態が続くも――夜光作品ならいつか出てくるだろうと予想した3人ご一緒場面がついに(満を持して)登場。3年の間に薔薇騎士として強くなった啓だが、そっち面での成長はほとんど見られず、あえぎっぱなし。ただ毎回気持ちよさそうなので、どんなにすごいエロを書いても夜光作品にはラブがあるなあと感じる。

    アダムとの闘いはどう決着がつくのか。薔薇騎士と《守護者》とのラブの行方は?…薔薇の大風呂敷はどんどん広かっていく。第5巻が楽しみである。

    評価:★★★★(どちらかを選ぶのではなく、啓にはこのままふたりと添い遂げて欲しいなあ)
    「青年期スタート」というわりには啓は子どもっぽく、あんまり成長が感じられない…けど、ま、いっか。

    奈良画伯の絵。ますます騙し絵化が進み、境界線がよくわからない。昨年から顔の描写に人間味がなくなってきて、個人的に思いはフクザツなんだけど、異形の者が出てくる薔薇シリーズはそのほうがいいのかもしれない。ただ5巻が出る頃にはまた変わってそうだなあ…。むう。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2011年9月18日に書いた感想を少し修正

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    夜光花 『薔薇の血族』 大洋図書 2010年 … 薔薇の大風呂敷を広げろ!

    薔薇の血族 (SHYノベルス)薔薇の血族 (SHYノベルス)
    (2010/11/27)
    夜光 花 (挿絵:奈良 千春)

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    十八歳になった夏、自分の運命を知った高校生の相馬啓は、一見平穏な日々を送っていた。けれど、敵の存在がある限り、薔薇騎士である啓の未来には闘いが待っていた。薔薇騎士のそばには、常に守護者の存在がある。守る者と、守られる者。両者は惹かれ合うことが運命づけられていた。啓には父親の元守護者であり、幼い頃から自分を守り続けてくれたレヴィンに、新たな守護者であるラウルという、ふたりの守護者がいる。冷静なレヴィンに、情熱のラウル。惹かれ合うこの感情は恋なのか、それとも…薔薇を持つ男たちの運命は複雑に絡み合い―。


    厳しい試練を乗り越え、亡き父の後を継ぎ薔薇騎士となった啓が、自身に課された宿命や守護者からの熱烈な求愛に翻弄されながらも、不死者らを倒すべく壮絶な死闘を繰り広げていくアーバン・ファンタジー第2巻。

    戦いに巻き込まれてしまった一般人は非業の死を遂げ、薔薇騎士団メンバーは選ばれし薔薇騎士・啓を守るため、サクリファイス的な死を選択する。まさに修羅場――薔薇シリーズでは、啓を巡って第1巻から人がバッタバッタと死んでいく。死が描かれるBLを嫌う人は決して少なくない。だが本作では、自責の念に駆られる啓の心情がよく描かれているので同情できるし、またみずからの命と引き換えに配下が「The One」「選ばれし者」を守ろうとするのは、古今東西、救世主モノにおける最王道のシチュエーションであり、作品に高いエンタテイメント性がある証拠ともいえるので、死がよほどの地雷でない限り、エンタテイメント系BL作品が好きな人ならば、この薔薇シリーズを十二分に楽しめると思う。

    薔薇騎士団のメンバーに危機を救われながら、現状を少しずつ受け入れようとする啓。そんな啓が背負わされた宿命はたしかに重い。だがストーリー全体が常に重苦しいということはなく、時折り挿入されるほのぼのとしたエピソードが場を和ませてくれる。かと思えば、その後、突然修羅場。その緩急ある演出が素晴らしい。

    登場人物は、みな魅力的でキャラ立ちしている。読み進めていくうちに、多くの人は「好みのバイプレイヤー」がひとりくらい出てくると思う。ちなみに私のひいきは雄心。彼と啓との交流はいつも微笑ましい。雄心が騎士団の前でアヴェ・マリアを歌うエピソードなどは実にウィットに富んでいて、吹き出してしまった。

    気になるのは、第2巻の最大の読みどころである薔薇騎士と守護者のラブの行方。レヴィンとラウル、それぞれととうとう一線を越えてしまった啓は、果たしてどちらを選ぶのか。ふたりとも魅力的なので、悩む気持ちはよくわかる。ただそんな中、不死者であるレヴィンに対し「人間に戻る可能性無きにしも非ず」と示唆されたのは、残酷で美しい話が好きな私には手ぬるく感じられ、少し残念だった。でもそう思うのは圧倒的に少数だろうし、曇りのないハッピーエンドを求めるのならば、そんな可能性は残されていたほうがいいだろう。

    まだ覚醒して間もなく、右も左もわからないまま戦いに巻き込まれ、宿敵アダムの前では赤子同然だった啓。高潔で完璧だった父に比べて自分は弱く、戦いが怖いと正直に告白する。祖母と母の秘密、なぜアダムと父エリックのルックスが酷似しているのか、レヴィンの不可解な眠り、アダムが啓を狙う理由――など、さまざまな伏線が張られて第3巻『薔薇の陰謀』(仮)へと続く。綺麗なウソを適度につくくらいなら、いっそ壮大なホラを吹け。世界観が見事、話も大変面白い。夜光さんはしっかり畳む実力のある作家なので、このまま薔薇の大風呂敷を広げていって欲しい。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★☆(アタシが夜光さんだったら、「どっちが好き?」と読者に思わせた時点で大成功だなー)
    ♪違う〜タイプの人を〜好きになってしまう〜揺れる乙女心〜よくあるでしょう〜♪
    Oh!夢の竹内まりや状態!「レヴィンとラウル、どっちが好き?」と訊かれたら、マジ困る〜!(てへ♪)
    啓同様私も選べなーい!ので、『The B.B.B』(秋里和国)路線「どっちも♪」っつーのは…ダメですか?

    ◆レヴィン(中の人のイメージ?…ガイジンだから諏訪部さん?)
    実は紳士らしい(うっそー)金髪ブリティッシュ。
    啓の血が流れると理性を失ってケダモノと化す、体温低めな<不死者>(そして元<守護者>)。
    ふだんは鬱々としているのに葛藤し始めると大げさになるその言動は、正直「アナタ大丈夫?」で笑える。
    未遂:約 6ページ(俺はなんてことを…って、もはや常套句?)
    合体:約14ページ(背中が痛くならないように、という配慮が感じられます)

    ◆ラウル(中の人のイメージ…誰やろ?三木さん?子安さん?)
    甘い言葉と熱い血潮はデフォルト仕様の赤毛イタリアン。
    おっとりしてそうで実はとっても強ーい<守護者>。
    嫉妬を口説きに転化させるその素早さと上手さに、毎回「すごいわー」と感動させられる。
    未遂:約 8ページ(夜光さんならシャワールームは必須)
    合体:約13ページ(ムード抜群ですね☆)

    ページ数も回数もほぼ同じだけど、啓をトコロテン状態にしたのはラウルだったので、ラウルのほうが床上手?…でもまあ、あまり経験のない男の子相手にどっちも大人げないよネー♪

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2010年12月14日に書いた感想を少し修正

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    夜光花 『忘れないでいてくれ』 幻冬舎 2009年 … 記憶の扉を開ける男

    忘れないでいてくれ (リンクスロマンス)忘れないでいてくれ (リンクスロマンス)
    (2009/09)
    夜光 花 (挿絵:朝南 かつみ)

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    接触で人の記憶を覗き、消去することができる不思議な能力を活かして「記憶消し屋」を営む男・清涼が、ある事件に関わった依頼人の過去を消したことによって、事件を追う刑事・秦野と知り合い、やがて自らの忘れられない過去と対峙、その記憶にケリをつけていく話。主人公は記憶の中の残留思念を読み取る能力を持っているので、一種のサイコメトラーものといえる。

    主人公・清涼は、不思議な能力を活かして胡散臭い商売をしながら好きなように生きている男。人助けをする気はないが、かと云ってやさぐれているほどでもない。ただ警察に協力はムダと考え、仕事はあくまでも自分の生活のためと割り切っている。そうなった理由は、だれもが胡散臭いと思うその不思議な能力と清涼自身のサバサバとした性格によるところが大きいのだが、中学生時代に経験したある惨い事件も影響している。そんな男が、不遜な態度を見せる刑事・秦野と知り合う。だが些細なことで口論となり、秦野の記憶を覗いて惨い過去を暴いたことで、清涼は秦野に無理矢理の乱暴を受ける――とストーリーが続いたのでちょっとイヤかも…と思ったのだが、清涼自身が「他人に知られたくない記憶」を勝手に覗いたことを悪いと認めているし、また秦野の陰惨な過去はたしかに他人には知られたくないものであり、乱暴された清涼よりも彼のほうが精神的ダメージを受けていることが伝わってきたため、こりゃ両者イーブンだなと思えた。そう読み手に思わせたところに、夜光さんの上手さを感じた。ちなみに秦野の陰惨な過去というのが、これまた夜光さんらしいダークさに満ちた内容だったので、「夜光さんってホントそーゆー設定が好きだよなあ」と逆に感心してしまった。

    知り合って身体を重ねてしまった経緯はともあれ、知られたくない過去を見られてしまった男から「俺の過去を消してくれ」ではなく「これも俺の一部だ」と云われた清涼。いままで会った人間だけでなく、自分も持ち合わせていない「過去を受け入れる強さ」を持つ秦野に、清涼が知らず知らずのうちに興味を覚えるのはわかるし、最初は不遜な男として登場した秦野が実は意外と素直ないい奴で、清涼に「実は好みなんだ」とアッサリ告白、清涼は清涼で、嫌悪を感じる前に毒牙を抜かれて絆されてしまうのだから、秦野が嫌いではないのだと伝わってくる。秦野は清涼に完全メロメロ状態を披露、ふたりが身体を重ねるシーンが何度も出てきて、あとは素直じゃない清涼が心身ともに秦野に落ちていくのを待つだけとなる。清涼の「嫌いじゃない」が「好き」に変わっていく姿が描かれていくので、甘い話が好きな人にはオススメできる。

    ただ後半、清涼の過去をめぐる事件のキーパーソンが現れてから展開がやや急になり、火サス調を強く感じた。それが夜光さんの魅力といえば魅力かもしれないし、BLなんだからラブ最重視、清涼の心のドラマは大フィーチャーしなくていいのかもしれない。でもできればもう少し、そのキーパーソンと清涼の決着、そして清涼が自分自身と対峙する姿、それを見守る秦野を描いて欲しかった。夜光さんの作品なのでエロは長め、身体を重ねるシーンが軽く5〜6回は出てくる。その半分を削ってでもそれを描いて、話に厚みを与えて欲しかった。好みの問題かも知れないが。

    あともうひとつ、特記したいことがある。清涼の友人たちがとても魅力的。清涼同様、好き勝手に生きている金持ちの変人でサングラスの下の顔は誰も知らないという塚本、常にヴェールを頭から被っている占い師の黒薔薇(本名はわからない)、特殊な能力を持つという花吹雪(本人は出てこない。話題だけ)。この作品で一番フツーな人物は清涼じゃないかと思わせるほど、彼らは浮世離れしていて、絶妙な謎に包まれていた。あくまでもバイプレイヤー、でも「どういう人たちなんだろう?」と思わせるほどの魅力。話が綺麗に完結しているので清涼と秦野の話に続きは求めないが、彼らのスピンオフが読みたい。ピンで立てる魅力が十分あると思う。

    夜光ミステリー作品の中では、これが個人的ベスト作品。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(『忘れないでいてくれ』というタイトルが素晴らしい!絶賛したい!)
    ちょっとちょっと!「占いとケーキセット込みで二千円」って、そりゃ安すぎ!>塚本
    黒薔薇さん、よくそれで引き受けていたなあ…。

    夜光作品にしては珍しく受・攻ともに年齢高めのキャラ、攻はハイスペックではなくごくフツー、話はサイコメトラーもので不思議系なんだけど、人間の強さと弱さが描かれていてヒューマニズムが感じられるせいか、私は今でもこの作品が夜光さんの中で一番好きです。忘れられない。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

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    夜光花 『堕ちる花』 大洋図書 2008年 … 火サスな兄弟モノ

    堕ちる花 (SHY NOVELS 211)堕ちる花 (SHY NOVELS 211)
    (2008/09/06)
    夜光 花 (挿絵:水名瀬 雅良)

    商品詳細を見る


    兄弟というのはそれほどいけないものだろうか?? 大学生の磯貝誠は、異母兄で人気俳優の尚吾とふたり、故郷である四国を離れ、東京で暮らしている。過保護なくらいに誠を溺愛している尚吾と、弟でありながら兄を守りたいと思っている誠。ふたりはまるで恋人のように仲のいい兄弟だった。そんなある日、誠のもとに幼馴染みからハガキが届く。それがすべての始まりだった…… ずっと押し殺してきた想い。兄弟として越えてはならない一線。故郷に隠された忌わしい秘密とは…!?


    いわゆる「兄×弟」な兄弟モノ。書き手は火サス風ストーリーを得意とする夜光花、さらにレーベルは「ジャンル多様でエンタ色高め」のSHYということで、さほど兄弟スキーではない私でもイケるだろう、でも夜光さんならただの兄弟モノでは終わらないだろうな…と思ったら、たしかにその通りの内容だった。

    兄弟モノ(兄×弟)としてならば、「血を分けた弟にこんな思いを抱く俺は最低だ、でも悶々して眠れない」という、兄(攻)の「禁忌>欲求(カラダが先)」が、徐々に「欲求>禁忌」へと逆転していくさま、そしてついに体を繋いでしまった兄と弟がずるずると関係を続けてしまうさま――を読み手は期待すると思う。ところがこの作品の場合、一線を越えて後悔する兄に「にーさん、なに悩んでるの?」と弟がハナからユルユル。ハード路線を期待している人には物足りない。ただ甘さと目眩めく愛のエロを期待するならそのほうが痛くないので、結果的に間口は広い設定だと思われる。

    「兄と弟のバカップル」と思わせるまで禁忌ハードルを低くしたのは、もうひとつのストーリー「幼なじみたちと故郷をめぐる謎」のサスペンス性を引き立てるためなのかもしれない。

    少し残念なのは、そのサスペンス部に火サスの印象がついて回ること。重みなく人がバッタバッタと死んでいくし、次から次へと謎は出てくるがご都合主義な展開で収束していくし、キャラは常に演技しているようで、感情表現は行間よりセリフ先行な印象があり、まるでアドベンチャーゲームをしているよう。ただしそんな火サス展開であっても、安っぽく感じられないのが夜光さんの特長で、他の作家ではこうはいかないと思う。

    夜光サスペンスと兄弟スキーにオススメの作品。

    評価:★★★☆(タガが外れたあとの兄がスゴイのなんのって)
    しっかし、「死のうと思って沼に行ったけど、死ねなかった。いっそあの花の匂いでおかしくなればよかったのにな…」って、にーちゃん!にーちゃん!そのあとまったく歯止めが効かなくなって、ついさっきまで死ぬつもりでいたくせに、「お前の匂いを嗅ぐだけで、**する…」「我慢するなよ、誰も聞いてないって…」とか、人が変わったようにエロなセリフを連発し出したんだから、実は花の匂いがタイムラグに効く体質なんじゃ?

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2008年10月13日に書いた感想を加筆修正

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    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
    BL感想&レビューブログです。

    >>ネタバレ上等<<
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