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    麻生ミツ晃 『スイートビターキャンディ』 大洋図書 2008年 … 独特センシティブ

    スイートビターキャンディ (ミリオンコミックス 18 Hertz Series 53)スイートビターキャンディ (ミリオンコミックス 18 Hertz Series 53)
    (2008/11/29)
    麻生 ミツ晃

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    「HertZ」で連載/掲載されていた作品を集めた麻生ミツ晃の初コミックス。表題作「スイートビターキャンディ」シリーズが3本、高校生ラブを描いた「もう少し待って」シリーズが3本、ほか短編が2本。

    麻生さんには、他の新人作家と違うポテンシャルを感じたので、以下、真面目な感想を。

    ■「スイートビターキャンディ」他2編
    高校時代、チビでデブだった嵩史。目立つ存在でゲイだと周りに知られている金谷に憧れ、卒業の日にボタンをくれと頼むが、金谷から「デブ」と云われ、傷心。そして数年が経ち、痩せた嵩史は金谷と再会する。見返したいと思って痩せたのに、金谷は何も云わず冷たくて――という、全否定された憧れの相手になんとか自分を見てもらいたいと願う内気な男の子が主人公の話。

    「攻の金谷の心情がわかりづらい」と感じる人が多そうだな…と思いながら読んだ。

    嵩史:「精一杯の告白したのに、『デブ』といわれて傷つけられた」
    金谷:「俺だって好きだったのに、嵩史の告白の仕方が悪くて傷つけられた」

    どっちがより深く相手に傷つけられたかといえば、嵩史だろう。「俺を過去形にしやがって」という金谷の言い分は身勝手に思えるし、「お前のことが気になっていた、見た目なんかどうでもよかった」と云い出したときは、視点が嵩史にあるだけに「え?金谷は嵩史のことがずっと好きだったの?」と面食らう。しかも結局、金谷が嵩史に本音を語らせて再度告白をさせてしまうのだから、金谷ちょっとアンタ何様よ?…と思わなくもない。

    両思いとわかったその日に体を繋ごうとする金谷。服を脱がなかった、脱ぐ余裕がなかったほど切羽詰っていた金谷に、若さからくる性急さと欲望に対する正直さを感じる。ただ、そこまで考えてなかった嵩史を強引に組み敷くあたりは、無理やりに感じられてニガテだと思う人は少なくないだろう。

    この話は「なんて勝手な攻なんだ、共感できない」「嵩史がかわいそう」では終わない。

    金谷は嵩史が流す涙の意味を勘違いしてしまう。嵩史は金谷になかなか本音を云えない。行き違えたり一方通行になったりするふたりの感情。そんなふたりが少しずつ歩み寄ろうとする。歩幅は違うかもしれないけれど確実に一歩ずつ、まずは自分のできる範囲から――そんなヨチヨチ歩きの恋が描かれている。「自分を知ってもらいたい」という気持ちと「なんでわからないんだ?」という気持ち、そのもどかしさとぎこちなさ。この話は「ぎこちなさ」に焦点が絞られているように思える。

    こういう話は他の作家描いている。ただ麻生さんがその中でも個性的に感じるのは、スタイリッシュ過ぎない描線とハっとする印象的な構図を持ち、密な空間を描き出しているからで、最大の切り札だと思う。

    ■「もう少し待って」「目を合わさずに(前・後編)」
    生徒会長の刀根は、下級生の二宮から告白される。「消えろ」と断ったのに、二宮は生徒会に入りたいとやってきて「先輩を気持ちが決まるまで待ちます」と云い出し――という高校生モノ。年下攻。


    初恋に戸惑う高校生の話でとっつきやすく、好みの分かれそうな表題作とは違ってヒット率が高そう。「あ、こういうのも描けるのか」と少し安心した。キャラの表情が豊かでかわいい。15歳のくせに物分りが良すぎ?と思ったら、年上相手に背伸びしてたか。そっかそっかそうだよね…と愛しく感じた。絵も描き慣れ感があり、表題作やほかの収録作よりスッキリ垢抜けていて、「ちょっと昔の西炯子」という印象。これを表題作にしていたら、手に取られやすかったかも。

    ■「神様のいうとおり」
    倒れた母を思い、女性と見合いして結婚するから別れると切り出したよっちゃん。でも僕(名前が出てこない)は、どうしても諦められなくて――というショート。


    世間体から別れようとする1組のカップル描いたシチュエーション・ショート。受攻どちらの心情もわかりやすく、ショートだなんて本当にもったいない。描き慣れ感がさらに出ているなと思ったら、この作品が一番の近作だった。それにしても「連絡先を教えて下さい!」とイキナリ口説いた「僕」はスゴイ。勇気あるなあ。

    ■「左側」
    編集×漫画家。エロショート。


    レトロな印象。JUNEというよりBL版石井隆という印象。

    評価:★★★★(絵・ストーリー、ともにどんどん上手くなっていくだろうと思わせる。今は過渡期)
    この本が気になっているけど、手を出すかどうか迷っている人は少なくないと思う。ただし現時点では、まだ読む人を選ぶかもしれない。センシティブ系のBLノベルの絵師としても活躍できそうで、木原音瀬作品に合いそうな感じがする。

    エッジは効いてるのに、スタイリッシュ作品によくある強烈な置いてけぼりを食らうことはない。レトロさを感じるエロから、JUNE系もしくは鬼畜系に思われそうだけどそうではない。どの話も後味は悪くなく「これからこのふたりはどうなるの?」と気になるカップルを描いてくる。

    ハッとさせる独特の構図、表情豊かなキャラ、キスシーンの美しさが印象的…だけど、たまに背景や小物で「あれ?」と思うことがある。ベッドなど家具の大きさや部屋の間取りに、歪みや違和感があるんだと思う。『スラムダンク』の何巻目だったか、陵南戦で倒れたミッチーが手にした、なかなかタブを開けられないポカリと同じ。やたらとデカく、「どんなポカリだよ?」というアレですね。あのイノタケ先生でも昔はそうだったんだから、たぶん大丈夫でしょう。

    頑張って下さい…期待してまーす!

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。


    *2008年12月13日に書いた感想を大幅改稿
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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
    BL感想&レビューブログです。

    >>ネタバレ上等<<
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