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    中原一也 『愛しているにもほどがある』 二見書房 2009年 … リスペクトの行方

    愛しているにもほどがある  (二見シャレード文庫 な 2-9)愛しているにもほどがある (二見シャレード文庫 な 2-9)
    (2009/04/23)
    中原 一也

    商品詳細を見る

    日雇い労働者街(ドヤ街)で開業した坊っちゃん育ちの若い医師・坂下と、日雇労働者たちのリーダー・斑目とのラブを描いた作品。赤ひげ的ヒューマニズムが織り込まれた人情劇でもある。3年ぶりの続編。

    自分は世間知らずのおせっかい焼きだとわかっているけれど、その日暮らしの住人たちがどうしても心配で、自分のできる範囲でなんとかしようとする主人公・坂下。その奮闘する姿に毎回ホロリとさせられる。人には「知られたくない踏み込まれたくない領域」というのがあって、坂下はいつもその境界線で悩んでいる。相手は日雇い労働者でワケありが多いからなおさらだ。たしかに坂下は世間知らずの甘ちゃんかもしれないが、もともと坊っちゃん育ちなんだから仕方がない、それは別にいいんだよ。大切なのは生き様。時に医者としての実力不足を思い知らされて落ち込みながらも、坂下は自分の信念を貫こうと頑張ってるし、住人と関わり合うことで日々いろいろ勉強している。素晴らしいじゃないの。ゴッドハンドと呼ばれた伝説の外科医だった斑目が、そんな坂下を医者として人間としてリスペクトし、愛しいと思うのは本当によくわかる。坂下はこれからも悩み続けるだろうから――斑目!ちゃんとフォローしろよ!

    前作『愛してないと云ってくれ』は、おっちゃんとばーちゃんをめぐるコテコテ人情劇という印象だったが、続編は、診療所で起きるいつもの騒動にキャラのさまざまな思惑が絡んだ話になっていて、厚みが感じられた。

    親子の確執が原因でドヤ街住人が起こす騒動の中、斑目と体の関係があった医師・北原が登場、考え方やスキルの差から坂下は「自分は医師としてこのままでいいのか」と悩む。さらに北原から牽制を受け、斑目との関係がまだ続いているのではないかと誤解する。医師として人間として、まったく違う信念を持つ坂下と北原。深刻な状況の患者を前に外科医として圧倒的な技量を見せる斑目に対し、ふたりはなにをリスペクトするのか――その対比が読みどころだと思う。

    中原作品は後半に話が急展開して破綻してしまうことがたまにあるのだが、本作はそれが見られず、日雇い労働者たちの下品なジョークが飛び交う日常から始まって、後に引けない緊迫感に漲る状況下での困難な手術、誤解と嫉妬によって逆に燃え上がる恋情――と場面が綺麗に繋がっていき、エピソードによる伏線も見事に回収されていた。キャラひとりひとりに存在の意味があり、登場のさせ方も上手かった。大いに笑わせてくれたこともポイントが高い。なんて素晴らしい。

    中原さんの受はどの作品でもたいがい「男なのに、女のように抱かれる自分」に抵抗を感じているので、中原さんはその心理に拘っているのだと思われる。好みが分かれるとすれば、エロオヤジそのものな斑目の言動と行為か。正直云うと私も好みではないのだが、中原さんの作品でしかこんな攻キャラは読めないと思えば、これはこれでいいんじゃないかと思える。あとはラストにおける山浦親子の描写。やや強引なハッピーエンドと感じるのだが、このやや強引なハッピーエンドも中原さんらしさがあり、本作が人情モノであると考えればこれまたいいんじゃないかなと思える。

    リスペクトの対象は――技術?それとも人間性?…ラブとともに坂下と斑目が教えてくれる、そんな1本。

    @RECOMMEND@
    評価:★★★★★(中原作品ではこのシリーズが好きです)
    ヒューマニズム面を追求した感想になっちゃったけど、ラブのあるエロがしっかり描かれているので、そっちの面でも充分に面白いし、奈良画伯がまた素晴らしい仕事をされていて感動したー!そしてこの作品、小冊子企画があり、以下のように告知されていて――

    『愛しているにもほどがある』小冊子 応募者全員サービス!! 
    中原一也先生オール書き下ろし、正義のヒーロー・斑目が大活躍!?
    世界征服を目論む悪の親玉・坂下を捕らえ、イタズラしまくりの熱い夜をすごすのだが…。
    奈良千春先生の描き下ろしイラスト&ミニラフ画集付♡
    こんな戦闘(=オペ)初めて♡♡♡


    ――手元に届いたので読んでみたら、ホントに嬉しくなるほどバカバカしいノリの小冊子だったよ、キャッホー!短編の内容もさることながら、団地妻だの淫乱教師だのといった中原さんの欲望を忠実に描いた奈良画伯のノリノリな仕事ぶりにも感動!…そっか、画伯はエプロン男に萌える方だったのかー☆

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2009年5月27日に書いた感想を大幅改稿

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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
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    BL感想&レビューブログです。

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