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    英田サキ 『この愛で縛りたい』 リブレ出版 2009年 … 縛れども乙女

    この愛で縛りたい (ビーボーイスラッシュノベルズ)この愛で縛りたい (ビーボーイスラッシュノベルズ)
    (2009/04)
    英田 サキ (挿絵:有馬 かつみ)

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    大学時代の友人にずっと片思いをしていた男が、募る思いゆえに愛する男を監禁し「これで最後だから」と鎖で縛り、自由の利かない相手の体に自らを沈めてその思いと決別しようとするが――という最初だけがメチャ過激、でも実はフツーのカップルを描いた作品。

    監禁モノといえば、おもに攻が受を監禁して、攻「イッヒヒ♪」受「アアアアー!!」という無体な話が多いんだけども、本作では逆。つまり「受が攻を監禁してそのまま攻の体を奪っちゃう」というあまりないシチュエーション。さらにレーベルはスラッシュでオビ惹句に「激愛、執愛、束縛愛!!」とあれば、ものすんごいエロで道理を引っ込ませるエゴな愛が展開されるかな?と思っていたら――これがフツーに甘かった。

    監禁するなら理由がいる。監禁という行為が、非日常的で理解しづらいものだから。特に受が攻を監禁するなら、その理由に共感があったほうがわかりやすいかといえば…たしかにわかりやすい。でも理由が「どうにもならない片思いを終わらせるため」、つまり玉砕覚悟で相手に挑んでいったのに受が乙女過ぎ、いつも「本当はこんなことはしたくなかったんだけど」シクシク状態なのには正直参った。気持ちはわかる、わかるけど…恋を自己完結させるため、攻を監禁して縛り上げた大胆さがあるくせに決まり手が泣き落としって、なんじゃそりゃ?それで落とされた攻に「お前、ホントいいヤツだなあ~」と云いたかったけど、その後はそんな攻の主導によるラブが展開し「両親に紹介したい」ときたもんだから、いったい最初の緊縛はなんだったの?という気になってしまった。それでもさすが英田兄貴というか、読み手をグイグイっと引っ張っていく上手さがあるのでよどみなくスラスラと読めたし、ヘタな監禁モノより手堅い作品には仕上がっていたけども。

    リブレのオビ惹句にはしょっちゅー騙される。一途でカワイイ乙女な受がお好きな人にオススメな作品。

    評価:★★★(しゃーない、たまにはこんな感じの英田作品でもいっか~と思っていたら…)
    ちょっとちょっと!あとがきにあった「最初の設定では阿木(受)はまったく別人、非常にクールで偽悪的なビッチキャラでしたが、編集さんから『それでは読者から共感を得られないから』と指摘を受けて改稿、乙女キャラになりました」って、どーゆーこと!?…なんて…なんて余計なことを~~~!>リブレ編集

    最初のキャラ設定こそ、英田サキっぽいキャラじゃない!?…英田兄貴だよ?兄貴ならビッチを天使にさせるでしょーが!こっちはそれを期待してるんだって!…兄貴を責めたくないけど、「最初のキャラ設定で読みたかった」っての、英田作品ではこれで2回目だわー。つまらないことはないし、好みの問題もあるから…★はやっぱ3つになるけども…う~ん…。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2009年4月30日に書いた感想を加筆修正
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    英田サキ 『デコイ 囮鳥/迷鳥』 大洋図書 2008年 … 英田節健在

    デコイ 囮鳥 (SHYノベルズ)デコイ 囮鳥 (SHYノベルズ)
    (2008/08/28)
    英田 サキ

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    ある過去と現在の事件を通して繋がる4人の男たち。
    そんな彼らの絡み縺れていく因縁の愛を、群像的に描いた英田サキの作品。

    まず手放しで褒めたいのは、群像劇としてたいへん素晴らしい作品だということ。

    群像劇はそれぞれのキャラの背景と心理、そして伏線のある相関が書けていないと簡単に崩壊する。もともと英田サキは立ったキャラが何人も書ける作家ではあるが、とくに本作のキャラ相関は(那岐と火野の過去にムリはあるが)上手くできていて隙がない。混乱もない。誰が誰とどう繋がり、そしてそれぞれの過去がそれぞれの現在とどう繋がっていくのか――読み進めていくうちに、張られた伏線と投じられた布石によって見えてくる。なかでも佐藤(仮)と喫茶店マスターの立ち位置が素晴らしく、佐藤(仮)の正体が明かされる『囮鳥』のラストシーンは名シーンといっていい。そして女性キャラも野郎どもの向こうを張っていて、その存在はまったく邪魔にならない。

    ――対して、ラブはどうだろう?

    メインは4人だが、基本視点は那岐と安見のふたり。
    このふたりを関連づけているのが火野なので、彼がこのストーリーのキーパーソンになる。

    那岐視点では――犯した罪に苛まれる男から見た、過去を共有する火野。
    安見視点では――記憶を失って頼るものがない男から見た、敏腕ヒットマン・火野。

    火野はミステリアスな男であり、彼を知るには那岐と安見の視点を介さないとわからない。だがどちらの視点をもってしても、火野がなぜ安見に執着するかわかりづらかった。わかりづらいからダメだとは思わない。なぜなら、安見自身が火野の真実や自分の罪の意識を知っても、彼と未来を共にする決意を(なし崩し的ではあるが)したからである。正直、あまりその未来が明るいとは思えないのだが、互いに必要としてそう決めたのならそれもいいだろう。ただ安見が最後まで火野とともに生きていくのかどうか、気になるところではある。安見が精神的に崩壊または頭部に受けたダメージの後遺症が出たり、あるいは逆に自分に力で立ち直ったら?火野を捨ててしまう可能性がないとはいえない(火野は安見を捨てないだろう)。そのとき、結果的にまたもやひとりになってしまう火野は…どうなるのだろう?…火野×安見に対して、どうやら私はBL的ラブ思考ができないようだ。

    デコイ 迷鳥 (SHYノベルス)デコイ 迷鳥 (SHYノベルス)
    (2008/09/05)
    英田 サキ

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    逆に加賀谷×那岐は、実にわかりやすいBL定番と云えるカップル。加賀谷が私好みの「受に長年悶々愛を強いられてきた攻」なので、「成就できてよかったね、那岐をしあわせにしてやってくれ!」以外、なにも云うことはない。加賀谷は那岐の過去を知ったところで動じない、まるごと受け止めてくれる大人だろう。あれだけ悶々に堪えてきたんだから、もっと我儘云っていいくらいだ。そして加賀谷×那岐が安泰カップルがゆえに火野×安見が「それもありかな」と思えるのだろう。

    群像劇としてよくできている、ラブも書けている――褒めてばかりなのだが、気になるところはある。

    まず、那岐の出した答え「過去のけじめ=**殺し」。身勝手で空虚だと那岐本人も自覚していてその心理描写はよく書けているが、那岐の過去を思えば倫理観から「けじめ」という言葉に少々引っかかりを感じてしまう。

    ラスト近くの佐藤(仮)とマスター対決。緊張感のある駆け引きは素晴らしいし、とくに正体が判明してから「マスター」という呼称が本名(偽名かもしれないが)にすっと変わっていくところは絶妙なのだが、佐藤(仮)の説明が多く、シーン自体が長すぎる。そこまで語らなくていいし、引っ張らなくていい。『デコイ』の中で、なにひとつ清算できなかった男が佐藤(仮)だ。その無念、彼の感じる空虚――ハードボイルドにキメるなら、セリフやシーンも固くしたほうが良かったんじゃないだろうか。ちょっとくどくて、ゆるい。

    どんなに硬派な作品に仕上がっても、やたら愛を誓わせたり、コーヒーを飲む場面がよく出てきたり、受が最中にこっ恥ずかしいこと喋り捲ったり…英田節はこの作品でもやっぱり健在で、いつまでも変わらないでいてくれそうだなと感じた。

    評価:★★★★(何回も読み直したいとまでは思わないけど)
    しっかし…安見が記憶を戻すきっかけがあまりにベタだったので、「え?いまどきコレ?マジで?」と、文章を追っかけていた目が点になってしまった。フツーだったら、絶対死んじゃうって!

    あとそうだな~、さあいよいよ…というところで、加賀谷が「専用のものがない。これで我慢してくれ」と云いながら、戸棚から出して持ってきたのがオリーブオイルでなくてよかったよー、もし出してきたら大笑いしていたと思うもの。ちなみに「専用のものがない」ってことは、つまり「部屋に誰も連れ込んでない」ってことだから、ゲロ吐かれても那岐一筋だった加賀谷はエライ、よ!攻の鏡☆ あ~アタシ好み~♪

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2008年11月2日に書いた感想を加筆修正
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    英田サキ 『SIMPLEX DEADLOCK外伝』 徳間書店 2008年 … 横恋慕から事件簿へ

    SIMPLEX DEADLOCK外伝 (キャラ文庫 あ 4-4)SIMPLEX DEADLOCK外伝 (キャラ文庫 あ 4-4)
    (2008/11/22)
    英田サキ (挿絵:高階 佑)

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    犯罪心理学者ロブの誕生日パーティに届いた謎の贈り物。送り主はなんと、かつて全米を震撼させた連続殺人鬼を名乗っていた―!!ロブの警護を志願したのは、金髪の怜悧な美貌のボディガード・ヨシュア。すこぶる有能だが愛想のない青年は、どうやら殺人鬼に遺恨があるらしい!?危険と隣合わせの日々を送るうち、彼への興味を煽られるロブだが…『DEADLOCK』シリーズ待望の番外編。


    昨年完結した『デッドなんちゃら』シリーズ本編では、主人公ユウトの「FBI捜査官としてキミどうよ?」な仕事ぶりに閉口したり、ディックとの熱いアモーレぶりで1年分の砂を吐かされたりと、それはそれでそれなりに楽しかったが、私の心のフックに常に引っ掛かっていたのは、登場した時点ですでに負け決定!な横恋慕をかましたことで見事玉砕してしまったロブ・コナーズ教授だった。教授のキャプション長すぎです!>秋林さん あのジェイムズ・マースデンを髣髴とさせる当て馬ぶり。「教授、もっとステキな人が現れるわ…だから頑張って!」と何度応援したことか。そしたら、そんな教授を主人公に据えた外伝が出た。

    ネットでポチらずリアル本屋でゲットしたくらい、教授の新しいラブの行方と結末が気になってしょーがなかったのだが、この『外伝』――ちょっとした「ロブ教授の事件簿」になっていた。BLでサスペンス/ミステリーというと「なんちゃって事件簿」的作品が多く、ラブが重視されるので突然事件が解決したりしてしまうのだが、この作品は主人公である教授に起因する犯罪が起きる→教授が自身の性格や特性を活かして活躍→キレイなケリという流れがしっかりしていて、英田作品は他の「なんちゃって事件簿」よりランクが上になるなあと感じられる出来になっていた。

    耳切り魔という米国らしさのある猟奇犯と対決する「SIMPLEX」。
    教授の性格がよく出たネゴシエイトに面白さが感じられた「DUPLEX」。

    どちらも面白かったのに――ラブ面はというと…なんだか「それでいいの?」という印象。

    なんでかなと思って何回か読み直したのだが…たぶん――教授が譲歩しすぎ、優しすぎるのだと思う。人間出来すぎなんだ教授は(ネトも)。教授がいままで「いい人」で終わってた理由がよくわかる。

    そんな教授の前に現れた、少年鉄仮面伝説な人生を送ってきたヨシュア。恋の駆け引きをしても彼が相手だと上手くはいかない。さあどうする教授?――というあたりを描きたかったのだろうが、ヨシュアがあまり動かないし、最後までぎこちない。ぎこちないふたりを描いてるとしてもモタつく。ぎこちなさの解消のためか、最後に「実は面識があったんですよ~」というエピソードがつけられていたのだが、なんだか取ってつけたようで余計に苦しさを感じる。ヨシュアが海千山千な教授をキリキリさせるようなキャラだったら、面白かったかもしれない。あとがきにあった「口の悪い、皮肉な毒舌家」という初期設定ヨシュアのほうが良かったように思えた。

    事件簿としてけっこう面白いし、「デッドなんちゃら」シリーズの主要キャラがほぼ全員出てくるのでファンにはオススメできる作品といえる。でもこのカップルでいいのかな?…新しい恋で幸せになってもらいたいのに、ついそんなことを考えてしまった。個人的に軽いしこりが残った作品。

    評価:★★★☆(外伝のユウト、刑事になっても有能には思えない…)
    LAPDは、マジで教授を雇ったほうがいい。

    西洋人と話していると、対人関係においてユーモアがいかに重要であるか、本当に思い知らされる。なので、なんでも真面目に受け取ってしまいがちでユーモアがあまり通じないヨシュアが、他人と上手くコミュニケートできないと悩むのはよくわかるなあ。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

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    *2008年12月7日に書いた感想を加筆修正
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    英田サキ 『DEADSHOT』 徳間書店 2007年 … ハードでスウィートなBLミリタリー

    DEADSHOT―DEADLOCK3 (キャラ文庫 あ 4-3)DEADSHOT―DEADLOCK3 (キャラ文庫 あ 4-3)
    (2007/06/23)
    英田 サキ

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    ディックを復讐の連鎖から解放したい―。宿敵コルブスの逮捕を誓い、捜査を続けるFBI捜査官のユウト。次のテロ現場はどこか、背後に潜むアメリカ政府の巨大な影とは…?ついに決定的証拠を掴んだユウトは、コルブスと対峙する!!ところがそこに現れたディックがコルブスの銃弾に倒れ…!?執念と憎悪と恋情―刑務所から始まった三人のドラマが決着を迎える、衝撃のラストステージ。


    刑務所の囚人からFBI特別捜査官&CIAエージェント――激しいジョブチェンジを見せるディック&ユウト「デッドなんちゃら」シリーズ最終巻。

    舞台はタックス着用の煌びやかなパーティから、ナパーム弾炸裂のコロンビアジャングルへ。ユウトの救出に麻薬問題が絡み、三つ巴となった米軍・CIA・FBIがハデなドンパチを繰り広げていく。まさにビックリジャングル大作戦!な第3巻である。

    ツッコミどころが多少散見されても戦闘シーンは臨場感に溢れており、既存BLと画する読み応えがある。ただ盛り上がった分、コルブスの最期がやや呆気なく感じられ、読み手の好みがわかれそう。それでもテロリストだの麻薬だのFBIだのと大きく広げられた風呂敷はちゃんと畳まれていくし、ラブもドラマティックにハッピーエンドをむかえるので、全体の後味は決して悪くない。とくにラストでディックに白のサマーサーターを着せるなんざ心憎い演出であり、英田兄貴女子を喜ばせるのが上手いなあと感動した。

    でもなぜユウトは、ジャングルで重傷を負ったディックを心配していなかったのだろう?「体は大丈夫か?」のひとこともなかった。再会すりゃ具合なんて一目瞭然だろうが、私にはどうしても理解できない。FBI捜査官の任務は中途半端、刑事となる予定も未定、仕事は二の次でなによりも恋愛が最優先――BLだからそれで正解だとしても、私にとってユウトは最後まで共感しづらい主人公だった。

    いろいろツッコミたいことはあれど、ハデでドラマティック、ラブ一直線なストーリーは重くなりすぎず軽くなりすぎずで、多くの人が楽しく読めると思う。わかりやすい萌えもあるので、BLビギナーにオススメしたいシリーズ。

    評価:★★★☆(BL絵師界のミリタリー番長である高階さんが描く銃器類がもっと見たかったなあ)
    「私だったらラストシーンはあの場所でのあのセリフだな、なにを云ったかは読み手には内緒ね、ふたりだけの秘密☆」と思っていたら、本当にそんなラストだった。英田兄貴と時差テレパシーか。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
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    *2007年7月24日に書いた感想を加筆修正

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    英田サキ 『デッドヒート DEADLOCK 2』 徳間書店 2007年 … 当て馬の真打ち登場

    デッドヒートDEADLOCK2デッドヒートDEADLOCK2
    (2007/02/23)
    英田 サキ

    商品詳細を見る

    宿敵コルブスを追えば、いつかディックに会える―。密かな希望を胸にFBI捜査官に転身したユウト。彼を縛るのは、愛を交しながら決別を選んだCIAのエージェント・ディックへの執着だけだった。そんなある日、ユウトはついにコルブスに繋がる企業との接触に成功!!ところがそこで変装し別人になり済ましたディックと再会し!?敵対する二人が燃え上がる刹那―デッドエンドLOVE第2弾。


    囚人服マグショットからスーツ姿のFBI特別捜査官とCIA契約エージェントになっている表紙絵に驚いた。FBIとCIAか…英田兄貴は「惹かれ合ってはいけない立場のふたり」が好きなのね、さてそんなふたりのラブはどうなる?…と思いながら手に取った、ディック&ユウト「デッドなんちゃら」シリーズにして当て馬の真打ち登場の第2巻。

    相変わらずストーリーはテンポよく流れていく。だがFBI特別捜査官になっても、これまた相変わらず「その捜査能力はどうよ?」で恋は盲目状態なユウトには参ってしまう。当て馬兼協力者のロブだけで、事件は解決できそうだ。姫っぷりはカワイイのだが、頼むからもっとしっかりしてくれ!簡単に人を信用してベラベラ喋るな!アナタ、FBIでしょ!?…と云いたくなってしまう。ただし、ラストで決意を新たにコルブス逮捕を誓ってくれたので(理由はやっぱりディック絡みではあるが)、次巻での活躍を期待しよう。

    さて。問題はディックである。

    「金髪、碧眼、高身長の一見クールビューティ。でも実は好きな相手に甲斐甲斐しいタイプ」という、たいへん人気がありそうな色男の攻なはずなのに、このシリーズでよく目にする感想といえば「ネトがステキ♪再登場が嬉しい♪」「ディックより教授のほうがいいんじゃない?」(秋林調べ 6/24現在)。今のところ、ユウトとカラダを合わせねば、読み手にディックの本音が具体的に伝わってこないので、当て馬が魅力的に思えるのは仕方がないかもしれない。ただ、海千山千な教授にあれだけ迫られてるくせに袖にし続けるユウトを見ていると、よっぽどディックとは具合がいいのか、ヤツは上手いんだ、そっかそっか…などと思ってしまう。読み手としてそれでいいのかはよくわからないが、とりあえずディックに関しても次巻での(そっち面以外の)さらなる魅力爆発&活躍を期待しよう。

    ちなみに、1巻の感想で「攻のキメ台詞が私にはなかなかクリーンヒットしない。ジョージ・クルーニーが云ったら、ピッタリくるような台詞が欲しい」と嘆いたのだが、この2巻ではなんと別の場所に見事クリーンヒット!

    「チーズピザを頼む。悪いがオリーブオイルを瓶ごとつけてくれ」

    コトの真っ最中に電話をし、「オイルをくれ」とルームサービスを要求するディック!

    そんなディックに対し、ユウトは――

    「本番の前に腹ごしらえ?」

    ………。
    英田兄貴とディック&ユウトには申し訳ないのだが、終電の中(乗客は私ひとり)、どうしてもこらえきれず大笑いてしまった。これはコントなのか?

    せっかく盛り上がっていたところに、オイルが届くまでインターミッションを強いられるのは興ざめだと思うのだが、どうだろう?…若ければアダルトな駆け引きなんて必要ない、俺たちにとってジョージ・クルーニーはオヤジだ、というところか。ただ個人的に、なにゆえチーズピザを選んだのかディックに訊きたい。オリーブオイルを丸ごと一瓶なら、チーズピザよりアンチョビピザのほうが自然である。ハナからピザが目的じゃないということを、読者とユウトに知らしめたかったのか。云われなくても、日ごろからオリーブオイルの別利用法ばかり読んでる腐女子は即理解できるだろう、でも当のユウトがあれじゃ…。

    キャラクターたちにとっては、ニッチもサッチもいかないデッドヒートな状況を見せる2巻。でも読んでるコッチとしてはなんだか楽しい展開になってきたので、最終巻となる3巻『DEADSHOT』に期待したいと思う。

    評価:★★★☆(頭の中はオリーブオイル色)
    好きか嫌いかは別として、王道なキャラ設定とエピソード展開で定番なのに相変わらず読ませるなあ。あと出てきていないのは媚薬くらいか。個人的には子供っぽいユウトが気になる。キャラ文庫の読者年齢層は若そうだから、それでいいのかも。ただ警察機構を嬉々として書く英田サキの魅力が、それで半減しなければいいけれど。

    この2巻目では気になるキャラとしてロブ(教授)が登場。なんつーか、もう登場した時点でフラれるのが決定的だとわかるとゆーか、別所哲也かジェイムズ・マーズデンかという当て馬ぶりを好演しているだけに、主人公カップルより幸せになって欲しい、とつい思ってしまう。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
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    英田サキ 『DEADLOCK』 徳間書店 2006年 … サクっと読める刑務所モノ

    DEADLOCK (キャラ文庫)DEADLOCK (キャラ文庫)
    (2006/09/27)
    英田 サキ

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    同僚殺しの冤罪で、刑務所に収監された麻薬捜査官のユウト。監獄から出る手段はただひとつ、潜伏中のテロリストの正体を暴くこと!! 密命を帯びたユウトだが、端整な容貌と長身の持ち主でギャングも一目置く同房のディックは、クールな態度を崩さない。しかも「おまえは自分の容姿を自覚しろ」と突然キスされて…!? 囚人たちの欲望が渦巻くデッドエンドLOVE!!


    端正な描線で人気の絵師・高階佑の手による、美形男ふたりの監獄服マグショットという表紙からもわかるように、本作は刑務所モノ。栗本薫『終わりのないラブソング』(たいへん古くて申し訳ない)、木原音瀬『箱の中』など、本作以外にもBLレーベルの刑務所モノは数あるが、米国の刑務所が舞台というのは珍しい。海外ドラマ「プリズン・ブレイク」の影響か(ただしカラー口絵はヤンキー学園モノという感じ)。

    さまざまな男たちのエゴが渦巻く刑務所。自由を取り戻すため、孤立無援なユウト(日系米国人)の捜査が今密かに幕を開けた――というような海外刑務所モノ定番「狭い空間で圧迫していく密な人物相関」が描かれるのかと思っていたら、登場人物たちはみな信じられないくらい人が良く、人種がどーの言語がこーのといろいろ書かれているわりに日本人的な考え方をするので、米国を舞台にする必要性があるのか疑問に感じた。だが、青山出版社から出ているようなギャングスタ・ノベルをBLに求めるたりすること自体が無粋であり、誰もそんなリアルな設定を求めていないだろう。なので、潔く謝る、スマン!>英田兄貴

    ロード・ドッグス (Hiphop★novels)ロード・ドッグス (Hiphop★novels)
    (2005/08)
    クワン

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    無実の罪を晴らすため、FBI特別捜査官として潜入した刑務所でテロリスト探しをするユウトだが、極秘任務遂行中ながらムショ内アイドルになっていく過程がメインストーリーかと思うほどの見事な姫っぷり。元・麻薬捜査官という経歴を裏付ける捜査能力を感じさせてくれないのが正直ツラく、何度も「アナタ、ホントに大丈夫?」と思ってしまった。主人公はあまり有能とは云えない、キャラ相関を考えれば誰がテロリストは簡単にわかる…など、サスペンスを期待すると少々物足りない。だが逆に云えば、読者層を選びそうな刑務所モノなのに、テンポの良い文章とサクサク展開していくストーリーとキャラ立ちしている登場人物たちのおかげで、キャラ萌えしながらラブを楽しみたいという人にはオススメの間口広めな作品に仕上がっていると思う。

    ただ…個人的な好みで云えば、海外の刑務所なんてBLではあんまりお目にかかれない舞台設定なだけに、できれば1巻だけで出所/脱獄して欲しくなかった。ユウトが完膚なきまでに打ちのめされ(シャワー室での事件以外でも)、閉塞感と絶望感から這い上がっていく姿というものがもっと読みたかった。根性を見せて欲しかった。成長して欲しかった。

    冤罪で刑務所に放り込まれ、プライドはズタズタ。四面楚歌の中、自分以外いったいなにを、そしてだれを信じていいのか。そんな精神的にギリギリの状況下で出会ったユウトとディック。牽制しながら芽生えた恋はロマンス的というよりも運命的だ。互いに身上はどうしても明かせない、なぜならそれは――以下、次巻!…と、謎やサスペンス部分にも「引き」を出してくれたら、ラブだけでなく話全体にドラマティックさと厚みが出たと思うのだが。でも萌えを重視するならば、そこまで求めるのは贅沢なのかもしれない。

    評価:★★★☆(ポイントはちゃーんと押さえられている)
    云い方が悪くなるけど、こーゆー作品が売れるんだろうなあ。みんなが読みたい場面を増やすために、本当は残したかった文章を削ったかもしれず――1冊にまとめ上げるって作業はタイヘンなんだろうなあ。そう思うと、「こうしたらいいんじゃないか」「物足りない」なんて書くのは悪い気がする。

    ただ英田サキ作品で毎回思うのは、攻のキメ台詞が(個人的に)クリーンヒットしないこと。モタついてどーにもキマらない。ジョージ・クルーニーが云ったらピッタリくるような台詞、待ってますから!>英田兄貴

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    プロフィール

    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

    気の向くまま、
    ネット場末で人知れず更新中の、
    BL感想&レビューブログです。

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