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    栗城偲 『蛍火』 海王社 2010年 … 内省的アラフォー倦怠期

    蛍火 (ガッシュ文庫)蛍火 (ガッシュ文庫)
    (2010/01/09)
    栗城 偲 (挿絵:麻生 ミツ晃)

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    大学教授の宮地洸一と小説家の塚原千里は、学生時代から連れ添って二十年の「恋人」。しかし、ここ数年は一緒に暮らしながらもセックスどころかまともな会話もない日々。ある日、些細な諍いから洸一は煙草と財布だけを手に家を飛び出し北へ…。一方、千里は独り残された部屋で互いを想い合っていた頃を思い出す。かつてはあんなに愛しく想い、添いとげようと決めた相手だったのに…。二十年の歳月を経て、凍りかけた想いに再び火が灯る―。不器用な男たちのラブ・クロニクル。


    「学生時代から連れ添って二十年」である一組のアラフォーカップル。セックスどころか、まともな会話もない日々を送っている。彼らが迎えたのはいわゆる倦怠期――需要がどれだけあるかは不明だが、BLでアラフォー倦怠期が描かれるのはちょっと革新的だ。

    蜜月はとうの昔に終わった。特別な刺激もない。ここ数年すれ違いが続き、嫌いになってはいないが同居をしているだけ、ゲイだから既婚という意識はない。分別あって当然とまわりからも思われる40歳になる今年、ふと二十年続くこの関係を考えてみた――「俺はお前のなんなんだろうな」。家を出て二丁目に繰り出してみたものの、まったくモテない…と、淋しい場面が続いて木枯らしが容赦なく攻に吹きつける話になるのかと思ったら、少々違っていた。攻の前に、昔の受を思い出させるひとりのゲイ青年が登場。彼とみちのく小旅行をすることになるが、実際に出かけてみたら自分と同棲相手との関係を見つめ直していく旅になっていった――という内省的な話だった。受の視点による学生時代の話も出てくるので、攻が旅行をしている間、受も精神的に同じ旅をしていたと思われる。

    別にゲイでなくたって、長く婚姻関係にある人ならば出てきそうな普遍的問題を描いていると思うし、一般文芸作品でも見かける題材なので、「ああ〜わかるわ〜」と共感する同世代の読み手は多そう。ラブストーリーというより、ラブ回帰ストーリー。恋愛モノとしては刺激がないといえる話だが、ハナから淡々としたノリなのでこれもアリかなと思った。あらすじに「凍りかけた想いに再び火が灯る」とあるが、一気に火が灯るというよりは、消えそうな火に風が入って再びじわじわと火が回っていく、という感じ。それを踏まえたうえで、興味を覚えた方にはオススメの1本。

    評価:★★★(だからタイトルが「蛍火」なのか。ピッタリだなー)
    挿絵担当は麻生ミツ晃さん。あらすじを読まなくても、絵師の名前を見るだけで、小説の内容が想像できたりする。麻生さんが担当される作品は内省的な話が多いから。そんな作品に麻生さんの絵が付くと、セピアがかった透明感の中に1本芯が通る。ただ、倦怠期のアラフォーカップルなのにルックスが若すぎてアラフォーに見えない。それがいいのか悪いのか…この作品においては正直よくわからない。

    気になったのは、『スイートビターキャンディ』の感想で書いた「歪みや違和感のある小物や間取り」が、やはりこの作品でも出てきたこと。食事する場面で、キャラの持つ器がでかい洗面器に見えちゃったり。むむむむ。

    ZERO STARS … 論外/問題外作
    ★ … お好きな人はどうぞ。
    ★★ … つまらない。
    ★★★ … 退屈しない。なかなか面白い。
    ★★★★ … とても面白い。佳作/秀作。エクセレント。
    ★★★★★ … 天晴れ。傑作。ブリリアント。

    「オススメ作品」は基本的に★★★☆以上。
    「絶対オススメしておきたい作品」には@RECOMMEND@マークがつきます。
    性格上の理由から、★評価は厳しくなりがちなので、★5つ作品はあまり出ないと思います。

    *2010年3月7日に書いた感想を大幅改稿

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    秋林 瑞佳

    Author:秋林 瑞佳
    「あきりん・みずか」と読みます。
    (BLCD感想はジョセフィーヌ秋太夫が担当)

    風来のネットサーファーにして、
    ハンパない映画ギーク。
    そしてなにかと悩める電脳仔羊。

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